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復帰を目指すのに必須の基準とは | 日本オランダ徒手療法協会

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復帰を目指すのに必須の基準とは

2022.07.10

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

いやー、最近、すごく暑くなってきましたよね。

 

梅雨に入ったと思ったらもう梅雨明けしているって何事!?って感じ。

 

ちなみに、気象庁は27日に、今までの梅雨明け最短記録が残る1951年以来、関東甲信では最も早い梅雨明けになっていたらしく、梅雨の期間も21日間と最短となったそうなんです。

 

すでに、伊勢崎では6月の国内で最高気温の40・2度を観測して、まだ6月なのに!?って7月、8月はどうなるのだろうと心配ですよね。

 

それに加えて、ここ数日の猛暑の関係で、熱中症患者の病院搬送も急増しているそうです。

 

消防庁によると、6月24日で18人、25日で50人、26日で34人が搬送され、27日は24人が運ばれて、計126人のうち11人が重症で、過半数の72人が高齢者だそうなんです。

 

部屋にいるから大丈夫だと思わずに、こまめに水分補給をして、我慢せずに空調の調整が必要ですね。

 

また、梅雨入りした6月6日から26日までの降水量は前橋で95.5ミリだったそうで、ダムの水もあまり溜まっていないみたいなので今年は熱中症や水不足も心配になりますね。

 

さて、

 

前回のブログで、運動の負荷設定で、痛みのことについてお話をさせてもらいました。

 

私が考えている負荷設定の3つの基準ということで、

 

 ・痛みがなくなっていること

・損傷した組織の治癒期間を把握すること

・損傷した組織が目標の負荷に耐えられるか

 

その中の1つである「痛みがなくなっていること」についてお話しました。

 

前回までのあらすじとしては、

 

運動の負荷を設定する際に、痛みによって身体に起こる影響として

 

・循環が悪くなる

・痛みで動かさなくなる

・関節を硬くする

・筋肉の萎縮

・筋力低下を引き起こす

 

痛みを堪えながらやってしまうことでかえって悪くなるんだということをお話させてもらいました。

 

では今回は、負荷設定の残りの2つについてお話させてもらいます。

 

 

悩ましい復帰時期の評価と基準

 

 

早速ですが、

 

例えば、ある患者さんで登山が趣味だという方がいたとします。

 

この患者さんに、あなたはいつから登山をやっていいかを許可しますか?

 

すごく難しいですよね。

 

実際、私もこんな状況になったことがあったんです。

 

当時、臨床年数も3年目の病院勤務で、リハビリに関してはまあまあ自信を持ってやっていました。

 

そんな時に、「いつから登山していい?」と同じような質問が来たんですよね。

 

そして、当時の私の回答はというと、

 

「まだ難しいんじゃないですかね〜」

「今の状態では無理ですよ。また痛めるかもしれないですよ。」

「もうちょっと筋力とバランスが必要ですかね〜」

 

ってな感じで、まだまだ無理だと先送りにしていたんです。

 

今思えば、最悪なダメ理学療法士ですよね。

 

なぜって?明確に復帰できる時期を言えていない。

 

そんな感じで臨床をやっていた頃に、ある患者さんがいたんですけど、

 

それは、半月板損傷で来られた患者さんです。

 

その患者さんは山登りを趣味として色々なところを登っていたりしていたんです。

 

早く復帰してまた登山をしたいという気持ちでいっぱいでリハビリに臨んでいました。

 

理学療法士として少しでも早く目標を達成させたい一心でリハビリをしていたんですけど、

 

現実はそうは甘くなかったんです。

 

怪我を治すこと・痛みの症状を治すことは経過も良く、うまくいっていたんです。

 

でも、ある一言に対して安易に答えてしまったことが落とし穴にはまってしまうことに、、、。

 

患者さん「山に登ってもいいですか?」

 

この質問に私は明確な答えを出すことができなかったんです。

 

その当時リハビリしていた頃の基準は、

・症状の消失

・MMT5

・正常可動域になっていること

・不安定盤に乗っても痛みなくできること

・長距離が痛みなく歩けること

・階段を5〜6階上り下りできること

 

病院でできることはこれくらいだろうと思っていたので、この程度の評価で復帰させてしまっていたんです。

 

そんな中、事件が起きたんです。

 

曖昧な復帰で不幸のどん底へ 

 

 

「山登り中に膝がまた痛くなったんです、、、。」

 

リハビリを卒業して約1ヶ月くらいした時に再来したんです。

 

そう!再発して戻って来てしまったんです。

 

もう、めちゃめちゃ凹みました。

 

あんなに痛みなく色々できていたのになんで!?って感じでした。

 

その当時はなぜ痛みが戻って来てしまったのかわからなかったんです。

 

じゃあ、再発しないように復帰時期を明確にするためにはどうすればいいのか?

 

それは、

1.損傷した組織の治癒期間を知ること

 

半月板は保存療法でリハビリをしていたので、その損傷した組織の重症度によっても治癒する期間は違いますし、組織が違えばそれもまた治癒する期間は違ってきます。

 

だから、主治医としっかりコミュニケーションを取って回復度合いを明確にしていく必要があるんです。

 

ここの期間を見誤ると再発のリスクは高くなります。

 

当たり前のことなんですけど、そのことを曖昧にしたら私と同じ過ちを犯してしまうことになってしまいます。

 

2.組織がその動きや負荷に耐えられるか

 

今回の患者さんは登山を復帰することを目標にしていたので、本来であれば

・どんな山に登るのか?

・何m級の山なのか?

・登る山の環境は?

・足場の悪さは?

・階段は何段あるのか?

・荷物は何kg持って運ぶのか?

・どんな天気にも対応できるのか?

などなど

 

でも、登山に限らず、スポーツの競技特性を知って復帰に向けて負荷を設定する必要がありますよね。

 

スポーツだった場合は、

・怪我をした選手のポジション

・スポーツの動作

・競技特性

・チームの戦術

・怪我をした時の状況

・怪我をした部位などの情報収集

などなど

 

その情報から治癒期間を何週間前後で復帰できるか?

 

この内容を主治医と話し、決定します。

 

こんなことを考えて復帰する基準を決める必要があったんです。

 

でも、これって当たり前のことですけど、恥ずかしながら当時の私はここまで全く考えることができなかったんです。

 

でも、当時の自分はこれが全然できていなかったために怪我を再発させてしまい、患者さんが楽しみにしていた登山をまた長期間できなくしてしまったんです。

 

特にできていなかったのが、2番目の『組織がその動きや負荷に耐えられるか』です。

 

何が重要かというと、

 

ここでやる内容が細かければ細かいほど、復帰しても再発することはなく、予定通りに復帰できるんです。

 

例えば、

山登りを目標としている半月板損傷の患者さんがいたとしたら、

・徒手的な検査(MMT/可動域/感覚)

・症状の有無の評価

・歩き(普通の路面・小股・大股・前歩き・後ろ歩き・ぬかるみでの歩き・急な登り降り歩き)

・色々な高さの台の昇り(10cm・20cm・30cm・40cm・50cm・・・)

・台の下り(10cm・20cm・30cm・40cm・50cm・・・着地両足・片足)

・荷物を持っての歩き(1〜5kgの荷物・それ以上の荷物を持っての歩き)

・片足ランジ(前方・後方・側方・斜め前・斜め後ろ・荷物を持って)

・長距離走(5分、10分、20分、40分・・・1時間・2時間・・・)

・ジャンプトレーニング(両足・片足・ケンケン)

などなど

 

これはごく一部ですけど、これら全てで、症状が出ずに、バランスを崩すことなく、できたら、完全に復帰することができると思うんですよね。

 

これを怠っていると、いざ復帰しても再発するリスクがあるんです。

 

病院ではこれってできないんじゃないか?って思っているかもしれないですが、

 

病院でできることとその患者さんにできることを分けて考えるんです。

 

そして、気をつけなければならないのが、自主的にやってもらう時に前回のブログで紹介した『痛み』を出さないように負荷を患者さん自身にコントロールできるように指導していく必要があるんです。

 

やってくれるのか?そういう疑問が出てくるかもしれませんが、患者さん自身の目標がはっきりとしてそれに向けての情熱がある方なのであれば絶対にやってくれます。

 

やりすぎることもあるので、その時に治療家の私たちが修正していけばいいと思います。

 

今回紹介した復帰に向けての基準はあくまでも一部です。

 

まだまだやらないといけないことはたくさんありますが、まずはこの基準を明確にできるようになることがスタートだと感じています。

 

再発をゼロにすることを目標にして目の前の患者さんを救ってください。

 

あなたも是非、参考にしてみてください。

 

P.S.

我が家の納涼のための工夫は、、、。

かき氷!!

 

自宅でできるかき氷機を息子のために買ったので息子と一緒に作っています。

 

私は食べに徹しているんですけどね。笑

 


この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。