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肩関節の広範囲疼痛の謎 | 日本オランダ徒手療法協会

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肩関節の広範囲疼痛の謎

2017.10.31

こんにちは。

オランダ徒手療法協会の杉山です。

寒さも増して、体を丸めて歩いている方が多くなってきていますね。

今日は肩の痛みに関してお話したいと思います。

 

肩の痛みに関してです。

 

よく臨床の現場では広範囲に肩が痛くて、どこが痛いのか?本人も理解していない時があると思います。

そのような時みなさんはどのように治療を展開していくのでしょうか?

今回は広範囲の肩の痛みにクローズアップしてお話ししたいと思います。

広範囲にわたる疼痛

どの部位でもそうですが、

疼痛が出現した時には

①炎症の5兆候(熱感・発赤・腫脹・疼痛・機能障害)

②ピンポイントで痛いのか?

③一箇所を触ると周囲全体が痛みが広がるか?

 

この3つに着目します。

例えば

・炎症とピンポインの疼痛

全組織が炎症がある場合は熱傷、打撲、骨折、肉離れなどどこかの組織が広範囲にわたり損傷している可能性があり、重篤なものも考えられるので、いきなり体を触らずに、受診を考えてもいいかもしれません。

・一箇所を触ると全組織が痛い時場合

 放散痛の可能性が高い。

 

臨床現場では、

 

多くの場合、リラクゼーション、可動域訓練、反復性収縮やキネシオテーピングなどを肩から上腕にかけての各筋肉アプローチすることで疼痛は消失できます。

また、アライメント改善も行なっていくでしょう。

 

しかし、即時的な効果が多く、すぐに戻ってしまうことが大半です。

 

では、この痛み他には何が考えられるのでしょうか?

実は、これを知っておくと知らないとでは、治療効果と治癒期間に大きな差が生まれます。

 

関連痛です。

頚部の関連痛 

広範囲で痛みがあり、炎症症状もない場合。

 

関連痛の可能性が大いにあります。

 

今回の痛みは肩から上腕にかけて見られます。

 

デルマトームで確認しましょう!

するとC4/5/6に当てはまります。

 

本当にそうなのか?

 

疑問を持つ方もいられると思います。

 

評価する時には以下の項目で確認して見てください。

 

・頚椎の可動域(回旋・側屈・胸腰椎での代償動作など)

 

・圧痛(頚椎C4/5/6の左右横突起周辺で比較)

 

・筋出力(左右差:頸部周囲の筋・C4/5/6の神経支配されている筋)

 

を調べていただくと、前後左右で大きな差がみられます。

 

特に圧痛所見は確認しやすい評価です。

 

なので、

 

このような、広範囲の肩や腕の痛みの時は、関連痛を疑い、脊柱に対してアプローチしてみることをお勧めします。

 

しかし、脊柱のアプローチをどうすればいいのか?

 

お困りの方もいると思います。

 

本来であれば、

マニュピュレーションが効果的ではありますが、手技としては熟練した技が必要になり、安易にやってしまうと大きな事故につながります。

 

なので、そういう方には

 

・頚部周囲のリラクゼーション
・温熱療法
・可動域訓練
・モビライゼーション
・生活・仕事の環境設定

 

アプローチすることができればO.Kです。

 

これは何に対してアプローチししているのか?

 

それは『組織循環を向上』させています。

 

組織循環の大切さ

人間の体は脊柱から神経や栄養血管が伸びており、各部位の循環を保っています。

 

しかし、なんらかの形でそれが阻害された場合。

 

循環不良となり、痛み、痺れ、違和感など様々な問題が表出してくるのです。

 

先にあげた、私が示した方法はまさに循環を向上させる方法なのです。

 

また、リラクゼーション、可動域訓練、反復性収縮やキネシオテーピングも組織循環を向上させてはいま

すが、各々の循環を向上させているだけになってしまいます。

 

しかし、先に話した方法論と考えがわかれば、脊椎に対してアプローチすれば時間をかけずに原因から解決できるようになるのです。

 

まとめ

広範囲の肩の痛みがあった場合は関連痛を疑うのも一つの選択肢であり、脊椎にアプローチすることで疼痛の消失がなされます。

 

痛みという一つのキーワードをから何をみるのか?

 

答えは一つではなく様々あり、多角的な視点が求められるのです。

 

今回に関しては脊柱に対してだけのアプローチの紹介ではありましたが、人によっては姿勢が脊柱のアライメントを阻害している場合があるので、姿勢から見て痛みを改善することも可能であります。

 

しかし、闇雲に姿勢を正中化させることと上記の考えを持って行うのでは全く違ったものの見方でアプローチが可能となると考えます。

 

是非、明日からの臨床に役立てていただけたら幸いです。