原因不明の腰痛を見極める2つのポイント! | 日本オランダ徒手療法協会

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原因不明の腰痛を見極める2つのポイント!

2021.05.28

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

新型コロナの影響により先行き不透明な今、なかなか旅行に行ったり、友達と遊んで飲んだり、今まで好きなことを思い通りにできないご時世になりましたよね。

 

私自身、ふと昔のことを思い返すことがあって、あの時はよかったなぁ。色々なことができたあの時が懐かしいなぁって、、、。

 

ついつい現実逃避をしてしまうこともありますよね。笑

 

でも、自分自身の過去のことを振り返ったり、過去の画像やお出かけした際に撮った子供の動画を観たりするとすごく幸せに感じませんか?

 

「ノスタルジア=懐かしむ」という用語は、20世紀のなかばころまでの心理学の世界において、故郷から遠く離れたときに感じる不安や悲嘆などの心理的な症状を表す言葉として、否定的にとらえられてきたらしいんです。

 

でも、世界的に「ノスタルジア」の研究が進むにつれて、昔を振り返ることはけっして病的でネガティブな行為ではなくて、精神的にも肉体的にもポジティブな効果がありそうだということがわかってきたらしいんですよね。

 

現在では、高齢者を対象にして、「ノスタルジア」の感情を応用した治療が、医療や介護の現場でも応用されるようにもなっているそうです。

 

過去を積極的に振り返ることで、老若男女問わず脳の健康を維持でき、将来の認知症リスクを下げる可能性があるらしいです。

脳医学者・瀧靖之先生『回想脳 脳が健康でいられる大切な習慣』(青春出版社)

 

過去を振り返ることは、決して現状からの逃避ではなく、過去を振り返って「懐かしさ」を求めるのには、脳医学的な意味があってすごく大切なことだったんだと感心してしまったんです。

 

でも過去に振り返ることはいいことも思い出したりしますが、臨床でも苦い経験を思い出すことってありますよね。汗

 

過去に後輩から『なぜ腰痛になったかわからない患者さん』の相談を受けたことがあり、自分と同じ過ちを犯してしまってい、苦い経験した腰痛にまつわるお話を今回はさせて頂きます。

 

急性腰痛で悩む患者さん

 

後輩:「相談があるんですけど、もともと腰痛でリハビリに来られた方で、最近はよくなっていて経過も良好だったんですけど、今日は腰の痛みが酷くなったらしく。今は何やっても痛いって言われて、、、。」

 

40代後半の若い男性。週に3回以上はジムに行って体を鍛えているとのこと。

 

若い頃、ぎっくり腰を患い自己流でトレーニングをしてから腰痛が治ったらしくずっと今まで定期的に通っているとのこと。

 

私:「それって治療していい状態の患者さんなの?」

 

後輩:「、、、。」

 

後輩:「治療した方がいいと思ったんですけど、、、。」

 

私:「その方の痛みの原因は何?そもそも炎症症状はあるの?」

 

後輩:「、、、。なんで痛みが酷くなったかわからなくて頭が真っ白になってしまったので、そこを把握できていなかったです。」

 

そんな相談を受けた時、私自身も急性期の腰痛の患者さんを初めてみたときを思い出したんですよね。

 

どう動かしてもどんな姿勢にしても痛みが出るし、どうしていいかもわからなくて、終始汗ビッショリになって、結果何もできなかった過去を思い出したんです。

 

これって新人のあるあるじゃないですか?

 

でもあるあるで済ませてしまうと後輩のためにならないので、いくつか質問をしたんです。

 

問診で聞いた今の症状を聞いたんですけど、

・右側のL5のピンポイントの痛み

・体幹伸展時も痛いが、屈曲時に特に痛い

・座るよりも立っている方が楽

・寝返りでも痛い

・安静にしていても痛みがある

・痺れはない

・脱力感などはない

 

急性の筋性腰痛の可能性ではないかと思ったんです。

 

私:「レッドフラッグ の可能性もあるし、診察の方にすぐに誘導した方がいいよ。」

 

リハビリを一時中断し、診察へ誘導したんです。

 

結果は骨折もなく、筋膜性腰痛だったみたいでリハビリも炎症が落ち着くまで中止。

 

でもそもそもなぜ、腰が痛くなったのか?

 

”きっかけ”を確認したんですけど、、、。

 

きっかけは『特にない』とのこと。

 

本当にきっかけがない腰痛?

”きっかけ”は『特にない』とのことだったんですけど、なんだか自分では腑に落ちなかったんですよね。

 

”経過”を聞くことってすごく大事で、その方の組織の状態を把握することができるんですよね。

 

なので、痛みが出てきた前後の行動を追求しないといけないと思い、しつこく聞いてみたんです。

 

ちなみに、私が問診をしていて注意していることがなぜを3回以上繰り返して深堀をしていくことを心がけているんです。

 

表面的なことだけ拾い上げても本質が見えないままになってしまう。

 

なんだか名言みたいなことを言って、ちょっと自分で言ってて少し恥ずかしくなっちゃいました。

 

こんなキャラじゃないのに。笑

 

話がそれてしまったので、話を戻しますね。

 

その患者さんの痛みの出た前日の行動を思い返してもらうように問診を進めてもらったんです。

 

そしたら、ジムでいつもはバーベルスクワットを自分の体重分の半分くらいを持って(30kg)していたとのこと。

 

でもその日は調子もよくなってきたから、腰が痛くなる前にやってた60kgのバーベルスクワットに挑戦したらしんです。

 

でもその時は痛くなかったし、それが原因なんて考えもしなかったらしいんです。

 

お気づきの通り、まさにそれが原因でしょ!!そりゃあ急に2倍以上の重いもの持ったら痛くなるに決まってるじゃん!!

 

でも自分たち治療家からしてみれば、当たり前じゃんと思っていても、実は患者さんにとっては当たり前じゃないんです。

 

これってしっかり問診で”きっかけ”の深堀をしないと原因がわからないままになるし、この方が腰痛が良くなった時にジムで同じ負荷をすると間違いなく繰り返しちゃいますよね。

 

痛みを生み出す負荷設定

もう一つ気をつけることとして、運動の負荷量の設定で治療家と患者さんも知っておかなければならないことは負荷設定の”強度と量の関係”です。

 

例えば、患者さんにトレーニングを指導していて、自重のスクワットで痛みが出てしまうことがあれば、それは強度が高く、その動作そのものが耐えられない負荷と判断できます。

 

でも、自重のスクワットはその時には痛くなくても、連続30回の1セットした次の日に痛くなったり、時間をおいて痛くなってしまう。

 

これは、強度が問題ではなく、量の問題では?と判断できますよね。

 

負荷の設定を患者さんは判断できない場合で、治りを妨げてしまっていることも考慮して指導を行う必要があるんです。

 

今回の患者さんがなぜ痛みがひどくなったのか?患者さんが気づかない”きっかけ”を問診で聞き出していかないといくら治療を施しても路頭に迷ってしまいます。

 

治りを阻害している要因をしっかりと患者さんに伝えて、再発を予防することも治療家がしなければいけないことだと思うんです。

 

最後にまとめると、今回のポイントとして

 

・問診の過去に振り返って”きっかけ”の深堀り!!

・負荷設定のコントロールを”患者さんが”出来るように!!

 

この2つのポイントだけではないですが、なぜ腰痛になってしまったかの原因追求をするには問診をしっかりして過去の深堀りをしていくと、焦らないで対応できる治療家にち私と一緒になっていきましょう!!

 

P.S.

過去を回想するのに良いタイミングがあるらしいんですが、やっぱり仕事の合間の忙しい時こそ息抜きがいいみたいです。

 

スマホやパソコンに昔の写真を入れておいて、気分転換にすぐに見られるようにするといいかもしれませんね。

 

私もパソコンに保存してある昔の写真が壁紙になるよう一定時間ごとに写真が切り替わる設定にして振り返ってみようかな。

 


この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。