難渋するオスグッドはOsgoodじゃない! | 日本オランダ徒手療法協会

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難渋するオスグッドはOsgoodじゃない!

2021.11.29

from 杉山貴規 自宅デスク

 

最近は気温も下がり、コロナの感染者も下がり、

 

本当にいい感じの日常が出てきましたね。

 

年末にかけて飲み歩く人も出てくるんじゃないでしょうか?

 

自分も数件、飲みの誘いがちらほら出てきています。

 

しかし、ここにきてまた新型コロナの変異株のニュースが出てきていますよね。

 

オミクロン株っていうやつです。

 

南アフリカ由来で徐々に世界に広がっているみたいです。

 

日本の対応はどうなるかと、また思い切った政策を取れないかなって思っていた矢先。

 

岸田総理がズバッと出してくれましたね。

 

『全世界からの入国禁止』

 

しかも今日の夜中から11月30日0時から

 

本当に、すごいホッとさせてくれるニュースをくれました。

 

給付金の問題は残りますが、

 

こういった、政治でしかできない対応を早々にとってくれたことには、一国民として安堵します。

 

しかし、そうは思っていない人もいるのも確かで、なんとも言えない気持ちになっちゃいますよね。

 

こうなってしまうと、海外にまた行くチャンスが減ってしまうことになると、少しガッカリです。

 

自分は1年に1回は仕事の関係で海外に行って、そこで色々なものを吸収しアップデートしてきたのですが、またそれがなくなることは本当に残念でありません。

 

というのも、サッカーの仕事でイタリアに行っていたのですが、そこで得られるものはものすごく多く、日本と世界の違いを知る上で本当に役に立っていたからです。

 

情報なんて、どこからでも得られる時代なのですが、

 

やはり現地に行って見て・聞いて・感じて、日本に戻ってきた時にそれらをさらに精査して自分の血となり肉となるんですが、それが絶たれるとなんとも言えない気分なんですよね。

 

じゃ〜向こうで何を学んだのか?

 

それは、またの機会に別のところで紹介しますが、

 

やはり、サッカーのことはもちろんなんですが、文化を感じて学べることは自分の理学療法士としてトレーナーとして考え方や患者さんに関わることに大きく変化を与えてくれたんです。

 

今となれば、それが他の療法士と自分の違いを生んでいるかもしれません。

 

さて、今日はそんなサッカーの怪我を紹介したいと思います。

 

今回の疾患はオスグッド

 

このオスグッドに関しては以前にもブログで紹介したと思うのですが、今回はオスグッドで数年にわたり難渋している選手の話。

 

オスグッドは成長痛で成長過程と競技特性や練習量の負荷によって脛骨粗面あたりに痛みを有する疾患なんです。

 

成長痛って考えると、ある程度成長が止まれば治るものと考えてしまいますよね。

 

自分もそうだと思っていたんですが、今回の場合はかなり苦慮した事例です。

 

そんな、オスグッドの痛みで困っている選手をどのように評価し、寛解して行ったのかを紹介したいと思います。

 

オスグッドが原因でサッカーができない選手

 

この選手にあったのは、今年の3月

 

実はこの当時、自分はユースのトレーナーから離れていたんですが、臨時で行くことになったんです。

 

その時に見た選手で、オスグッドがひどくて、走ることもままらない感じだと言っていたんです。

 

その時は、中学生から急に高校生になったので、練習の負荷に耐えられないから痛みが出てきたものと、判断してコミュニケーションをとって、治療していたんです。

 

本人も自分と同じ見解だったんんです。

 

しかもオスグッド。

 

中学から高校にかけては、まだ肉体的に成長過程の子が多いので、このような子は毎年のようにいるんです。

 

だから、練習量の調整をしながら、痛みを見て行く必要があるかなって思ったんです。

また、臨時での帯同っていうこともあって、その後の様子はユーストレーナーに任せていたんです。

 

それから、数ヶ月経って、本当についこの間。

 

その選手を見る機会があったんです。

 

もう11月の下旬に入っていて、

 

その選手にその後に関して聞いてみたんです。

 

杉山「どうよ、調子は?痛みなくサッカーできてる?」

選手「それがまだ治らなくて…」

 

えっ!!

 

もう数ヶ月経っているのに、サッカーに復帰できないで、まだ故障者のままだったんです。

 

色々聞いてみると

 

あれから、トレーニングの負荷調整をしてもらいながら、少しずつ痛みが減少に至ってたらしいんです。

 

それで、全体練習の一部にも参加しては、外れての繰り返しだったらしいんです。

 

病院にも行って、リハビリもしながら、手術を含めたことを検討した時期もあったらしいんですが、リハビリで痛みが減ってきたこともあって手術はしない方向になって、現状まだサッカーができていないっていうことなんです。

 

それにしても、あんまりこんなに長くなることは自分の中ではないから、ちゃんと話を聞いて打開策を講じようと思ったんです。

 

すると意外なことがわかったんです。

 

中学時代の大怪我

 

話をすると、オスグッドでの苦悩の期間が明らかになって、その当時大怪我をしたことが明らかになったんです。

 

中学2年生くらいから膝の下に痛みを感じていて、病院でオスグッドの診断を受けて、痛みを見つつ、サッカーの練習量を減らしながら、サッカーをやっていたらしいんです。

 

医者からは痛みが取れたらサッカーやっていいよっていう感じのことを言われてやっていたらしいんですが、

 

痛みが取れたらサッカーして、また痛めての連続だったらしいんですよね。

 

それがなんども続いた時に、オスグッドの痛み以上のものを感じて病院でレントゲンを撮ったらしいんです。

 

すると最悪の事態が…

 

『脛骨粗面の剥離骨折』

 

成長痛の最悪のパターンです。

 

成長痛の疾患て他にもあるんですが、

セーバー病なんかもオスグッドに似た疾患で、成長期に骨端線がまだ残っている時に過度に筋肉に引っ張られて、骨が剥離してしまう疾患です。

 

これもセーバー病もここまで行く最悪のパターン。

 

だから、運動量の調整やケアっていうのが重要になるんです。

 

オスグッドも同じなんです。

 

脛骨粗面に付着している大腿四頭筋(大腿直筋など)に脛骨粗面が引っ張られて、骨が筋肉の張力に負けて痛みを有することなんです。

 

大概は、脛骨粗面や膝蓋腱に痛みを有することがほとんどなんですが、これがひどくなると筋肉の張力に負けて骨が剥がれることがあるんです。

 

これが剥離骨折。

 

これを、彼は中学生の時に経験していたんです。

 

おそらく、痛みを我慢してやっていた可能性が高いです。

 

というのも、痛みを有して運動をしていると、周りの軟部組織や骨などはなかなか組織の修正が遅くなったり、脆弱になることが多いんです。

 

だから一旦治ったとしても、元の状態に戻すのには時間がかかるんです。

 

っていうこともあって、それが尾を引いている可能性があるという話から、病院で手術の検討がなされたということだったんです。

 

じゃ〜なんで、ここまでひどくなっているのか?

 

負荷をコントロールしているのに痛みがまだあるのか?

 

考えてみたんです。

 

オスグッドを考える上で重要なのが、大腿四頭筋の硬さと骨盤の傾きなんですが。

 

というのも、脛骨粗面を引っ張っているのは上記の筋肉なんですが、これが固かったりすると脛骨粗面が引っ張られて痛みを有すると考えたんです。

 

骨盤に関しては、大腿直筋は骨盤が後傾することで、張力が強くなるんで、そこを前景に持って行けば過度な張力を出さずにすみ痛みを軽減できると考えたんです。

 

そこでこの2つを評価したら、

・大腿四頭筋(太もも)の筋緊張ヤスパズムもなく、筋膜・皮膚の硬さも左右差がない。

・骨盤に関してはやや後傾気味なんですが、左右差がある感じでもない。

 

う〜ん

 

何が問題だ?

 

本当に考えちゃったんです。

 

剥離骨折のことも考えたんですが、それも数年前のこと、最近撮ったレントゲンでもちゃんと骨癒合が形成されている。

 

じゃ〜一体何が問題なのか?

 

関連痛?

放散痛?

 

ってことも考えたんですが、痛みはピンポイントで脛骨粗面

 

指で少し押すだけで痛みを感じ、軽くトンっと叩くだけでも痛みがある。

 

この鋭い痛みは一体どこからのストレスできているのか???

 

痛みの正体は筋膜

 

ここまで、わからないのは稀なんですよね。

 

じゃ〜本当にこれってオスグッドと剥離骨折が問題なのか?

 

ちょっと疑ったんです。

 

で自分が目をつけたのが、『下腿』

 

脛骨粗面から足首までの『下腿』に目を向けたんです。

 

というのも、脛骨粗面は下腿に位置していて、そこの剥離骨折をした場合下腿にも何らかの影響が出るはずって考えたんです。

 

しかも、過去のリハビリの話を聞くと、大腿部と骨盤っていうところをよくやっていたらしい。

 

また、自分が下腿に注目したのには他にもあるんです。

 

それは下腿の前面には筋肉が少ないということ。

 

下腿の断面を見てもらえればわかるだけどね。

 

それで、こう考えたんです。

 

筋肉を使っていれば循環がして、痛みっていうのは減っていくんです。

 

しかし、脛骨の前面はほとんど筋肉が付着していない。

 

しているのは大腿四頭筋が主なんだ。

 

そう考えると、骨折し、修復していく過程で脛骨前面の骨膜や筋膜が硬くなった可能性があって、その筋膜が脛骨粗面を引っ張っている可能性があるんじゃないかって考えたんだ。

 

それで、試しにその選手の脛骨前面の皮膚を軽く引っ張ったんだよね。

 

すると、

 

選手「痛っ〜〜〜」

 

飛び上がって痛みを訴えたんだよね。

 

選手「すぎさん、マジ痛いです!」

 

これ、本当に軽くやっただけ、痛みのない方の下腿にも同じ力で引っ張ると、

 

選手「何にもいたくなです。本当に同じ力ですか?」

 

こんなにも感じ方が違うんだ。

 

実際、左右の下腿の皮膚の硬さを比べると骨折した方の皮膚はかなりタイト。

 

なんか、引っ張れない感じ何だよね。

 

それで、そこに対してアプローチしていくと徐々に脛骨粗面の痛みが減ってきたんだ。

 

今、リハビリを継続中なんだけど、

 

おそらく、そこの膜のストレスが取れていけば、徐々に脛骨粗面の痛みはなくなっていくと思うんだ。

 

つまり、オスグッドっていう言葉にかなり自分が支配されていたんだよね。

 

そうすると、頭のなかは

 

『成長痛』

『運動制限』

『休息』

『大腿四頭筋』

『大腿直筋』

『骨盤』

 

っていうワードに支配されて、そこを見ることを重きを置いて、リハビリを実施することになってしまうんだ。

 

悪いことではないけど、難渋している場合も含めてだけど、様々な可能性を頭に入れながら、時には診断目を疑いながら評価していくことが重要だと思うんだよね。

 

なので、オスグッド=『〇〇』

 

っていう概念は捨てて、リハビリを進めていくことが、患者さんにとっていいことだと思います。

 

PS

早く、海外で仕事がしたいものです。

 

もっと、世界の知識と技術を身につけてアップデートし、患者さんに還元したいと思う今日この頃。

 

もちろん、異文化交流も楽しいし、美味しい料理も食べたいからね笑

 

そんな日が来ることを楽しみにしています。

 

それでは、Arrivederci!