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栄養学を無視したリハビリは失敗する
2021.08.21from 杉山 貴規 自宅デスク
自分はネットから様々な情報を得るようにしているんだ。
以前は、リハビリに関わる専門書を書店で購入して、ひたすら熟読してそれをアウトプットしてリハビリに生かしていたんだよね。
多くの人たちがそうやって、リハビリの情報を得ているんだと思う。
確かに、そこから得られた情報っていうのは、かなり精度の高い内容で、臨床にも落とし込めるから理学療法士として、トレーナーとして、患者さんや選手に還元できることは多い。
しかし、この内容って偏った内容を詰め込む傾向があるんだよね。
偏りが悪いってことはないんだ。
スポーツ整形、整形外科系、脳血管系などなど
それぞれの分野で特化した情報得ることは、いいことだと思う。
ただ、それが良くないって最近感じているんだよね。
それは、その偏った情報を得るばかりに、
その患者さんや選手を見る時に自分が学んできた情報から症状、疾患や病気を見てしまうことになるんだよね。
そうなってくると、
例えば、リハビリや施術を行なってうまくいかなかった時に
どういうふうに自分の仮説を覆せばいいのかわからなくなる。
そうなってくると、どこから答えを導きだせばいいのか、どんなふうにリハビリを展開していいのか分からなくなるんだよね。
だから、また違う専門書を買ったり、セミナーに行ったりすることになるんだけど、
でも、選ぶのは自分だから、また偏った情報をそこで得てしまう結果になるんだ。
これって、自分も含めて、誰もが経験していると思う。
それで最近、自分はどうしているのか?
それは、yahooニュースや日経ビジネスなど全ての項目に目を通すようにしている。
そこからは、自分が求めようとしないニュースまで目に入ってくる。
一見無意味で時間の無駄かと思うかもしれないけど、
そこには様々な視点で書かれたニュースや記事がたくさんあり、
それがリハビリに生きてくるんだよね。
特にそれを感じているのが栄養の話。
最近のネットのニュースは体・病気・怪我に関する話に必ず『栄養』というキーワードが入ってくる。
そこには、リハビリにも直結する内容のことが書かれているんだ。
・高齢者に不足な栄養
・筋肉をつける栄養
・目が良くなる栄養
・怪我や病気の予防になる栄養
・免疫力がアップする栄養
などなど
ここでが挙げきれないほどの栄養の話が出ているんだ。
ここで実感したのが、『体においての栄養の大切さ』なんだよね。
それはなんとなく分かっていたんだけど、自分のリハビリにはそこまで重要じゃないって思ったんだ。
でもあることをきっかけに、本当にそれが大切だってことがわかったんだよね。
それで、
きょう、話すのは『栄養』なんだ。
リハビリにおける『栄養』あなたが、どれだけ考えているのかなぁって
これ本当に大切な話なんで聞いてほしい。
筋力がつかない患者
ある患者さんを見ることになったんだ。
その患者さんっていうのは歩行器で施設の室内・屋外を自由に行き来できるレベルの人なんだよね。
その人が急に一人で外出できないくらいのレベルに下がったんだ。
それで、施設のスタッフの人が自分に、
以前の状態までに戻して挙げたいから、
筋力アップ・持久力アップを目的としたリハビリをやってほしいっていう風に頼まれたんだ。
それで、上記の目的としたリハビリメニューを作成し、1ヶ月行ったんだよね。
しかし、1ヶ月経っても歩行能力は変わらない、それどころか以前よりも悪くなって、屋外に出ることができないほどの筋力・持久力レベルにまでなってしまったんだ。
なぜ?
メニューが悪いのかって思って、
リハビリメニューを再作成して、できる範囲の内容にレベルを落として行ったんだ。
それでも、よくならない。
なぜ、なぜ?
そこで、施設のスタッフさんに色々と情報収集をしたんだよね。
すると、ここ最近急に食事を残すようになったっていうんだ。
しかも、ポテトチップスなどのスナック菓子ばかり食べているっていう情報を耳にしたんだよね。
さらに、
・体重減少
・元気がない
・下半身や腹部が浮腫んできている
なるほど、だから筋力も持久力もつかないんだ。
これはまさに『低栄養』の状態なんだよね。
体にとって重要なのは栄養
いくら筋トレや持久系のトレーニングをやっても、低栄養の状態であれば筋肉はつかないし、持久力もつかない。
すなわちどんどん、歩行能力などのADLにも制限が出てくるのは当たり前。
なぜなら、栄養素がなければ筋肉もつくはずはない。
それで、そこの施設のスタッフさんと栄養士さんと話し合い、
その患者さんのための食事プランを作成したんだよね。
カロリーから話すと、高齢者でも2000~2500kcalを1日に取る必要があるんだ。
しかし、そのカロリーに関してはスナック菓子で捕食されていたんだよね。
お菓子でお腹がいっぱいになり、良質なたんぱく質・カルシウム・ビタミン・糖質が不足していたんだ。
しかも、お肉類・魚や乳製品などを残す傾向が強く
筋肉に必要なタンパク質が全く取れていなかったんだよね。
それで、施設スタッフさんと相談して、これらを全て取れる補助食品を探して、食事の時間に提供するようにしたんだ。
それで、リハビリに関しても、その日の食事の摂取状況や内容を確認して、負荷量をコントロールしたんだよね。
あまりに高負荷にすると、筋肉がつかなくなってしまうからね。
この試みをして、数週間経過したんだ。
そこから、徐々になんだけど
体重が増加し、元気も回復し、浮腫みも軽減してきて、
室内の歩行能力が徐々に上がってきたんだよね。
この成果が出て、さらにリハビリ後にタンパク質を摂るようにしてみたら、そこから急激に状態が上がってきたんだよね。
今では、室内の歩行は自立し、屋外歩行に関してもスタッフさんとの付き添いがあるものの、すぐに疲れたり、転倒などのリスクがなくなっていったんだ。
この経験は自分のリハビリを変える分岐点になったんだよね。
今では、必ずどの患者さんや選手にもリハビリをやる前に、食事関係のことを聞き、栄養に関してのレクチャーをするようにしているんだ。
本当に『栄養』ってリハビリには重要な要素
ぜひ、あなたのリハビリや施術にも『栄養』を取り入れてみてください。
PS
色々な媒体から様々な情報を得ることは本当に重要なんだ。
視野が広がるし、患者さんや選手に還元できることが多いからね。
でも、間違った情報も中にはあるから、そこは正しい情報かどうかの裏をとることを忘れないでください。
間違った情報で患者さんや選手を苦しめちゃうことになるかもしれないからね。