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閾値コントロールが治療の鍵
2020.04.27From:長島 将太
@自宅デスクより
患者A『先生、そこクスグッタイです・・・(笑)』
患部を触る前に異なる部分の施術を挟む・・・
長島『じゃあ、これならどう?』
患者A『あーさっきより全然感じない!!』
患者さんが時折訴える『くすぐったさ』も
ある原理を使えば感覚を正常化させる事が可能です。
一方で、この「くすぐったさ」が原因でリラックス出来ず、
緊張がなかなか抜けな状態ってありますよね。
勝手な私見にはなりますが、上半身では腋窩付近や脇腹あたり。
下半身だと大腿部付近を中心に『くすぐったさ』を訴える方が多い印象です。
さらに、トレーニングをやっている高校生や大学生、社会人の方など
普段から身体を鍛えている患者さんがより過敏な人が多いように思います。
では、なぜ「くすぐったさ」が出るのでしょうか?
ただ感覚が過敏だからでしょうか…?
実はその『過敏さ』には治療のヒントが隠されています。
今回は前回の続編『力が抜けない要因』を違った観点から話したいと思います。
なぜ『過敏』になってるの?
痛みに過敏…触られるのに過敏…
なぜこのような状態が起こるのでしょうか?
諸説ありますが、
その一つに刺激に対する『閾値の問題』があります。
通常、ヒトはそれぞれの組織でこの閾値が設定されています。
ある一定量の刺激が入ると「痛み」や「触られている」と感じる状態の事です。
閾値においては・・・
「閾値が高い」=刺激を感じにくい
「閾値が低い」=刺激を感じやすい
そして、
この『閾値をコントロール』が臨床での鍵となるのです。
例えば、冒頭に上がった『くすぐったい』と訴える方は
運動やトレーニングによる使い過ぎで筋緊張状態が高くなってる事が考えられ、通常の状態に比べ触覚刺激に過敏な状態となっており、閾値が低くなっています。
このように、使い過ぎの結果としてセンサーとなる筋肉や筋膜、腱組織がパツパツに…皮膚がピンッと張ってしまい必要以上に刺激を感じてしまうのです。
筋肉が張っている=筋/腱紡錘の閾値低下
皮膚が張っている=受容器の閾値低下
では、そのセンサーをリリースやストレッチ緩めればいいのか?
正解です。
ですが、もっと良い方法があるのです。
『神経生理』を臨床応用してみる
それは、神経生理を使って筋緊張をコントロールするのです。
「神経生理・・・?」って声が聞こえてきそうですね(笑)
例えば、筋肉にはそれぞれ支配神経というものがありますよね。
肩周りであれば神経支配は頸椎5〜6番目あたりですよね。
大腿部あたりだと腰椎1〜3番目あたりです。
この部分の頸椎や腰椎に対して『刺激』を入れる事で調整をします。
ピアノの調律師がやっている弦の張りを調整する『チューニング』のようなものです。
ただ、『刺激』と言ってもなかなかピンと来ないと思いますので、
具体例として『モビライゼーション』が分かりやすいですね。
大腿部をチューニングしたいなら、腰を捻ったり、曲げ伸ばしをしたり、左右に傾けたりと、とにかく様々な方向から刺激を入れる。
肩まわりなら、『頸椎を動かす』がポイントですよね。
このように、直接的なアプローチではなく神経生理学的観点でアプローチを行った上で、患部に対してリリースやストレッチを行うと『くすぐったい』や『痛みに過敏』な状態を調整できるので、よりスムーズに治療ができるでしょう。
治療で結果を出すには、『効果を最大化』させる為に様々な観点から現象を捉えて治療を計画していく事が何よりの近道になるでしょう。
何事も急がば回れですね。
PS
細かい神経生理学の話をすると何十時間もかかってしまいますので割愛しますが、
是非教科書を見直してみると、たくさんのヒントが隠されています。
もし、教科書は難しいと感じるならDMTのブログがお勧めです(笑)