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痺れの原因を間違えてヒヤリ。あなたのその評価大丈夫?
2021.11.22from 杉山 貴規 自宅デスク
この間、知り合いのクラブハウスをちょっと覗き見
覗き見というと、なんかイヤらしい感じですが、
前々からクラブハウスに顔を出しますといっておきながら、
それが仕事の関係でできなかったんで、
いざ、いってみようって思って覗いてみたんです。
クラブハウスのことを知っていない人もいるんでちょっと説明。
簡単にいうと、ラジオのDJ(しゃべっている人)とリスナーの関係がわかりやすい。
そこに、DJがリスナーで喋りたい人を飛び込みスタイルでDJ側に呼ぶことも可能。
っていうのが、クラブハウス
っで、いざ顔を出してみると、
知り合いの方が、リスナーの自分をDJ側に呼んでくれたんだよね。
人前で話すのがすごい下手で、何を喋っていいのかわからない状態。
もう緊張しっぱなし。
で、何の話かというと
『子どもの歯』のこと
DJの方に、歯科医の先生がいらしゃって、様々なためになる話をしていたんだよね。
そんなところに、歯のことなんてほとんど知らない自分が登壇。
もう〜無理だよって心で思いながら、
自分の知っている知識を引っ張り出してお話しさせてもらったんだ。
自分は育成年代(中学生〜高校生)のサッカーの選手を多くみているんだよね。
実は、この年代の歯に関わらず、顔の形成はパフォーマンスに関わるんだよね。
顔の形成・歯?
何でこれがパフォーマンスに関わるのか?
何となく知っていると思うんだけど、
プロスポーツにおいて、マウスピースをしてパフォーマンスを上げている人は多いですよね。
それは噛み合わせが上手くいかなったり、毎回ハイパフォーマンスを促すことで強く噛むことで歯がボロボロになるからそれを防ぐ上でもマウスピースをつけているんだ。
で、子どもたちも同様なんだけど。
このコロナ禍でマスクをすることが絶対。
その影響で、口呼吸をが増え、口を閉じない子供達が急増して、口の咀嚼筋などが弱くなっているんだよね。
だから、マスクを取っていざ話すと、口ぽかんと開けて人の話を聞く子が本当に増えてきている。
また、口呼吸になることで、口の中にばい菌が多くなったり、乾燥したりすることが多くなって虫歯になりやすいっていう情報もあるくらい。
つまり、歯と口の形成が悪いと、グッと噛むことができないからこうパフォーマンスが発揮しづらくなるんだ。
この話は、今回登壇していただいた歯科医の先生も同じ意見だったんだよね。
その先生いわく、口周りの形成っていうのは、口の周りの咀嚼筋や表情筋の筋肉だけではなく、その中の歯の土台、『歯茎』にまで影響するらしい。
この土台が弱いと、歯並びが悪くなって噛み合わせが悪くなり、踏ん張る時のパワーが発揮できなっていうんだ。
そのためにも、やはり日常から歯の評価っていうのは、大事っていうんだよね。
いや〜ためになったよね。
見えないところの評価はより重要。
ここでも、他の分野の人との交流っていうのはすごい、イノベーションを引きを越すきっかけになるんだってつくづく感じた。
さてさて、今日はどんな話をしようかと、これを書きながら考えていたんだけど、
先日、親指の痺れで困っている患者さんを見ることになったんだ。
その患者さんの訴えは、左手の浮腫、指の可動域制限と親指の痺れ。
そして、もう一つが右手の親指の痺れを訴えてきた方だったんだ。
この左右の痺れ、実は全く原因が違っていたんだよね。
それを、どのように評価してどのように治療していったのかを今回紹介します。
浮腫が原因の痺れ
実はこの患者さん以前にもブログの中で紹介した患者さんなんだ。
乳がんで左乳房切除している。
そのリハビリを継続的に見ているんだよね。
最初は、本当に浮腫がひどくて、象の足とは言わないけど、
右手に比べて一回り大きい感じだったんだ。
その症状っていうのが
・浮腫
・可動域制限(肘・手首・手指)
・指の痺れ
乳房切除は局所のがんを取り除くという目的ともう一つはがんの全身への転移を抑制するために行なっているんだ。
乳房にはリンパ腺があるから、それが全身に波及しやすいんだよね。
特に、脳への転移が怖いのでそれもあって、切除っていうことになるんだけどね。
実際、これはうちの母もやったことなんで、よくわかる。
話が逸れたんで戻すけど。
それで、上記の症状を改善するためにはむくみを改善することが一番なんだ。
というのも、
浮腫を取ることは、感染症予防、壊死予防になるからこれは絶対なんだよね。
それで、浮腫があることで日常生活にも影響が出るんだ。
それは、可動域が浮腫によって邪魔されているせいで、肘が曲げ辛くなって洗髪や体を洗うことに制限が出たり、手指が曲がりにくくなって、コップをつかみにくくなったり、ボタンをはめるなどの細かい作業ができなくなったりと生活のあらゆる場面で制限が出てしまう。
だから、この浮腫を取ることは重要なんだよね。
そして、痺れに関してなんだけど、これは上記の生活動作にも影響してくるのはもちろん、痛みと同じですごい嫌な違和感を常に感じる中で生活しないといけなくなるんだ。
だから、浮腫を取るっていうことは、上記に症状を改善するのにすごく重要なんだよね。
なんで、浮腫を取ることを行なっていくと、この症状っていうは改善していったんだ。
そんな中、この患者さんが、もう一つの症状を言ってきたんだよね。
それは、右手親指の痺れ
こちらとしては、そうなんだ〜
っていう感じ。
でも、これも訴えがあったんで、ついでの感じで左側と同じような手技で右上肢全体を治療したんだよね。
ちなみに、左側の治療手技は以下の通り
・リンパドレナージ
・頸部〜上肢全体のモビライゼーション
・可動域訓練
・ストレッチ
ってな感じ
しかし、一向に良くならなかったんだ。
なぜ?
それは完全に自分の怠慢が引き起こした原因だったんだよね。
原因は姿勢とある左右の重さ
これって、『あるある』なのかなぁ〜
自分の『あるある』であなたはしていないことかもしれないけど。
リハビリの時間っていうのがあるじゃないですか?
そうすると主症状の方にどうしても、集中することになるから時間配分がなかなか取れなくて、ちょっとした訴えのところがないがしろになることがあるんですよね。
それは、本当に自分のダメなところなんですが、
今回もそんな感じがあったんです。
それでしっかりとした評価もせず、残り時間で同じような施術をやってしまったんです。
その結果、よくならない。
それで、なんでこの右手の親指の痺れが良くならないのか考えたんです。
実はこの痺れ、話を聞くとつい最近出てきた感じだっていうんです。
乳がんの手術以前はなかったものみたいなんです。
他のスタッフや過去のデータを見てもなかったんです。
ってことは何かしら原因があるって考えたんです。
右手を含んだ右上肢全体に左と同様の浮腫っていうものは存在せず、上肢それぞれの可動域制限っていうのは全くなかったんです。
右利きっていうこともあり、右上肢の活動も左に比べれば圧倒的多く、不動による循環不全っていうのも考えにくかったんです。
じゃ〜何が原因なのか?
それはあることがきっかけでわかったんです。
たまたま、その日は身体計測の日で入居者それぞれの身長を測っていたんです。
その時にその方が身長を測っていてあることに気がついたんです。
やけに体全体が左に変移している。
なんでだ〜
(あ〜、あ〜〜〜)
ここでわかった方も多いかと思います。
この親指の原因は姿勢による末梢神経絞扼引き起こしている痺れの可能性が大きいかも。
なんで姿勢を見なかったのか〜
本当に理学療法士失格って感じですよね。
しかも、今回の姿勢になった原因を作ったのが、乳がん手術による乳房切除
そのため、乳房の一つの重さが原因で前額面(正面から見た姿勢)の左右が不均衡になって、右の末梢神経が絞扼されている可能性が高いって考えたんです。
それで、絞扼されていると考えられるところを評価すると
次の1つでスパズムと圧痛の反応が出たんです。
スパズムは斜角筋と圧痛が頚椎6番目の際
右親指のデルマトームの領域はC6
斜角筋は腕神経叢(C5~C7)の神経支配
っていうところで一致しているんです。
それで、頚椎6番の前後のモビライゼーションと斜角筋のストレッチ・リリースを行い、最後に姿勢改善運動療法を実施したんです。
これを数週間実施すると、
痺れが出る回数が減ってきたんです。
今でもこれは実施しています。
このようにしっかりとした、原因追求のためのデータ収集や評価を行えば早期に解決できたことなんですが、
左右の痺れを同じ原因として見てしまった初期評価に問題があるんです。
今回のケースは大事に至らないから良かったですが、もしこれが大きな問題に発展していたらとお思うと患者さんになんて言えばいいのかって思います。
今回は、初期評価の大切さとともに、
同じ痺れでも、原因が全く違うケースを紹介して、あなたの臨床に役に立ててほしいと思いました。
ぜひ参考にしてください。
PS
なんか、このクラブハウス最近は人気がないっていうんだけど、色々な人の話が無料で聴けるし、その話の内容がセミナーと違って硬くないから聴きやすいんだよね。
また、次回も参加したいなぁ〜って思っちゃいました。
この記事を書いた人
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