頸部痛を治すのに絶対にやってはいけないこと | 日本オランダ徒手療法協会

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頸部痛を治すのに絶対にやってはいけないこと

2022.07.28

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

突然ですが、こんな記事を目にしたんです。

 

現在、イヤイヤ期真っ盛りな3歳の男の子を共働きしつつ育てています。

「散らかしたものを片づけない」こんなシーンひとつをとっても、ある時はついイラッとして厳しく注意するかと思えば、休日で落ち着いてる時はおおらかになったりと、子どもへの対応が親である私の状況次第でまちまちになってしまい反省する毎日です。

今後子どもに対して、これだけはしちゃいけないというものはどんなことでしょうか?

 

こんなお悩みの記事。

 

もう、私の心の中は、

 

「わかる〜!!まさか自分のことを言ってるじゃないの!?」

 

共感しまくりです。

 

ついつい、その時の気分で子供に接している時があるので、いけないと思いつつも厳しくしてしまったりしちゃうんです。

 

奥さんにそのことをいうと、

 

「わかる〜!どうしても時間がなくて余裕がない時とかになってしまうよね。」

 

夫婦共々、共感しつつも反省。

 

そのお悩みの気になるアンサーですが、

 

特にやってはいけないこととして、

 

『しつけのルールを明確に!!』

 

親側にしつけの基準が全くない場合、子どもは混乱してしまいます。同じことをしても、ある時は叱られ、またある時は叱られないとなると、結局子どもの中に規範意識が育たない。気まぐれな褒美と、気まぐれな叱責は、しつけにとって大きなマイナス要因となります。

 

という回答だったんです。

 

改めて、親の気分次第で接してしまうと色々なルールを守らなくなってしまう可能性があるということで再び反省し、忙しさを理由にはしないように、日頃から親の自分が余裕を持って生活をすることも大事なんだと改めて気づかされました。

 

もしかすると、今までの自分たちの曖昧なしつけで子供がグレてしまう原因になるのでは!?と戸惑いつつ、今後の接し方に気をつけようと思いました。

 

さて、

 

子育て世代の方はわかる〜って言っているかもしれないですが、臨床でもついついやってしまっていることってないですか?

 

忙しさにかまけて治療内容がワンパターン化してしまったり、評価が雑になったりと、、、。

 

今回はついやってしまっていることが原因でなかなか治らないことに繋がった、『絶対にやっちゃいけないこと』をテーマにお話をさせてもらいます。

 

頸部痛と頭痛で悩む患者さん

 

ついこの間のことなんですけど、こんな患者さんがこられたんです。

 

交通事故で首と肩甲骨のあたりが痛いと言われて来られた30代後半の女性。

 

事故の状況はというと、車対車事故で左の真横からドーンとぶつかってこられたらしいんです。

 

事故後すぐに病院でレントゲンやCTなどの検査をして、特に骨折や脳の検査も異常がないとのことで、近くの整骨院で治療を開始。

 

でも、1ヶ月くらい整骨院で治療してもらったけど、よくなるどころかどんどんひどくなっているとのこと。

 

頭痛も最近はし始めて仕事もままならないようになってきたからと、当院へ受診したんです。

 

ここで、その整骨院ではどんな治療をしていたの?と気になるところですが、それを先に聞いてしまうと先入観が入ってしまうので、私の場合は、患者さんの今の状況をまずは知ることを優先するんです。

 

なので早速、問診を進めていくことに、

 

・右側よりも左側の頸部と僧帽筋上部がガチガチに硬い

・すごく筋肉が張っている感じがしてほぐすと多少は楽になる

・最近は頭痛もするようになってきて、特に右側頭部が痛くなる

・手のしびれ力が入らないなどはない

・座っていると首と肩が張って痛みがひどくなっていく

・頭を上に向けると右に疼く痛みと下を向くと張った痛み

・左に頭を傾けると痛みは右側に違和感を感じる

・右に頭を傾けると左は突っ張るけど、右の第2頚椎のあたりが痛みが走る

・今まで大きな怪我はしたことがない

 

ここで自分なりに仮説を立ててみたんですけど、

・左の頸部と肩甲骨周囲の痛みは筋肉、筋膜性の疼痛

・右の第2頚椎椎間関節の軟骨下骨の圧迫による疼痛?

・頭痛はデルマトームのC2の領域による関連痛

 

てな具合で仮説を立てて実際に評価をしてみたんです。

 

すると、

 

頚椎の多裂筋機能評価を行ってみたら右の多裂筋は収縮をあまりしていなかったんです。

 

特にC2レベルの多裂筋はあまりできずに、本人もどう力を入れていいのかわからないとの訴えもある状態だったんですよね。

 

このことを踏まえると頚椎の不安定性が痛みの原因なのでは?と考えたんです。

 

ちなみに、不安定性と一言で言っていますが、不安定性って?思いますよね。

 

この場合の不安定性とは、

 

事故によって左からの外力が瞬間的に加わったことで、右の頚椎のアウターの筋肉が優位に働き、関節を安定させるインナーの多裂筋が機能しにくくなってサイズの原理が機能しなくなってしまった状態になってしまったんだと思ったんです。

 

右の第2頚椎椎間関節へ圧迫ストレスを加えてみると、局所の痛みと最近出てきた頭痛も同時に出現したんです。

 

これで、仮説通りかもしれないなと思ったので、ようやくここで整骨院での治療内容を聞いてみたんです。

 

すると、当時の整骨院では問診も早々に首と肩に電気を当てて、その後マッサージでほぐしてもらってストレッチを教えてもらっていたとのこと。

 

うーん。これでは痛みが繰り返されるだろうなと思ったんです。

 

なぜそう思ったのか?

 

この整骨院で行われていた治療方法には大きな間違いがあることに気が付いたんです。

 

「ほぐす」治療だけでは治らない理由

  

 

何が間違いなのか?

 

もう、あなたはお分かりだとは思うのですが、

 

それは、痛いところを「ほぐす」治療をしてしまったこと。

 

なぜ「ほぐす」治療はしてはいけないのか?と思っているかもしれませんが、

 

「ほぐす」治療も必要かもしれないのですが、「ほぐす」だけになっていてはダメだということ。

 

なぜ痛いのか?なぜ痛みを繰り返すのか?を考えなくてはいけません。

 

この場合の痛みの原因は、右の頚椎不安定性が理由で、支えて安定するためには特に左側のアウターの筋肉が支えるしかない状況だったことなんですよね。

 

じゃあ、その支えるしかないアウターの筋肉をほぐしてしまうとどうなってしまうのか?

 

もう、どんなことが待ち受けているのかは想像できますよね。

 

支えがなくなるのですからその場では痛みが楽になるけれど、その後は不安定のままなので、右への圧迫ストレスが繰り返されて痛みが戻ってしまうことになるんです。

 

でも、以前の私も問診をあまりせずに痛いところばかりをほぐす治療をして、その場では良くなっていたからいいのだと勘違いして、次のリハビリに来られた時は痛みが戻っていることは何度もあった苦い経験があります。

 

今思えば最低の理学療法士です。

 

今までの患者さんに申し訳ないことをしてしまって後悔の念しかないですね。

 

過去に戻れるのなら引っ叩いて説教してやりたいです。泣

 

でも、今ではなぜ痛いのか?痛みが引かないのはなぜか?

 

そして、なぜほぐす治療を選択したのか?

 

それを明確にしていくことができるようになって、治療に迷いがなくなり、目の前の患者さんの悩みを解消することができるようになったんです。

 

ちなみに、今回の患者さんはその後、多裂筋の筋再教育と運動療法を実施してすぐに卒業していきました。

 

多裂筋の働きをより高めるための環境を整える目的で「ほぐす」治療を行いながらやりましたけどね。

 

あなたも、なぜその治療を選択したのかを改めて考え、本当の痛みの原因がわかった上で行うことをお勧めします。

 

P.S.

子供のしつけで注意することで、ふと思ったのが規範意識を高めすぎてもルールに縛られた何もできない大人になるのでは!?

 

柔軟な考えや常識にとらわれすぎない大人になれないのでは!?

 

ちょっと考えすぎですかね。

 

でも、子供の創造力を摘まないように何事もチャレンジさせる教育を心がけたいと思っています。

 


この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。