肩関節の痛みの原因は手首の回外制限!(ゴールキーパー編) | 日本オランダ徒手療法協会

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肩関節の痛みの原因は手首の回外制限!(ゴールキーパー編)

2021.06.11

from 杉山貴規 都内カフェ

 

自分は理学療法士のかたわら、トレーナー業もやっている。

 

実は、高校時代からスポーツ選手になるよりも、裏方としてスポーツ現場で働くことはできないかと思って、医療現場で働くことで何かチャンスがあるのではないかと思って理学療法士になった。

 

専門学校でも、スポーツに関しても気持ちは変わらず、授業を受けていたんだ。周りにも同じような志望を持つ人が多かったんだよね。

 

それで国家資格を取っていざ就職するんだけど、

 

現実は全く違ったんだよね。

 

職場に勤めても、スポーツ選手なんかほとんど来ない。

 

来たとしても、経験年数の多い先輩が見ることが多く、新人の自分には全く回って来ない。

 

回って来たとしても、選手も定期的にくることはなくて、時々見る程度、自分が思い描いてた二人三脚でのスポーツ復帰なんてどこにもなかったんだよね。

 

それから、色々あって、今ではスポーツ現場にいるんだけど、

 

じゃ〜どうやってトレーナーになったかは、またおいおい話すんだけど、

 

トレーナーになって初めて気がついたことがあったんだ。

 

それは理学療法士の数が本当に少ないという現状なんだよね。

 

なんでだろうって、その時思ったんだ。

 

様々な細かい疾患や知識は持っているし、その場で治す技術もある。

 

その場しのぎの治療ではなく、根本的な原因から怪我の予防やリスクを回避する術もある。

 

動作分析もできる。

 

自分で言うのもなんだけど、かなりレベルは高いと思う。

 

でも、スポーツ現場にいる理学療法士は圧倒的に少ない。

 

なんでだろう?

 

その答えがあるところから、なんとなくわかったんだよね。

 

それは『ホームページ』

 

理学療法士協会のホームページに行くと、『スポーツ』『トレーナー』などの文言やそれを指し示すような画像が全く見当たらないんだよね。

 

ほとんどが、病院内の様子、車椅子を押すシーンや平行棒でのリハビリの写真などなど

 

でも、他の鍼灸師協会や柔道整復師協会にはスポーツやトレーナーの文言や画像が多くある。

 

それで、この時に思ったんだよね。

 

『協会』の差なんだなって、

 

やはり、トップがスポーツやトレーナーとかに興味がないとそれがホームページ反映されるんだよね。

 

つまり、やりたいと思っている人が潜在的に多くても、そう言う雰囲気が協会にないから、どうしてもスポーツ現場の第一線には理学療法士は存在できないんだなって思ったんだ。

 

もちろん、スポーツ現場に帯同している理学療法士も増えて来ている。でも、その人数は圧倒的に少ない。

 

もっと、理学療法士はスポーツ現場(チーム)に入って行くことは、とても重宝されると思うんだ。

 

それは、自分がこの数年感じて来て、監督やコーチから話を聞いて感じたことなんだよね。

 

ま〜なので、もしこれを読んでいる理学療法士協会の方がいたら、ホームページにスポーツに関わり合いの持てるような文言や画像をトップページ差し込んでくれることを期待します!

 

で、いきなりなんですが、今日は肩関節の痛みで困っているゴールキーパーの話をしたいと思うんだ。

 

肩が問題だと思ったんですが、実は意外なところに問題があって、そこにアプローチすることで肩の痛みも取れたって話をしたいと思います。

 

関連痛で、脊柱が問題です!みたいないつもの結末じゃないんで、読んでみてください。

 

肩が痛いんです

 

今日は久々の試合帯同。

 

試合を数試合こなした後に俺のところに来たんだよね。

 

選手(選)「杉さん、ちょっといいですか?最近肩が痛くて、スローイングやキャッチの時にどうしても肩が痛くなるんです。」

 

こういうことはゴールキーパーはよくある話なんだよね。

レベルが高くなれば、それだけシュートを打たれるわけで、そうなるとキャッチ数回数も多くなるし、スローイングする回数も増える。

 

シュートなんかはギリギリのところで強いシュートを手を伸ばしてキャッチするんで正常可動域以上の可動域が必要になる。

 

また、倒れた状態からすぐに反応して体勢を立て直す必要も出てくるんで、地面に手をつく回数なんかも自然と多くなる。

 

だから、ゴールキーパーのポジションは思っている以上に様々な角度で手や肩の負担が多くなるポジションなんだよね。

 

それで、痛みを呈しているのが『肩』

 

肩のどこが痛いかというと肩甲骨を指差したんだよね。

 

骨でははなく、筋肉なんだけど

 

棘下筋、小円筋

 

この2つだったんだよね。

 

動作としては、肩の1st〜3rd外旋で痛みが生じるんだ。

 

こうなってくると、何を考えるのか?

 

それはオーバーワーク

 

つまり、使いすぎってこと

 

使いすぎなら、この動作をあまりしないようにって指導することが手っ取り早いんだけど。

 

そうするとフォームの改善をしないといけない。

 

フォームの改善はかなり長期にわたるし、パフォーマンスの低下につながることもあるから、本人とゴールキーパーコーチを介して検討しないといけないんだ。

 

ただ、今日はそのゴールキーパーコーチが不在だったんだよね。

 

じゃ〜とりあえず、痛い部位の痛みを解消すればいい。

 

そのために、棘上筋と小円筋のリリースや肩甲骨の可動性の向上やその周りの支えていない筋肉を使えるように運動連鎖で、、、

 

ってことはしません!

 

ここで重要なのは、そもそもなんで肩が痛くなったのかが重要なんだよね。

 

これが本当に重要なんだ。

 

根本を求める作業

 

これこそがリハビリ業や治療する上での醍醐味なんだ。

 

ターゲットはここ

 

選手に聞いたんだよね。

 

いつから痛くなったのか?

何かきっかけはなかったのか?

 

すると、思い当たることがなかったんだ。

 

接触で痛めたとか、スローイングするときに、キャッチするときに、、、

 

とにかく、思い当たる節がなかったんだよね。

 

でも、ここはしつこく聞いたんだ。

 

何か、他に痛くなったところはないかって、

 

すると、出てきたんです。

 

それは、『手首』

 

キャッチングやスローイングの時に手首が痛くなったっていうんですよ。

 

それは、今も続いていて、、、

 

選手曰く、手首が痛くなって、肩が痛くなって、腰が痛くなって、、、

 

そんな感じだったんです。

 

そうすると、もしかしたら手首が原因かもしれないって思ったんです。

 

もちろん、手首の前はどこか痛いところはないかって聞いたら、それはないって答えてくれたんで、

 

手首を見ることで、肩の痛みの原因を探れるかもしれないって思ったんです。

 

手首の回内外が問題

 

手首が痛いのは肩が痛くなった数ヶ月前で最近

 

手首を背屈すると痛みが出る状態だったんです。

 

病院に行ったら、舟状骨の付近い「ねずみ」みたいなのがある。

 

って言われたらしいんです。

 

左右を比べて触ってみると、確かに隆起した部分があって、それが痛みの原因っていうらしいのですが、ネズミの割にはしっかりとしていて、独立していない感じがしたんです。

 

で、おかしいなーと思って、左右の舟状骨を手背側から触ってみると

 

痛みのある手の方の舟状骨が陥没しているみたいだったんです。

 

つまり、舟状骨が正常な位置ないってことがわかったんです。

 

それで、モビライゼーションを実施して、舟状骨を元の位置に戻そうとしたら、

 

パキッて音が鳴って、

 

一瞬折れた?って焦ったんですが、

 

元の位置に舟状骨がハマった音だったんです。

 

それで、手首を動かしてもらうと、可動域が正常に戻って痛みも軽減したんです。

 

でも、痛みが残っている。

 

で、前腕の回内外の可動域を見てみるとかなり回外制限があったんです。

 

これが、肩が痛い原因の可能性が高いって思ったんです。

 

実は、前腕の回外制限がある場合って、肩の外旋可動域に影響があるんです。

 

アナトミートレインからもそれはわかるんです。

 

これやって見てほしいのですが、この図の状態で肩の外旋をやるときに

 

 

 

 

 

 

1.親指を体の内側に向けた状態

2.親指を天井に向けた状態

3.親指を体の外に向けた状態

 

それぞれでやってみると、

 

外旋可動域が一番大きいのは3番で一番狭いのは1番になると思うんです。

 

そこで、注目するのがキーパーのキャッチングの姿勢なんですが、

 

前腕の回内位姿勢が一番多いんです。

 

もちろん、それだけではないです。

日常生活でも、前腕の回内の姿勢って多いんです。

 

文字を書くとき、パソコンでタイピングするとき

 

また、この選手の場合、ベンチプレスを多くやっていたのもあるんで、その時も前腕の回内になります。

 

それで、手を伸ばしてキャッチングするときは手を回外にしようとするんで、もしこの回外制限があれば、肩関節をより外旋させないとしっかりとキャッチングできない可能性があるんです。

 

つまり、この前腕の回外制限を治せば、肩の負担が減り痛みがなくなると考えたんです。

 

それで、前腕筋肉と筋膜のリリースを徹底的に行ったんです。

 

すると、手首の痛みが全くなくなり、次に肩の痛みがほとんどなくなったんです。

 

そこからは、前腕から肩までの連動性のトレーニンフが必要になってくるんで、神経系も重要になるので、PNFの手技を用いて動作を徹底的に刷り込ませる動作を行ったんです。

 

すると、キャッチングやスローイングなど先ほど紹介したキーパーに必要な動作で肩の痛みは無くなったんです。

 

このように、何か痛みが生じたときに必ずしも、痛みがあるところが原因ではないことがあります。

 

それは、あなたも感じるところがあると思います。

 

それを、どのように導き出すかの重要な評価は身体評価ではなく、徹底した問診にあるということなんです。

 

うわべだけの問診だと、原因を見つけることはもちろんのこと、治すことは難しくなります。

 

ぜひ、問診はどんな時でも、最優先事項で最重要な評価だということ感じてください!

 

PS

もっと、多くの理学療法士がスポーツの最前線で活躍できる土壌ができればと日々思って活動しています。

 

理学療法士協会の皆さん、視野を広げて、裾野を広げた活動をお願いします!