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下角の痛みの原因は本当に広背筋?
2019.12.19from 黒田雄太 @自宅デスクより
12月に入り、2019年も残りわずかとなりました。
忘年会やクリスマスなど12月はイベントが多いですね。
今年の年始は食べ過ぎで体調を崩したので、年末から調子に乗らないように気をつけようと思ってます。
と言いつつも、すでに年末に職場の同僚と焼肉に行く約束をしてしまいました(苦笑)。
つい先日クリスマスケーキの特集があっていました!
いろんなケーキが紹介されていましたが、最近の流行りは「ビュッシュ・ド・ノエル」というものらしいです。
要はロールケーキの周りにクリームがある?ようなケーキ。
僕にはよくわかりません(汗)
そういえば我が家はケーキを注文してなかったとふと心の中で思い出したのですが、妻がその「ビュッシュ・ド・ノエル」とやらを娘と作るらしいので、注文するのを忘れていたとは言わずにすみました(笑)
そんな感じで年末は慌ただしくあっという間に正月になります。
こんな慌ただしい時期にはケガも増えちゃうんですよね(汗)。病院に勤めていたときは12月の入院が多かったのはとても懐かしいです。
今日は介護施設で起こったあるケガにまつわる出来事について話そうと思います。
急性の脇腹痛
それは80代女性の利用者さんでした。
特に外傷などケガのきっかけになるようなエピソードはなかったのですが、急に左の脇腹が痛くなりました。
痛みの部位を詳しく確認してみると、左肩甲骨の下角のあたり。
ただ、急に痛くなったものの、歩行器を使って歩けたり、腕を動かしたり、力を入れても痛くなかったんです。
改めて情報を整理すると、
・安静時痛や炎症所見なし
・上肢挙上などでの運動時痛なし
・肩甲骨下角周囲に圧痛はあり
・上肢を挙上すると肩甲骨が胸郭に擦れゴリゴリと音がする
・前日よりも痛みは軽減傾向
ということから、組織損傷も可能性はかなり低いだろうし、さほど問題ないなぁと思っていたんです。
しかも、ゴリゴリと音がするということから広背筋が問題ではないかと考えたんですね。
よく野球選手が投球時に肩甲骨下角周囲が痛い時には広背筋が問題になっていることが多いですよね。
高齢者で猫背も強く広背筋も硬いからそうだと思ったんですね。
ただ、1つだけ辻褄が合わないことがあったんです。
それは、広背筋に力を入れても痛みが出ない。
通常、筋肉が問題なら収縮時痛があるはず。でもそれがない。
おかしいなぁと思いつつ、少し肩周りや肩甲骨の動きをチェックしていると僕はあることを見落としていたことに気づいたんです。
これに気づいたことで、広背筋が問題であるという仮説は完全に崩れてしまいました。
実はこの痛みの本当の原因は…
肩甲骨が動くことを見落としていた!
本当の痛みの原因は肋骨でした。
ただし、圧痛はあるものの、叩打痛はなかったので骨折は限りなく可能性は低いだろうと思います。
僕が肩甲骨の下角周囲の痛みを確認していたときは上肢を下垂したままの姿勢だったんです。
上肢を挙上すると当然肩甲骨は上方回旋しますよね。なので、下角の位置は上外方に移動します。
もし、本当に広背筋が問題だったら、上肢を挙上して肩甲骨の位置が変わっても下角付近が痛くなりますよね?
ただ、この方の場合は上肢を挙上すると移動した下角周囲には痛みがなく、逆に下角がもとあった場所に痛みが出たんです。
つまり、肩甲骨が上方回旋し下角が移動したときに、その下角の深部に隠れていた肋骨に問題があったんです。
体の動きに伴う、組織の位置変化を意識していなかったために危うく大事なことを見落とすところでした(汗)
これは、靭帯や腱の痛みを鑑別するときにも利用できます。
関節運動に伴い、靭帯や腱は大きく動きます。なので、本当に靭帯や腱が問題であればその走行の変化に合わせて圧痛などもチェックしなければなりません。
改めて、組織鑑別の難しさと大事さを感じることができたケースでした。
【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように
P.S
念のため、高齢者だったのでレントゲンで骨折のチェックをしましたが大丈夫でした!
P.P.S
クリスマスケーキもリーズナブルなものから、超高額なものまで!最高額は45,000円の切り株型のチョコレートケーキでした(驚)。こんなの買えね〜(笑)