肩の疾患名を見るな!痛みを有する組織を鑑別せよ! | 日本オランダ徒手療法協会

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肩の疾患名を見るな!痛みを有する組織を鑑別せよ!

2020.12.04

from 杉山貴規 都内カフェ

 

ボクサーで最初に浮かぶ名前は誰?

 

と言われたら、真っ先にこの人の名前を言う

 

マイク・タイソンだ!

 

マイク・タイソンは子供の頃多くのテレビに出ていたのを思い出す!

 

背が小さいのに、ヘビー級のチャンピオン

ものすごい太い上腕に、胸板が異常に厚いのが特徴。

 

そんな彼が、先日54歳でリングに立ったんだ!

 

大興奮!

 

でも、もうヨボヨボの肉体で何ができんのかな?

お金が目的か?

 

って結構失礼なこと考えてたんだよね。

 

しかし、試合前にテレビに出た彼の姿を見て、そんな考えはもう吹っ飛んだ!

 

全盛期に勝るとも劣らない肉体で、もうびっくり。

 

試合も相手のボディにめり込む拳の速さはキレキレ。

 

相手も相当嫌がって、ステップでかわそうともかわすことが出来ない。

 

結果はドローだったんだけど、本当に素晴らしい試合だったんだよね。

 

アメリカの『メディアも茶番ではなかった』『史上最高のエキシビジョン』って賛辞を送ってるほどなんだよね。

 

しかし、どうやったら54歳であそこまでの肉体に戻れるのか?

本当に感心するとともに、

 

よくあれだけやって、怪我をしないなって思ったんだよね。

 

さて、今回はそのマイク・タイソンの剛腕つながりで

肩のを痛めた患者さんについて話したいと思うんだ!

 

肩の痛みが続いて、なかなか取れないっていう患者さん

 

生活機能面では問題はないけど、痛みが取れなくて不快

 

どうにかして、この痛みをとってほしいっていうことなんだ。

 

どこにでもいる患者さんじゃ〜ないですか。

 

では、あなたはこの患者さんの痛みを取るのに一体どのようなプロセスで、何を最初に見定めることをしますか?

 

この最初のは入り口を間違えると暗中模索状態に陥って、

患者さんの痛みどころか、施術やリハビリによっては痛みを長引かせる結果になるんです。

 

では、どんな風に痛みの消失へ導いいたのか?

それを今回紹介していきますね。

 

肩が痛いのが続いて

 

患者さん(患)「肩が痛いんです」

 

患「実はこの間風呂場で転倒して、肩から打っちゃったんです」

 

で、その場で肩をあげる動作をおもむろにされたんだよね。

 

実際、見るとそこまでの可動域制限はなく、耳の近くまで肩の屈曲ができる。

 

しかし、本人はそこまであげると痛いって言うんだ。

 

風呂場での転倒で、肩の怪我は実は多い。

 

自分が経験した症例でも次のような怪我がある。

 

・腱板損傷

・肩鎖関節脱臼

・上腕骨骨折 

・筋挫傷

 

などかなぁ。

 

こんな感じで、結構重症になることが多い怪我が多い。

 

しかも、肩の痛みを放置しておくと、かなりの確率で痛みが増強してきて、生活機能面上で重大な障害になることが多い。

 

こういったことからも、しっかりとした問診や評価をして痛みの特定因子を探し出す必要があるんだよね。

 

で今回のこの患者さんの場合。

 

1週間前に起こした怪我なんだ。

 

それで、痛みがある状態。

 

通常痛みは正常であれば3日間で痛みがマックスまでいって、その後は徐々に引いていくものなんだよね。

 

それが今回の場合1週間続いているって言うことなんだ。

 

そうなってくると、これはやばいって思うじゃないですか?

 

でも、なんです。

 

大概の患者さん痛みがどのくらい続いてますかって言うと、程度の違いはあるせよ、このように聞かれたら、ずっと痛いって言うのは当たり前なんですよね。

 

だから、ここで重要なのは、

痛みの状態を折れ線グラフにして程度を見る必要があるんだよね。

 

で、本人に受傷したところから、今現在までの度合いを記してもらうんだよね。

 

・縦軸を痛みの度合い(10段階)

・横軸を日や時間

 

すると、痛みは受傷したところから3日間は痛みが8〜10くらいなのが、4日目からガクンと落ちて3程度だったんだ。

 

脱線するけど、痛みを聞くときに痛みはどうですかって聞くと、今も痛いですって言われると結構やばい感じに聞こえます。でも、こうやって聞くことで経過的には問題がないってことがわかるんだよね。

 

しかし、それが現在も変わっていないってことなんだよね。

これこそが問題なんだ。

 

じゃ〜この痛みの原因は?

ってことになりますよね。

 

そうこれが重要なんです。

 

先にも言いましたが、肩の痛みの症例は様々

 

様々な組織が損傷することがあるから、今回の怪我でなんの組織が問題になっているか?

これが重要になってくるんです。

 

痛みの部位は?組織は?

 

転倒して打ったところは、

上腕部でちょうど真ん中の外側のところなんだよね。

 

そうなってくると、転倒も外側から倒れたことが予想さtれるんだ。

 

手をつく暇もなかったって言うことだから、本当に一瞬の出来事だったことがわかるよね。 

ここまで考えられるのは、

・上腕部骨幹部骨折(ヒビ?亀裂?横?縦?) 

・三角筋中部の打撲

・三角筋中部の筋挫傷

・三角筋中部の筋断裂

 

ってな感じ。

 

そこから、患部を見ると炎症症状である(発赤・浮腫・熱感)がなかったんだよね。

 

その間も通常の生活をしていたってことで、そこまでひどい怪我ではないって仮説を立てたんだ。

 

これが骨折や筋断裂といった場合。

 

おそらく、重度の機能障害があることが予想されるんだ。

しかも今回、打振痛や陥入などの症状があるはずなんだけど、今回はそれはなかったんだ。

 

そこから考えられるのは筋損傷(打撲)ってことが考えられたんだ。

 

だから、今回のこの怪我の痛みは筋肉の損傷って考えたんだよね。

 

しかも、1度程度

 

理由は機能障害の程度だったんだ。

 

ひどいと、動かすことは難しいし、生活機能免状でもかなりの障害が出ると思ったんだ。

さらに痛みの程度、3日目に痛みはほとんど消えて、1週間経った今では痛みはあるけど生活にほとんど支障がない状態。

 

だから、1度って考えたんだ。

 

ちなみに下が筋肉の大まかな治癒期間

<筋肉の治癒期間>

・第1度の挫傷 筋繊維が10%未満の断裂 3~5日

・第2度の挫傷 筋繊維が10~50%の断裂 7~10日

・第3度の挫傷 筋繊維が50~100%の断裂 3~8週間(※1)

 (※1) 筋肉の場所によって期間が違う

 

未だに続く痛みの原因

 

じゃ〜なんで、痛みが未だに続いているのか?

 

その答えは、本人からの問診から見つかったんだよね。

 

聞くと、怪我をしてからも家事、バイトなどは通常通りに行なっていたみたいなんだ。

 

しかも、自分の趣味であるフラワーアレンジメントもその間やっていたみたいなんだよね。

 

フラワーアレンジメントって簡単に言うと生け花の洋風版。

 

想像が簡単につくのがブーケ。

 

だから長時間同じ姿勢で花を切ったり、花を挿したり、曲げたりとするからけっこう、腕を使うんだよね。

 

そこで自分が、提案したのが2つ

 

・趣味を一旦中止してもらうこと

・家事の量を減らすこと

 

これなんだよね。

 

それから、その提案を守ってくれて今では痛みは消失したんだ。

 

結局、痛みが続くってことは患部に過度な負荷がかかっているってことなんだ。

過度な負荷がかかれば、組織の修復も遅れますよね。

 

もちろん、修復が遅れれば、痛みも出続けるわけなんで。

 

まずは、なんで痛みが出ているのか?

その組織を見極めることがとても重要なんだ。

 

この痛みを取る方法ばかりに気が行っていると、一生その痛みは治らないかな。

 

ぜひ、皆さんもちょっとした訴えの患者さんにも、このような損傷組織の見極めからやってみると成果が出るはずです。

 

PS

それにしても、マイク・タイソンはあの身長でよくヘビー級王座として君臨していたのかが不思議。

 

ぜひ、マイク・タイソンの凄さをyoutubeで見てみてくださいね。

 

本当にすごいから笑