肩の局所痛or慢性痛かは『拳の形』で判断できる! | 日本オランダ徒手療法協会

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肩の局所痛or慢性痛かは『拳の形』で判断できる!

2021.07.16

from 杉山貴規 自宅デスク

 

最近、スマホで動画を見ることが多くなってきた自分。

 

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などなど

 

多岐にわたり、スマホで見ている。

 

特に好きなのが、ボクシング

 

井上尚弥のKOシーンを見ると本当に気分がスッキリする。

 

世界の猛者たちをいとも簡単に倒していくのは、見ているこちらとしては気分爽快。

 

見終えると、シャドーをやっちゃう自分がいる。

 

この気持ちわかりますよね。

 

それにしても、なんであんな細い体で、世界の猛者たちを一撃でバッタバッタと倒していくのか?

 

本当にすごい!

 

ボディーでKO

顔面でKO

 

どこからでもKO可能な日本人ボクサーをあまり見たことがない。

 

そこまでボクシングは詳しくないけど、

 

目の良さ

拳を急所に入れるタイミング

 

そして、拳から足先まで力が連動していく所作がいいことが挙げられると思う。

 

滑らかなステップから、ガツンと一撃入れる力の伝わり方が抜群にいいのではと思う。

 

人は関節が各部位にある。

 

一箇所でも、その関節が緩んでいたりしたら力はうまく伝わらずに、逃げてしまい、パンチの威力は激減すると思う。

 

しかし、この選手の場合、その関節の緩みを作らないでやっている。

 

しかも、パンチを打つ瞬間に瞬時に緩めたり、固めたりを試合中に何度も行なっている。

 

その精度とタイミングが、どのボクサーよりも格段にうまい!

 

だから、一撃必殺が可能になっている。

 

本当にすごいボクサーだ。

 

そのボクサーだけど、その中でも一番重要なのが、拳だ。

 

拳をしっかりと作っていないとパンチ威力は弱くなる。

 

だから、バンテージを巻いて拳が崩れないようにしている。

 

それだけ、拳は重要。

 

なぜか?拳には数多くの関節があるからだ、そこが緩ければ…

 

想像はつくと思う。

 

それだけ、拳の出来不出来でパンチ力はか持ってくるんだよね。

 

さて、今日はそんな手の評価から患者さんの痛みの原因が判明した症例。

 

それを今回紹介したいと思う。

 

肩が痛くて

 

先日、30代女性の人を見ることになったんだ。

 

その方は、肩が痛いということ自分のところに来たんだよね。

 

パッと見た感じ、超〜健康体で

 

自分の体に気を使って、ジムに通い、ボクササイズを行なって、自宅の周りをランニングしている人なんだ。

 

でも、肩が痛いって来たんだよね。

 

生活動作面では、特に痛くないっていうんだ。

 

じゃ〜なんの場面で痛いのか?

 

それは、ジムでのエクササイズのビハインドネックプルダウンをやると出るんだよね。

 

どこに痛みが出るのか?

 

それは、三角筋中部

なんだ。

 

それと、不意に上腕部〜前腕部の外側(橈骨側)に痺れが出るっていうんだよね。

 

というわけで、この痛み痺れの解消に向けて施術をしていくんだけど。

 

何をするか?

 

それはいつも通りの問診

 

・上腕部が痛い

・痛みの範囲は三角筋(広範囲な感じ)

・痺れがある

・ジムのトレーニングで痛みが出る

・ボクササイズで右のパンチ力が弱い(右利きなのに)

・20年前に鞭打ちの経験あり

・数年前にクローゼットの上にあるものを取ろうとした時に首を痛めた

・それから、定期的に首のギックリを生じている

・仕事はデスクワーク

・趣味は読書と運動

 

ここで、今回の痛みの原因はなんとなく判明。

 

これを毎回読んでくれている人はきっと

 

『これ』だなって

 

わかると思うんです。

 

そう、今回のこの痛みの原因は『首』

 

上腕部の痛みは頚椎の関連痛の可能性がものすごく高いんです。

 

20年前に起きた鞭打ちに端を発し、数年前の動作がきっかけでそれがさらに悪化。

 

その痛みが関連痛となって上腕部に出現したっていうのが今回の仮説なんです。

 

ま〜実際、上腕部に痛みを発している部分をデルマトームで見るとC4~5あたり、頚椎もその部分に圧痛所見が如実に出現したんですよね。

 

で、その部分のリリース、モビライゼーション、マニュピレーションを実施

 

すると、頚椎の部分の痛みがなくなり、同時に上腕部の痛みもなくなっただよね。

 

本人も本当に喜んで痛んだ。

 

しかし、まだあの動作がうまくできていなかったんだ。

 

それは…

 

ビハインドネックプルダウン

 

この動作でなんかうまく、力が発揮できないというか、なんとなく違和感を感じていたんだよね。

 

それは力の発揮の他に、無理くりその動作をやっている感じがするらしいんだ。

 

でも、こちらから見るとそうでもないだけど、本人にとっては納得できていない感じだったんだ。

 

それであることをして、原因が何かがわかったんだ。

 

拳の形がなんか変

 

自分は肩の疾患・肘の疾患・手の疾患など上肢の疾患の時に必ずこの動作を行ってもらう。

 

これをすることで、完璧に上肢の状態がわかるんだよね。

 

それは『拳を握ってもらう』つまりグーを作ってもらうんだ。

 

この拳を作った形でその人の上肢の状態が把握できる。

 

なんで、これをやってもらったのか?

 

それは、ただ単に自分のルーティン的な作業ではなく先ほどの問診から導いた評価なんだよね。

 

・頚椎捻挫(鞭打ち)を長年患っている

・痺れが上肢全体にある

・ボクササイズの右のパンチ力が左より弱い

 

これなんだよね。

 

上の2つの話がある場合だいたい、上肢の栄養や酸素の供給量っていうのは左上肢よりも悪いことがあるんだよね。

 

だから、痺れがあったり、痛みがあったり、力が弱かったり、左の感覚に比べて右が動きにくいだったりと

 

様々な訴えがあるんだ。

 

それで、拳の状態が一体どうなっていたのか?

 

それは親指の位置なんだよね。

 

普通拳を作ってもらうと、親指は親指は第2指と第3指にかかるはずなんだよね。

 

でも、この肩の場合親指の位置が第二指の外側にあるんだ。

 

猫パンチの状態

 

こうなれば、力が入りにくいから、さっき問診にも出た右のパンチ力が弱いというのも納得がいくんだ。

 

実際、しっかりと拳を握ると手の位置が機能的な位置をとって、それが橈骨に伝わって、上腕骨に伝わっていく。

 

しかし、これが機能的な位置を取れないと、拳に伝わる力は尺側に行き、力が上腕骨にうまく伝わらない。

 

だから痛みが出なかったんだよね。

 

また、逆を言うとこれをしないと痛みが出てしまうってことなんだよね。

 

実は実際、いい拳の作り方でパンチをやってもらったら、痛みが出たって言うんだ。

 

ボクササイズの時には出ない痛みが…

 

で、拳の作り方のレクチャーをして

 

上肢の機能が落ちていると言うことは

 

神経の伝達も滞るんで上肢の神経ストレッチを実施。

 

すると、少しのスライドストレッチでもかなり痛みが出たんだよね。

 

それを数回繰り返し行い。

 

もう一度

・ビハインドネックプルダウン

・右のボクササイズパンチ

 

これを実施してもらったんだ。

 

すると、パンチでの痛みはなくなり、ビハインドネックプルダウンでの動作はスムーズにできるようになっただよね。

 

それも違和感なしに。

 

ま〜それでも、即時的な解決方法に過ぎないので、本人にはジム回数や時間を減らすように指示したんだよね。

 

今回は、拳の評価で頚椎の関連痛や痺れの原因の裏付けが取れる話をしたんだ。

 

どうしても、問診での仮説立てだけでは納得できない人も、この評価で慢性化した身体機能がどのように現れるかを実感できるんじゃないでしょうか?

 

慢性化しているかどうかを判別するための1つの評価として、この『拳の形』を見てみるのもいいかもしれないですよ。

 

PS

本当に井上尚弥はすごい。

 

今度の試合も楽しみ。

 

きっとまたシャドーボクシングやっちゃうんだろうな(笑)