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信頼を失う治療家の共通点 | 日本オランダ徒手療法協会

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信頼を失う治療家の共通点

2021.09.24

From:長島 将太

@自宅オフィスより

 

2週間前の話。

 

『あの整体師の先生、信用してたのに…』

 

そう嘆いていたのは、

私が担当することになった新規の患者さん。

 

1ヶ月前から肩こりが酷かったので、

行きつけの治療院に通っていたらしいんですね。

 

その治療院とは、

3年前に腰痛になってからの付き合いらしい。

当時、腰痛で困っていた患者さんの症状を

見事に解消してくれたので、

 

それ以来、

患者さんにとって信頼できる治療院になり、

 

カラダに不調があれば、

その治療院がかかりつけになっていたそうなんです。

 

そんなある日。

1ヶ月前からがだんだんと肩こりが酷くなってきたので、

いつものように治療院へ出向いた患者さん。

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

いつもの施術前の問診があり、

1ヶ月前の肩こりの経緯を聞かれて、

早速施術へ。

 

いつもの慣れた手つきで首をマッサージしたり、

しっかりと首と肩のストレッチをしてくれたそうなんです。

 

施術が終わった後に治療院の先生から、

 

『〇〇さん、ただの肩こりだから大丈夫ですよ』

 

『次回までに、このストレッチをしてて下さい』

 

その時は、

少しスッキリしたな〜と感じていた患者さん。

 

ですが、

翌朝に目が覚めるとスグに

身体の異変に気づいた。

 

患者さん

『あれ、首がまわせない…』

『しかも、首も痛くて、右腕も痺れてる…』

 

あまりにも強い頚部痛と、

右腕のしびれを感じた患者さんは、

 

『これはヤバい…』と感じて、

当院を受診されたんですね。

 

その結果。

 

診断名は『頚椎症性神経根症』

 

この診断結果を聞いた患者さんは、

悲しい表情で『もうあの治療院には行くのが怖くなりました…』と

言っていたんですね。

 

一度は患者さんの信頼を

しっかりと勝ち取っていた筈なのに…

 

状況が一転して、

信用できない治療院になってしまったのです。

 

なぜ、このような事態になったのでしょうか?

 

その原因は、

患者さんのある訴えを見落としていたからなんです。

 

肩こりの本当の原因

 

その訴えとは・・・

『肩から腕にかけての違和感』でした。

 

当時、治療院の先生にも

この症状の話はしていたそうなんですね。

 

ですが、

その先生は、違和感の症状はあまり気にすることなく、

姿勢や、背骨の歪みなどの評価を中心にしていたんだって。

 

患者さんにとっては、

肩こりと同じくらい『首〜肩周りの違和感』も気になっていたんだけど、

 

施術も始まってしまったので、言い出せなかった…

 

あの時、ちゃんと気になっている症状をきちんと説明していれば、

こんな事にならなかったのに…とすごく後悔されていました。

 

このように、『肩こり』のような不定愁訴の場合。

 

治療家の先入観で、『本当は治療してはいけない状態』を見逃してしまい

症状が悪化するようなケースが少なくありません。

 

治療家を信用してくれている患者さんですら、

この判断を誤れば、一気に信用を失ってしまう訳です。

 

これまで築いてきた信用を失うのは、

患者さんも治療家も損ですよね。

 

だからこそ、

患者さんが病院を介さずに来店される治療院や整骨院の先生方は、

特に、この部分をもっと重視することをオススメします。

 

違和感の正体を見破る鍵は『再現性』

 

それが、『問診』です。

 

いま『問診???』って思いましたよね(笑)?

 

そうです。

問診の部分を重視するべきです。

 

なぜなら、問診は

治療家やセラピストが治療を行う上で

『治せる状態だ!』と判断するための入り口だからです。

 

この話は、視点を変えて何度も出してますが、

それぐらい本当に大事なんですよね。

 

治療家が治せない状態だと判断したら、

きちんと専門医を紹介する。

 

治せると判断した場合は、

全力で改善に向けて施術する。

 

この判断を誤ってしまっては、

今回のケースのように症状が悪化してしまい、

信用を損なう恐れがあります。

 

今回のケースで言えば、

 

『肩こり』と『首から肩への違和感』という2つの症状を、

一緒くたにに考えて、姿勢の問題、背骨の問題と決めつけてしまい、

先入観で判断をしてしまった事に原因があります。

 

このようなケースを避けるためにも、

 

まず『肩こり』の原因、『首から肩への違和感』の原因を分けて考えること!

 

そして、

それぞれの原因となる症状の再現性をとことん洗い出すこと!

 

この2つの視点を持って、問診を進めることを強くオススメします。

 

特に『症状の再現性』は、超・超・超重要!!

 

個人的には、この再現性が出せないと治療してはいけなんじゃないか…

と思うほど大事な部分です。

 

痛みやしびれ、違和感を再現できている…ということは、

限りなく症状の原因に近づいているという証拠だからです。

 

この再現性を出すことが出来れば、

治療判断の精度は格段にアップできるでしょう。

 

最後になりますが、

私はこれまで疾患名などを聞いたり、見てしまうと…

先入観をもった問診、評価を行っていたので、

今では本当に反省しています。

 

治療家の先入観は、

本当に気をつけた方が良いです。

 

あなたがこれから担当する患者さんのためにも、

最悪のシナリオに進まない、進ませない問診スキルを

身につけてみてはいかがでしょうか?

 

 PS

今回紹介したケース(頚椎神経根の問題)

 

その後、、、

 

治療して2週間ほど過ぎましたが、神経症状は緩和し、

痺れや痛みも、VASで『8』→『1~2』へと軽減。

 

車の運転に支障をきたしていた頚部の可動域制限も、

今では回旋制限のみとなってきたので、

これからは神経の抵抗力を見極めながら運動療法を行い、

職場復帰を目指しています。


この記事を書いた人

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長島 将太

理学療法士。南川整形外科病院(http://minamikawa-hp.com/about/rehabilitation.html )JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。