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治せる治療家は〇〇で決まる! | 日本オランダ徒手療法協会

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治せる治療家は〇〇で決まる!

2021.11.11

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

私が理学療法士になって2年目のときに、実は理学療法士をやめようと思ったことがあるんです。

 

それは、患者さんに何で治らないのか全然わからなかったことがきっかけだったんです。

 

1年目の新人のときは、院内勉強会はもちろん院外の勉強会に参加してなかなか治らない患者さんのために、自分のスキルアップのために張り切って行っていたんです。

 

今思えば、1年間だけですべてを網羅することはできないですけど、目の前の患者さんが良くなるためにと必死になって勉強会への参加や文献、著書を読んでたりしてたんですよね。

 

でも、どうしても良くならない患者さんがいたんです。

 

自分が新人の時に陥っていたこととしては、

 

『痛みをどうにかしないといけない!!』

 

ってなってしまっていた過去があったんですよね。

 

あの頃を思い返すと患者さんの状態を無視した治療や評価をしてしまっていたなぁ、、、。

 

『痛み』をどうにかしようとしてしまって結果的には治る人もいれば、全然治っていかない人もいますよね。

 

その当時は、なんで教科書上に書いてある通りにやる、勉強会に行って学んだテクニックをやってみるけど、いい結果になる人とならない人がいるのかがわからない状態だったんです。

 

だから迷いがあって、患者さんからなんで治らないのか聞かれても答えることができずに、

 

そのせいで自信も失ってしまって自分には理学療法士は向いていないんじゃないかって思ってしまっていたんです。

 

その中の一人に私が過ちを犯してすごく印象に残っている方がいるんですけど、

 

その方は股関節が痛い。これがなんで痛いかわからない。

 

痛いと言ってたからストレッチをしたりマッサージをして、ホットパックで温めてなんて治療をしていた。なんで痛いのかあまりわかっていない状態で、、、。

 

股関節は硬く動きにくい状態だったから痛いんだろうくらい。

 

それを繰り返しやっていても一向に良くなっていかなかったんです。

 

そんな、私の失敗してしまった患者さんのことをお話しさせてもらいます。

 

右の股関節が痛い女性

 

右の股関節が痛くなったと受診されて、変形性股関節症の診断を受けリハビリをすることになり、私が担当することになったんです。

 

日頃からテニスを週に2回ほど通って、ジムなどにも行ったりするすごく活発的な方で最近、股関節が痛くてテニスをしてたら痛くなってしまうとの訴えがあったんです。

 

痛めたきっかけなど聞くと、心当たりがないとのこと。

 

ちなみにテニスで構えを「レディポジション」と言って、 足は肩幅くらいに開き、膝をすこし曲げ、ラケットを体の正面にセットする姿勢がありますよね。

 

そのレディポジションからサイドステップをすると腰と股関節が痛くてできないと訴えていたんです。

 

実際に動かしてみると股関節周りは硬くて、屈曲、内転、内旋位の複合運動をさせるとより仙腸関節のあたりと臀部の痛みの訴えをしていたんです。

 

このテストが陽性だった場合、仙腸関節の疼痛誘発テストでもあるため、自分は痛みの原因はこれだと思ったんです。

 

話を聞いていくと、過去にぎっくり腰をしたことがあって、それがきっかけで運動をすることを心がけていたそうなんです。

 

この話を聞いてさらに自分の思った仙腸関節由来の痛みだからだと、そのまま治療を開始。

 

治療といってもその時に教わったばかりのテクニックを実施したんです。

 

結果は、腰の張った感じが減って少し動きやすくなった程度だったんです。

 

あ〜、この時に戻れるならこの判断をした自分をめちゃめちゃ叱ってやりたい。

 

なぜかわかりますか?

 

本当の痛みの原因を見ていなかった。

 

新人の時にあるあるだと思うんですが、痛みの原因をしっかりと把握できていないのに治療を始めてしまうことありますよね。

 

ま患者さんから情報を聞き出す問診もあまり重要視せずに、最近習った評価やテクニックを使いたがってヒットすれば、それだと決めつけてしまうんです。

 

このケースの場合だと、仙腸関節のテストをして痛みが出てしまったから、自分自身の先入観と決めつけでことを勧めてしまっていたことで、結果がよくなかったんです。

 

それもそのはずなんですけど、まず仙腸関節だけが原因ではなかったんです。

 

じゃあどこが問題だったのか?

 

それは膝に擦り傷がヒントになっていたんです。

 

膝の擦り傷!?そんな情報はどこにもなかったけどなぜ??

 

それは、本人も気づいていなかったあるきっかけがあったんです。

 

犬の散歩での出来事がきっかけ!?

 

痛めたきっかけが、テニスの時ではなく飼っている犬の散歩道で足を踏み外したことで、右膝をついて転倒したことが最近あったらしいんです。

 

本人はテニスのやりすぎなのかなくらいで、犬の散歩で転けてしまったことを忘れていたんです。

 

このきっかけって、膝から転倒したことで股関節臼蓋の後方部分にかなりの衝撃があり、寛骨臼と大腿骨頭の骨膜へ圧迫ストレスにて炎症が生じたのではないかと考えたんです。

 

それに私が気づかずに生活の負荷レベルを調節できずに、さらにはテニスをさせてしまって痛みをこらえながら過ごさせてしまっていたんです。

 

実は、私がこのことを知らないまま、この患者さんは1ヶ月リハビリをした結果、痛みが引くどころかますます酷くなり、

 

MRIをとって骨膜炎が見つかって松葉杖をつかなければならなくなってしまい、最終的には人工骨の手術を選択されたんです。

 

この経験はすごく苦い思い出で、自分がしっかりとこのきっかけをいち早く気づいていればこの患者さんは手術をしなくてもよかったのではないかと自分自身が歯痒くてたまらないですよね。

 

そもそもの痛みの原因を見極めることができなかったこともそうですが、リハビリをするべきではないレッドフラッグ かどうかの見極めも怠っていた自分にとって恥ずかしい経験です。

 

でもこれって問診をしっかりすることで防げることなんですよね。これを読んでいるあなたにも私と同じような苦い経験をしてもらいたくないので、しっかりと痛みの原因追求はしてくださいね。

 

P.S.

私が当時勤めていた上司に、理学療法士をやめると相談をした際、かけてくれた言葉があるんです。

 

『僕も最初はそうだった。誰でも経験することだよ。』

 

『でもその悔しさをバネに乗り越えた時、同じ悩みを持った後輩ができたら、それを伝えてあげて。』

 

自分にとってはかけがえのない言葉で、

 

その言葉を胸に今は、病院の後輩やスクールの講師として同じ過ちを犯してもらわないように自分の思いを伝えています!!

 


この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。