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治療時間が足りない治療家へ
2019.04.25From:長島 将太
@空港のスタバより
後輩スタッフ「時間が足りないんです…」
そう言った後輩の表情は不安で、今にも泣き出しそうだった。
桜咲くこの春先は、どの会社でも新入職員が入社したり、担当部署の配置換えがあったりと慌ただしくなる時期ですよね。
当院でもリハビリテーション部の外来/入院班で配置換えがあったんですね。今期は、退職者もほぼ居なかったので、臨床2年目になる天真爛漫なキャラクターの入院スタッフ1名のみが3月中旬に外来に移動になりました。
そして移動から約1ヶ月たったある日。
いつものように業務終了後にトレーニングルームに行くと
いつもは明るくて元気なスタッフが浮かない表情をしてたんですね。
色々と話を聞くと、入院から外来に移動したスタッフならではの悩みの数々。
自分の中でも経験済みの「あるある」だったんで、凄く共感できたと同時に、昔の自分を見ているようでした。
臨床あるある談
外来が中心の病院(クリニック)や整骨院でよく聞く話ですが、、、
「治療の時間が少ない」
「問診なんて、やる時間がない」
「1単位20分で結果を出さなくては、、、」
「時間が無いから結果も出しにくい」
私も昔は同じように感じていました。
そして、こう思うようになっていたんです。
新人長島PT
「時間が足りない中で結果を出すには、どうすれば良いんだろう?」
新人長島PT
「そうだ!!即効性のある治療テクニックを身につければ結果が出るかも!」
「系統だった評価方法を知れば、どういう治療をすれば良いか分かるかも!」
そんな訳で「効率的な治療」「結果の出せる治療」を求めて色んなセミナーに参加していきました。
セミナー中は偉大な先生方の講義とデモンストレーションを間近にしてたので、まるで「魔法のような治療」をみている様でした(あの時はあの時で”学ぶ”のは単純に楽しかったんですけどね!!)
セミナーに参加後は、「これならイケる気がする!」と意気揚々と翌日の臨床に望んでいたのですが、、、上手くいく治療が2〜3割ぐらい(苦笑)
セミナーで習った通りにやっているはずなのに、なんで結果が出ないのか悩みました。
今振り返れば、患者で悩むというより、方法論で悩んでいる感じでした。
「治療に魔法はない」
この言葉。私の師匠が言っていた印象的な言葉です。
自分がいくら時間をかけても結果が出せなかった患者さんをいとも簡単に変えてしまう先生方の治療は、新人の治療家から見るとまるで魔法のように見えてしまいますよね。
だから、その先生がやっている「技術」や「テクニック」に目移りしていたんです。
いわば直ぐに結果が出る「時短テクニック」を追い求めてしまっいる自分がいました。
でも、結果は変わらない…
そんな事を繰り返している内に偉大な先生方の共通点がみえる様になってきたんです。
(セミナー中で気づいたと言うより、懇親会で発見したんです!!)
それは、、、
共通点「先を見通す力(先見の明)」
セミナーでは、「理論」や「テクニック」が話題の中心になっていますが結局は全て「方法論」の話なんです。
実は、それより大切なのは「なぜそのテクニックなのか?」「なぜそのアプローチをしたのか?」「なぜそう考えたのか?」と言った臨床家の頭の中なんですよね。
そこで共通していたのが、「目に前にいる患者さんの状態を見極めて、今必要なアプローチを実践している」という事でした。
そして、その中で取捨選択して自分のテクニックの引き出しから「選択」している。
特に優れている治療家はいずれも、、、
「今変えれる事」と「今変えれない事」
「今やる事」と「今やらない事」をしっかりと見極めて治療していました。
このことに気づいてから自分の治療で、なぜ結果が出ないか理由が分かりました。
それは、「今変えれない事」に対して一生懸命に変えようとアプローチしていたり、「今やらない事」まで熱心に時間を裂いて治療していたんです。
ネガティブな言い方ですが「我武者羅な治療」だった訳です。
(下手な鉄砲数打ちゃ当たる的な??? 笑)
もし、昔の私や後輩のように「治療時間が足りない」「限られた時間で結果が出せない」と悩んでいる方がいれば、一度自分自身の治療の全体象を見つめ直してみると、違った気づきが得られるかもしれません。
「今変えれない事」や「今やらなくてもいい事」まで手を伸ばして結果を出そうとしているのかも(汗)
そろそろ「魔法」が解けても良い頃ではないでしょうか?
PS
料理なら「時短テクニック」は重宝しますが、臨床においては「時短テクニック」や「すぐに結果の出るアプローチ」は存在しなかった。と言う結論です。