足底筋膜炎の悲劇を呼び込んだステロイド療法 | 日本オランダ徒手療法協会

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足底筋膜炎の悲劇を呼び込んだステロイド療法

2021.10.10

from 杉山貴規 自宅デスク

 

緊急事態宣言が開けましたね。

 

先日、お客さんの施術で都内に車を出したんです。

 

都内に出ると、繁華街周辺だけではなく、人の出が多い!

 

ここ1年で一番多いかもしれなって感じ。

 

ここまで、外に出ることを我慢していた人がいたのかっていうくらい、人で溢れかえっていたんです。

 

お店を除くと、ビール片手にハッチャケてる姿。

 

コロナ前の日常がそこにはあったんです。

 

心の中で、「すげーな」って思ったんです。

 

なぜなら、コロナって終わったのか?

 

もう、コロナが消滅したかのような光景。

 

そんな光景を目にしながら、都内に行ったんですが、

 

道路も大変な事態が。。。

 

いつもなら、10分で行く道のりも、倍の時間がかかって押しに押してしまったんです。

 

おいおい、やばいなこの渋滞。

 

自分、こう見えて時間にめちゃうるさいんです。

 

なんで、だいたい待ち合わせの30分くらい前には着くようにしてるんです。

 

なぜなら、何があってもいいように早く出るんです。

 

だから、10分前に着くことはかなり焦っちゃうんですよね。

 

ま〜、そんな性格なんで、今回のような渋滞でも、患者さんには何も迷惑かけずに通常通り施術できたんです。

 

それにしても、この緊急事態宣言後のこの感じ、このままいったらすぐにコロナの新規感染者多くなるんじゃないかなって思っちゃってるんですよね。

 

さて、

 

この政府が出した、この緊急事態宣言後の活動指針

こんなにも、すぐにはっちゃけるような感じで大丈夫なのか?

 

これって、リハビリでも同じような気がするんです。

 

生活に復帰、スポーツに復帰するところで、いきなり活動をフルに始めたらどうなるのか?

 

わかりますよね。

 

おそらく、再発します。

 

いつまで、以前のような感じの生活やプレーができないと思うんです。

 

じゃ〜どうするのか?

 

それは段階的に負荷をかけて、徐々に慣らしていくようなリハビリをしていく必要があるんです。

 

そして、この徐々に慣らすというこの階段が細いほど、再発せず生活やプレーができるようになるんです。

 

で、今回階段をすっ飛ばして痛み目を見たある患者さんの話をしたいと思います。

 

足底腱膜炎とリハビリ

 

以前の話なんですけど、

 

足底腱膜炎を見たことがあったんです。

 

患者さん(患)「足裏が痛くて、朝の一歩目なんか異常に痛くて、トイレ行くまでに、漏らしたこともあったほどあったんですよ」

 

そんなに。。。

 

なんで、ここまで我慢していたのか?

 

話を聞くと、足裏の痛みはここ2〜3年ずーとあったらしい。

 

しかし、そこまで痛くなく、朝の一歩目を耐えればどうにかなっていたらしいんだ。

 

それが、徐々に痛みが増してきて、ついには1日を通して痛みを感じるようなっていったんだよね。

 

それで、近くのマッサージや鍼などに通っていたらしい。

 

通っていた時は、それなりに痛みは引いていたんだけど、数日経つすぐに元どおりに。

 

痛みが継続していったらしいんだ。

それで治らずに自分のところに来たんだ。

 

痛みは辛い。

 

それも、足裏ときたら大変。

 

なぜなら、仕事柄立って仕事をしないといけない人だったんだ。

 

そのため、この足裏の痛みは死活問題なんだよね。

 

で、いきなり施術はしないでいつも通りに問診から。

 

問診をするといくつかのことが判明したんだよね。

 

・足の裏が痛い

・朝の一歩目に激痛

・歩いていると痛みが減ってくる

・痛みがひどくて皮靴は履かないでスニーカー

・浮腫と発赤あり

・整形外科で足底筋膜炎と診断

・仕事はアパレル関係(立ち仕事)

・日課は散歩

・ジム通い

・ストレスや自律神経の問題はなし

 

って感じ。

 

2〜3年も痛みが継続していれば、慢性痛なのかなって思ったりしたんですが、そういうわけじゃなさそう。

 

これは筋肉や軟部組織系の炎症が有力か???

 

そこからさらに、炎症組織がなんなのかを見る必要性があるんだよね。

 

自動運動・他動運動で痛みを出している組織を鑑別していく。

 

すると、自動・他動の両方で痛みが出現したんだよね。

 

これは、足底筋と足底筋膜の痛み!

 

診断通りの結論になったんだ。

 

じゃ〜ここから何をするのか?

 

それは、なぜこの痛みが発生したかということなんだよね。

 

それは、仕事の内容だったんだよね。

 

アパレル系の仕事っていうのは、基本立ちっぱなしの仕事なんだよね。

 

話を聞くと7〜8時間は平均的に立っている。

 

確かに、洋服屋さんで座っている人は見たことがない。

 

しかも、そのほかにも品出しや会計などの仕事も立って行なっている。

 

想像以上に過酷な仕事。

 

それが影響した可能性が高い。

 

さらに、日課の散歩もそれに追い打ちをかけたみたいなんだ。

 

実は、痛み出した数ヶ月くらい前から、健康目的で1万歩以上歩くようにしていたんだよね。

 

それは、今も続いていて、休まず毎日やっている。

 

これは、もう足底部に痛みが来てもしょうがないかもしれない。

 

そこで、

・お店で立つ時間を短くできるのか?

・勤務中に座る時間を作ることはできるのか?

・散歩を一時中断することは可能なのか?

 

っていうことを聞いたんです。

 

するとどれも難しいっていうんです。

 

散歩の中止も難しいっていうんですよ。

 

それは、ワンちゃんを買っているらしくその散歩をしないといけないということなんです。

 

で、散歩の距離を減らしすことを提案して、5000歩にすることを約束してくれたんです。

 

じゃ〜これで終わりかというとそうではなく。

 

やはり治療も必要。

 

足底筋膜炎は足部の使いすぎで痛みが出現するんです。

 

その原因の多くは

・足部の柔軟性が低下していること

・アキレス腱部の硬さ

・下腿の筋肉の硬さ

 

少しセーバー病の発生機序と似ているかもしれません。

 

特に、足首の背屈の可動域が悪いと足底筋と足底筋膜に過度なストレスがかかって、痛みを誘発するんです。

 

なので、足部の背屈の可動域を向上させ、足部の柔軟性を出すことを実施

 

・マニュピレーション

・リリース

・ストレッチ

・足底筋の筋トレ(硬くなった筋肉を使えるようにするため)

 

ってな感じ。

 

施術をすると、

 

その効果はすぐに出て、

 

痛みが消失したんです。

 

それからしばらく、運動制限もしてもらい、通ってもらって。

 

ものの3週間で治ったんです。

 

「先生、ありがとう!本当に物の見事に治ったよ。今まで以上に仕事も趣味もできるようになったよ」

 

「また何かあったらよろしく!」

 

本当に良かったって思ったんですが、自分には納得いかなかったんです。

 

それは、あまりにも早く痛みが消失し、元の生活に戻れたことだったんです。

 

確かに、施術効果は出たと思うし、負荷のコントロールもしたことも確か。

 

それでも、早すぎるんです。。。

 

裏技で痛みが消失!?

 

なんでこんなにも痛みが消失したのか?

 

なんで、こんなにも早く元の生活に戻れたのか?

 

う〜ん。

 

そんなことを考えて考えて、忘れかけた頃にまたこの患者さんが来たんです。

 

杉山(杉)「どうしたんですか?」

患「実は、この間の足裏の痛みなんですが。。。」

 

杉「はい。」

 

患「また痛みが激しくなって、歩くどころの騒ぎじゃなくなったんです」

 

事情を聞くと、自分のところに来た時に他の病院にも行っていたらしい。そこで、ステロイド注射を医者から勧められたらしいんです。

 

打つと、痛みも炎症も驚くほどに良くなったらしいんです。

 

リハビリが終わってからも、ドクターに無理言ってステロイド注射を打ってもらって、騙し騙し仕事も生活もしていたらしいんです。

 

それがある時、足裏に激痛が走って、病院受診したら足底筋膜の断裂になったらしいんです。

 

あ〜やっぱりそうなんだ。あの時、何か嫌な違和感はこれだったのか。

 

ステロイド注射して、自分の施術と運動とトレーニングをしていれば、筋肉がつくどころ騒ぎじゃない。

 

ステロイドっていうのは、軟部組織を脆弱にする副作用的なものがある。

 

その状態で、自分のトレーニングを受けていれば、脆弱な組織により負荷をかけ、壊す方向に行ってしまう。

 

それで、その患者さんには、今後をしっかりと本当のこと言ってくださいって言ったんだ。

 

痛みが取れて、すごく嬉しいのはわかるけど、急に痛みが取れることはないんですよね。

 

もし、取れたとしても、そこから元の生活に戻るまで、様々な負荷をかけて、組織を強くしていく必要があるんです。

 

そうでないと、再発したり、他のところに痛みが出ちゃうからです。

 

本人も今回のことで、即効性のある治療には要注意ってことを確認して、反省していたんです。

 

そこから、一緒にリハビリに取り組み、現在では元気に仕事も趣味も両立するまでになったんです。

 

この話、どんなことでも言えると思うんですが、

 

一発逆転的な方法は後で痛い目を見ることが多いです。

 

だから、しっかりと問診して、リサーチして、評価して、施術(リハビリ)して、細かい階段のトレーニングを行っていかないと、すぐに再発して痛い目を見ることになっちゃうんです。

 

是非、面倒でも、計画性を持った細やかな施術・リハビリをしていってください。

 

PS

俺も早く、居酒屋に行って美味しい酒飲みたい!

 

いつになることやら(シクシク)