痛みを知るための秘訣 | 日本オランダ徒手療法協会

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痛みを知るための秘訣

2022.09.19

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

私は、今懸垂にハマっています。

 

以前のブログでも紹介した懸垂のギネス記録を見てから本格的にやり始めたのもあって家にも懸垂のバーを取り付けるほどハマってしまっています。

 

そして、なんと息子も懸垂にハマっているんですよね。

 

懸垂を続けることで、基礎代謝アップが期待できるし、なんてったって姿勢改善効果を得られることが一番かもしれません。

 

最近では自らの体で懸垂は肩こりにも効いてると実感しているんです。

 

ブログを書いたりとデスクでの作業が増えたことで、目の疲れや肩こりが出て来ていたんですけど、懸垂をするようになって肩こりが解消できたんですよね。

 

って、懸垂の効果は、他にも息子とのスキンシップにもなっているんです。

 

私が、懸垂してると、

 

「僕もーーーーー!!」

 

ってな具合に突進してきて私のトレーニングを邪魔してきます。笑

 

息子が懸垂にハマっているとは言ってもできるわけもなく、私が介助をしながら毎日10回の5セットしています。

 

5セットって聞こえよく言っていますが、

 

ただ、子供の「もう一回」地獄の5セットです。

 

その後は、私の腕もパンパン。

 

でも、その結果ではあるんですけど、この前公園で

 

ターザンロープ?っていう遊具を初めて目にして、

「あれしたい」と指差して走り出したんです。

 

まだ、3歳には早いのではと思っていたのですが、一度やらせてみるとしっかしとロープを掴んで、できていたんです。

 

腕の力や握力も自然と付いていたんだと感心しちゃいました。

 

大人でもターザンロープは楽しいので案の定「もう一回」が発動!!

 

そこは仕方がないので徹底的に付き合ったんです。

 

でも、もっと感心したのは、順番をしっかり守っていること。

 

保育園でも、お友達と遊んでいるときに保育士の先生に順番を守って遊んでいるんだなと感心するとともに感謝の気持ちが湧き出ちゃいました。

 

息子と遊ぶたびに、息子の成長を何個も感じられるひと時です。

 

さて、

 

息子とのノロケ話もこのくらいにして、

 

今回は「順番」についてお話をしようと思います。

 

あなたは、痛みの評価をどんな順番で行なっていますか?

 

意外と順番を意識して聞いている方は少ない気がしたので、私が心がけている痛みを聞く「順番」をお話しさせていただきます。

 

痛みの原因が分からない

 

 

以前、後輩からこんな相談をされたんです。

 

後輩「股関節痛の患者さんで痛みがなかなかよくならなくて悩んでいるんですけど、、、」

 

数日前に家の周りを散歩していて階段を降りている時に股関節が『グキっ』てなったそうなんです。

 

70歳台後半の男性。

 

今回痛めた股関節とは別に逆の膝には大腿骨内顆骨頭壊死が既往にある方。

 

普段から杖を使って移動していているんですけど、結構アクティブに活動されている方で、 

痛めた時も杖をついて歩いていたんですが、家族から見るとかなり引きずったような歩き方だったらしいんです。

 

それで、心配になって整形外科に来てレントゲンを撮ってもらったんですけど、結果は骨には異常がないとのこと。

 

股関節周囲炎の病名がついてリハビリをしているみたいなんですけど、でも、その痛みが未だに続いているということなんです。 

 

こんな相談を受けた時、あなたは何を一番に聞きますか?

 

私の痛みに関して聞く順番というのがあるんですけど、

 

その順番は次の通りになるんです。

 

<痛みの評価>

・痛みの場所はどこか?

・痛みの範囲(局所なのか?広範囲なのか?)

・圧痛の有無・場所

・叩打痛の有無

・安静時痛があるかどうか?

・痛みが出る動作は何か?

・生活できる痛みかどうか?

・痛みの経過(減弱しているのか?維持しているのか?増強しているのか?)

 

意外とこの順番にはこだわりがあるんですが、

 

痛みに関してこの順番で行く理由としては、

 

痛みが急を要するかどうかの判断をしているんです。

 

まぁ要するにレッドフラッグ かどうかです。

 

痛い場所の範囲が局所の場合は、組織損傷が考えられるんですよね。

 

その場合は、安静にしてもらうとか、早急に何か対応をしたほうがいい場合が多いんです。 

逆に広範囲の場合は、

 

関連痛や放散痛が考えられ、組織の損傷はあまりない可能性があるんです。

 

こういう痛みの場合は、治療ができる可能性が高いんです。

 

ってな感じで、上記の順番でやると、リハビリや運動させていいのかとか?患部を動かしていいのか?などがわかった上で、次のステップに行けるんです。

 

そして、

 

今回のこの患者さんの場合なのですが、

 

・痛みの場所は大腿骨頭と大腿前面

・局所的な痛み

・痛みの経過はあまり変化がない

・叩打痛は少し響いて痛みが出る

・圧痛は大腿直筋

・安静時痛はない

・動作では股関節を広げたり閉じたりすると痛い

・立位で体重をかけると痛い(歩行でも痛い)

 

この患者さんの情報からすると筋肉に問題があると思いますよね。

 

仮説としては筋力も弱り、散歩中に捻ったか、体重がのって、筋損傷って感じかも?てな具合に。

 

なので、もしかすると肉離れの可能性も捨てきれない。

 

でも、他にも可能性はありますよね?

 

それは?

 

骨折の問題は?

 

 

それは、骨折の問題です。

 

でも、レントゲンは撮ってて、異常なしっていうことだから、骨には問題がないのでは?

 

確かにそうなんですよね。

 

でも、今回の患者さんで気になったのが、叩打痛が微妙に痛みを伴っていたこと、あとは大腿骨頭に圧をかけると痛みが出たところが気になったんです。

 

それに、大腿骨頭に垂直にストレスをかけた時にも同様に痛みがあったらしいんですよね。

 

なので、骨折の可能性も視野に入れないといけないと考えたんです。

 

その可能性をさらに後押ししたのが、逆側の大腿骨内顆骨頭壊死と骨粗鬆症が既往にあったってことなんですよね。

 

この患者さんの習慣では、お酒も大好きで、さらには愛煙家という点。

 

実は日本骨粗鬆症学会でのガイドライン2015に、

 

”喫煙と過度の飲酒は骨粗鬆症の危険因子であり、喫煙には腸管でのカルシウム吸収抑制作用と尿中への排泄促進作用があり、非喫煙者に比べて骨折リスクが1.26倍にもなる。

また、アルコールを1日3単位(1単位:エタノール8〜10g)以上に摂取すると骨折リスクが1.68倍に高まる”

 

とされているんです。

 

ちなみに余談ですが、3単位のアルコールって、

 

・ビール:500mlを3本分

・焼酎:アルコール度数25度110mlを3杯

・日本酒・ワイン:アルコール度数15度180mlを3杯

 

らしいですよ。

 

これ以上飲み過ぎているのであれば、骨折のリスクが高まるので注意が必要ですよね。

 

話は戻りますが、この患者さんも喫煙と飲酒の影響から骨が脆く弱いのでは?って思ったんです。

 

だから、骨頭の壊死か骨挫傷の可能性は捨てられなかったんですよね。

 

で、担当医とカンファレンスを行なって、肉離れの可能性と骨頭壊死・骨挫傷の可能性があるから MRIとCTを撮って精密検査をしてもらったほうがいいのではと伺いをたてるように話をしたんです。

 

痛みの原因がわかることで、リハビリの介入の仕方や生活の仕方、提案が変わってくるんです。

 

逆に言えば、今回のように原因がわからないままリハビリを続けていきなかなかよくならない。むしろ悪化させてしまう可能性があるんです。

  

だから、痛みの原因を特定することっていうのは重要なんですよね。

 

結局、その方の痛みの原因は何だったのか?

 

それは、大腿直筋の肉離れだったんです。

 

なので、今では筋肉の損傷を軸にリハビリを実施しているんです。

 

まずは、痛みの場所が局所なのか、それとも広範囲なのかを問診で聞いてみることで痛みの原因の一つがわかるかもしれません。

 

P.S.

ターザンロープがめちゃめちゃ好きになった息子は、ターザンロープでいっぱい遊んでいて嬉しいのですが、

 

まだ、3歳一人では危険もあるし危ないので、私が補助をしなければならない。

 

そう、

 

ターザンロープで息子が遊ぶたびに、私は走って追いかけ続ける無限マラソンのおかげで体力を削られています。泣

 

P.P.S

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この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。