神経生理学を用いた『骨折』へのアプローチ方法 | 日本オランダ徒手療法協会

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神経生理学を用いた『骨折』へのアプローチ方法

2017.07.20

 

みなさんこんにちは、

オランダ徒手療法協会の杉山です。

今回は骨折についてお話ししたいと思います。

 

骨折についてみなさんはどうお考えでしょうか?

 

骨折はつくまでは何もできないから、患部に関してはノータッチで、患部外のトレーニングを行い、骨折が治癒してらスムーズに運動の介入ができるようにしていこうしていませんか?

 

また、骨折部位は不動にして患部を無視してリハビリを行っていませんか?

 

もちろんそんなことはないとは思いますが、、、
自分は数年前まではそうでした。

 

 

患部に近いところの可動域訓練、筋力訓練、感覚訓練、荷重をかけることができるようになってからスムーズに復帰できるように、患部外のトレーニングを中心に行っていきました。骨折部に関しては、炎症反応の管理を中心に行ってきたくらいです。

 

・セラピストとして他に何か出来ることはないのでしょうか?

・クライアントが望むことはなんなのでしょうか?

・何が最高の笑顔を導き出せる方法なのでしょうか?

 

それは至極簡単な答えです。

「早く治りたい、早く〇〇ができるようになりたい。」

骨折の早期治癒がクライアントが望むことなのです。

 

しかし、そのためには

骨折の早期回復が必要になってきます。

 

骨折に対してアプローチなんかできないと思っていませんか?

 

できます!

間接的ではありますが、できるのです。

 

細胞・組織レベルの体内環境を考えて

骨折に対しての治癒効果を引き出すこと

 

そのために

下の表を使っていきます。

 

<写真 引用元>A. van der El.「Manuele diagnostiek wervelkolom」187-188

 

これはオランダの神経生理の教科書に載っている、骨の支配領域を記した一部です。これを見て、アプローチしていきます。

 

何を目標にアプローチしていくのか、

骨癒合の手助けをしていきます。

 

患部領域の感覚運動神経、自律神経、栄養血管にアプローチするのです。

骨にも血管や神経が通っています(写真1)。

 

 

<写真1>骨の栄養血管

 

循環が悪くなるということは栄養が滞ることになり、骨の治癒も遅くなっていきます。

 

なので、骨折をした場合、神経生理学を知っていれば骨折に対してアプローチができ、早期癒合が可能になるのです。

 

試しに骨折している部分の領域の脊柱周りを押してみてください。

緊張が高かったり、圧痛が出たりと左右差があるはずです。

 

滞っている部位に関して、神経生理を応用して治療介入していく、そのために骨の神経支配領域の表を用いる。介入方法はいろいろあると思います。

 

脊柱間のマニピュレーション(写真4)、患部周囲のマッサージ、筋膜リリースなど脊柱周囲の緊張を緩めるだけでも効果は出てきます。

 

<写真4>脊柱に対するマニピュレーション

 

何もかもが新鮮で、違う観点からの治療だと思いませんか?

 

自分は新鮮で目からウロコでした。

 

骨折の患者さんは来る日も来る日も、患部外のトレーニングで医者がOKを出すまでは患部に触ることも難しい状態。

でも、この考えを持っていれば間接的ではあるが、積極的に患部にアプローチできるのです。

 

神経生理学の話は本当に面白いですよ。

 

僕達人間は脊椎動物なんですよ。

 

四肢にアプローチがダメだとは言いませんが、もっと見るところは筋肉、靭帯、腱などの軟部組織だけではないはずです。

 

血管や神経系にも目を配って治療介入するべきです。

 

人体を相手にする以上全てに目を配る必要があると思います。

さぁ、ぜひ臨床で試してください。

 

上記の内容が詳しく載っている記事がありますので、是非読んでみてください。