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後脛骨筋腱炎は◯◯も確認すべし! | 日本オランダ徒手療法協会

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後脛骨筋腱炎は◯◯も確認すべし!

2021.04.09

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

私ごとですが、2歳の一人息子は今保育園に通って預けているんですけど、保育士さん達にはただただ感謝の気持ちでいっぱいなんです。

 

初めての子なので、奥さんと私も親として教育やしつけだったりと、右も左も何もわからない状態で悩んだりしていたんですよね。

 

でも、その悩みを保育士さんは、年代ならではの悩みだったり、不安を親身になって聞いてくれるんです。

 

それに、私自身も仕事で遅くなったりとなかなか、遊ぶ時間が日々少ない中でいつの間にか色んなことが出来てるんです。

・折り紙を上手に折れるようになる

・自分で靴を履けるようになる

・トイレでの動作を一通りできる

などなど

 

出来ることが日に日に増えてきていることに気付いたときに、保育士さんの日々の関わり方でここまで成長したんだなと改めて感じることもあるから、感謝してもしきれないんです。

 

本来なら自分たちでやるべきかもしれないですが、今ではできる事を家でも習慣にして覚えていけるように最大限サポートしています。

 

何かリハビリも同じように段階付けてやっていく事と通づるものがあって感慨深いですよね。

 

そして、自分にとって一番心が安らぐのが、保育士さんからの保育日誌!!

 

毎日我が子の様子を書いてくれている日誌です。

 

 私はそれを読んで一日を終えるわけですけど、それを読むだけで我が子に触れることができるんですよね。

 

 保育士さんはあれだけたくさんの子どもを見てくれて、事務もたくさんあると思いますが、いつもしっかり書いて頂いて、何かの出来事が出来たりした時でも子どもよりも嬉しそうに報告してくれる。

 

いろんな気持ちを共有して頂いたので、保育士の先生というよりも一緒に子育てしてくれる同志のような存在と感じてしまうんですよね。

 

そんなある日、息子を保育園にお迎えに行くと保育士さんから

「〇〇くんが、園庭で遊んでいるときにいつもより頻繁に躓いたりしていたんです。」と報告があったんですよね。

 

ん?なんでだろう?前の日にはそんな事なかったのにな。って思って考えていると、

 

「今日は新しいお靴で少し大きかったからですかね。」っと聞いて、ハッとしたんですよね。

 

実は、爺ちゃん婆ちゃんに買ってもらった靴で、大好きなア◯パ◯マンのイラストが入っているから、次の日から保育園に履いていくと張り切ってたんです。

 

大きいのはわかっていたんですけど、、、。

 

すぐ大きくなるからと大きめの靴を履いて、走ったりするといつも履いている靴の感覚で足を上げるために、つま先が余っていることに気づかず地面や段差に引っ掛かって転けてしまったんです。

 

当たり前のことなんですけど、意外と気づかずにさせてしまってるなと反省です。

 

それに、引っ掛かってこけるだけではなくて靴が大きいと脱げない様に無意識のうちに足趾を屈曲させて踏ん張っているため、足指の変形を起こしたりするんです。

 

さらに、足への緊張感が増し疲労感が増して、その状態を長く続けておいたりするとハイアーチになってしまうこともあるんですよね。

 

子供たちって順応性が高くて良くも悪くも色々な場面に対応する柔軟性を兼ね備えてますよね。

 

今回は、そんな成長期に関わった足首の痛みを訴えた患者さんの失敗談をお話しさせて頂こうと思います。

 

走ると痛い足首の痛み

 

小学6年生のバスケットボール(ミニバス)をしている男の子を担当したんです。

 

走るときやジャンプからの着地動作で内くるぶしに痛みが出ている状態で、診断名は後脛骨筋炎。

 

今は歩くときにも少し痛くて、ふくらはぎがすごく張っているとの訴えがある。

内果部後面の圧痛もあるし、ハイアーチで足の指も少し曲がって歩いている。

 

痛みもあるせいか足関節背屈可動域も減少していたんです。

 

問診を進めていくと最初は違和感くらいだったのが、だんだんと痛みが強くなっていた。特にバスケの練習中が痛くて我慢して参加していたとのこと。週に3回約1時間半の練習をこなしていた。

 

走るときに痛いとのことだったので、走る動作も評価してみたところ、走り方の特徴がフォアフット走法でつま先での着地が特徴的だったんです。

 

このままだと骨端症であるセーバー病やアキレス腱炎、足底筋膜炎などにもなりうると思い、ヒールストライク走法を進めて修正していったんですよね。

 

また、ハイアーチになっていることも気になったので、そうなってしまった自分の仮説としては、フォアフット走法により後脛骨筋が過緊張状態になり、前足部の柔軟性も低下、それに伴って衝撃吸収を担うトラス機能の低下によってメカニカルストレスの増加や収縮時の痛みも出ている。そして、練習後のストレッチなどケアもあまりしていなかったとのことで、オーバーユーズに由来するものだろうと考えたんです。

 

そこで、後脛骨筋に対してリリースやストレッチ指導、練習メニューに対しての参加制限と超音波治療を、そして前足部の柔軟性向上目的に足底筋膜や前足部のセルフエクササイズを指導したんです。

 

その後は、何度かリハビリを介入し、歩くときの痛みは減ってきて日常生活ではあまり困らなくなっていたんですよね。

 

でも、まだ走るときは痛い!

 

最初の訴えでもあったバスケットの練習中や試合中が特に痛みが変わっていない。

 

初めは痛くないけど、後半にかけて徐々に痛くなってくるっていうんです。

 

クリニックに来た当初、練習中のオーバーユーズもあると思って、痛みのある動作は我慢しないように念を押して負荷コントロールはしていたんです。

 

意外と子供達ってバスケとか好きでしているから我慢して練習をやりがちですよね。

 

でもその子はしっかりと聞いてくれたので言われたことは守っていたんです。

 

それでも痛みが引かないのは何で!?

 

原因は思いがけないところに

 

なかなか練習中の痛みは変わらないままで、練習中の最初は走っていても痛くなかったのに、最近は練習開始からもう違和感がある感じと訴えが変わって来ていたんです。

 

ある日、いつもはミニバスが無い日にリハビリに来ていたんですけど、この日はミニバスの練習前で大事そうにバッシュ(バスケットシューズ)を持って来ていたんです。

 

そのバッシュが好きなNBA選手が履いてるモデルでお父さんに買ってもらって大切に使っていたんですよね。こんなに大切に使ってくれるとお父さんもさぞ嬉しいでしょうね。

 

でも気になっていつ買ってもらったの?と聞いてみると、、、。

 

1年以上前に買ってもらったらしく、その購入する時、このモデルの靴のサイズがちょうどいい状態で、お父さんから少し余裕のある方がいいんじゃないと言われたけど、どうしても欲しかったため購入に至ったとのことだったんです。

 

履いてみてチェックしてみると、指先も曲がってしまうくらいギュウギュウ。明らかに靴が小さすぎる、、、。汗

 

足長の成長は、2歳頃までは半年間て約1cmの成長となり、3歳以降では半年間で約 0.5cm の成長する。 

子供の身体の成長過程と足の特徴

 

実は当時のその子の足のサイズが、履いていた靴のサイズより約2.5cm以上も成長していたんです。

 

この状況下で練習していたら足部のトラスメカニズムでの衝撃吸収作用は低下し後脛骨筋腱にメカニカルストレスが生じますよね。

 

皆さんご存知だと思いますが、トラスメカニズムって建築学でもよく使われている三角構造の事で、その三角形構造に対して体重が加わると三角形の頂点が下降し、底辺の足底腱膜が伸張することで、しなやかに衝撃を緩衝するとされています。

 

このトラスメカニズムができなかった事、そして、ハイアーチによって三角構造の底辺の伸張性が不十分になりやすく衝撃吸収力は低下し、さらにフォアフット走法であったことが後脛骨筋腱炎を生じたと考えたんです。

 

道具の確認を怠ってしまったことで、痛みを最後まで取りきれなかったんです。

 

道具の選択も治療家の対処療法!

スポーツにおいてプロの世界ではエキップメントマネージャー(EMG)と言われる仕事があります。

 

ちなみにエキップメントマネージャーを日本語に訳すると「用具係」というんですけど、プレーに関わる用具を管理・整備する役職です。プロ野球やJリーグ、NBAなどではポピュラーな存在で、サッカー界では「ホペイロ」と呼ばれることもあります。

 

余談ですが、現在、Bリーグクラブでこの役職を専門とするスタッフは、たった一人らしいです。それも女性が活躍しているらしいです。

 

プロの世界では管理してくれる方がいるけれど、子供達のスポーツ現場では管理は各個人ですることがほとんどですよね。今回は靴の管理についてですが、競技によっては道具が様々あり、その選択を誤ると怪我につながってしまうし、道具だけでなく環境によっても影響は出て来ます。

 

今回の自分の場合、運動機能面やアライメントに目を向けすぎていて、そこからのメカニカルストレスを減らす選択に偏っていたことと、道具による影響を見逃していたことが痛みがとれなかった原因だったんです。

 

このような自分の過去の失敗を繰り返さないためには、初回時にしっかりとした問診が大切だと改めて感じたんです。情報に漏れの無いようカテゴリー別に隅々まで聴くことができるようになるのは、必須スキルだと思います。

 

P.S.

ちなみに、うちの息子は大好きな靴でずっと履いていると思ったのですが、靴が大きいとわかって園庭では裸足で走り出したとのことでした。ちょうどいいサイズに足が成長するまでお預けですね。

でも、転けて怪我をするぐらいなら靴を履かないという選択!!

我が子ながらあっぱれ!ある意味で順応が高い息子でした。笑


この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。