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再発予防≠パフォーマンス能力
2019.02.19From:長島 将太
@姪浜のスタバより
「小林陵侑、連続表彰台!!」
冬時期になるとテレビで良く話題となるウィンタースポーツ関連ニュース。
そんな中で、一際目を惹く活躍をしている選手が、この小林陵侑選手!
現在はジャンプ界のレジェンド葛西選手が選手兼任監督を務めるチームに所属しており、成長著しい彼は、あの女子ジャンプの高梨沙羅選手同様、今後の神風ジャパンを率いる主軸となると注目しているんですね。
この時期のウィンタースポーツの関連ニュースを見ていると思い出すのが、「長野オリンピック」の一幕。(若い人は知らないかもですけど…)
皆さん覚えていますか(笑)?
この時、私は10歳ぐらいだったんですけどテレビの映像を鮮明に覚えているんですね。
なぜかと言うと、当時実況をしていたアナウンサーの方の熱量が半端じゃなかったんです。
もう、あの時は松岡修造さんを凌ぐぐらいの勢い。
当時、ジャンプ界でこれまた有名な原田雅彦選手が個人ジャンプの2回目を飛ぼうとするシーン。原田選手の記録次第で個人のメダルが確定するという大事な場面だったんです。
実況アナ「さぁ原田、因縁の2回目のジャンプ」
実況アナ「原田、立て! 立て! 立てぇ立ってくれ~‼️………立った~‼️」
見事に大ジャンプを遂げた原田選手は個人ラージヒルで銅メダル、団体では金メダルの見事な成績を残しました。きっとこのアナウンサーの思いも影響したと思います(笑)
さて、ジャンプと言えばスポーツ選手が怪我から競技復帰していくには、重要な一つの動作スキルですよね?
このジャンプ動作次第で、怪我の再発やパフォーマンスに大きな影響を及ぼす基本的な動作ですが、今回はスポーツ選手のリハビリに関わり出した私の失敗談をお話しようと思います。
#真っ直ぐに飛べないバレー選手
この時、担当していたのは某大学のバレー選手。
スポーツの怪我に多い「前十字靭帯断裂」で手術をし、競技復帰を目標にリハビリに通っていた子なんですね。経過は順調で膝の可動域や筋力も順調。
・左膝前十字靭帯断裂
・下肢筋力:健患差80%クリア(怪我していない脚の筋力を100%として比較)
・下肢周計:健患差1センチ未満
・片足スクワット:5回(あくまで当院基準…)
当院で基準にしているラインもクリアし、このまま進めていけばしっかり復帰できるコンディションだったんです。
その場でのスクワットや、片足スクワット、ランジウォーク、ツイスティングなどの基本動作スキルは問題なく出来ていたんですが、爆発的なパワーを発揮する必要のあるジャンプ系に移ると全然ダメだったんです(泣)
何がダメだったかという、、、「ジャンプ動作の誤った運動パターン」でした。
具体的に言うと、ジャンプした直後に身体を捻って(90度/半回転/1回転)着地するという動作スキルで真っ直ぐ飛べない。(通称:回転ジャンプ)
→フィギアのトリプルアクセルの1回転バージョンと言った方がイメージつきやすいかもしれません。
バレー選手にとって「ジャンプ動作」はパフォーマンスを左右する非常に重要なスキル。この選手は「センター」というポジションで、ブロッカーとしてチームに貢献します。
なので、垂直ジャンプやジャンプ直後に体勢を変えたりする場面の多い彼女にとっては非常に影響が大きい動作なんですね。
#見落としていた運動パターン
今回私が見落としていたのは下記の部分です。
・可動域や筋力、単純な動作スキルばかり着目していた事
・筋力を戻すことを中心としたプログラムになっていた事
・動作中の筋収縮パターンの学習を怠ったこと
・動作時の収縮タイミングの練習が不足していた事
・段階的な基本動作スキル練習を組み込んでいなかった事
このように、可動域や筋力ばかりに目を向けてしまった結果、パフォーマンス向上/怪我の再発予防に重要な運動パターンが疎かになってしまったという私の失敗談でした。このような失敗は、この身体的な基準をクリアすれば競技復帰できると言う浅い考えが招いた結果だと思います。
基準はあくまで統一された基準。
それよりも、それぞれの競技特性に応じて目標とする運動パターンを把握し、術後リハビリ(トレーニング)の段階から最終的に獲得したいスキルのエッセンスを盛り込んだプログラム作成をしていくことが、スムーズな競技復帰に必ず繋がってきます!!
少しでもパフォーマンスや怪我の再発予防に繋がる運動療法を作成したいという方には、重要な部分になるかと思います。
今回、少しマニアックな内容になってしまいましたが、高齢者〜スポーツ選手など幅広い層へ適応可能な重要なアプローチです。少しでも皆さんのお役に立ちますように!
PS
さて次の冬季オリンピックは2022年!!
個人的にはレジェンド葛西選手の動向が一番気になります!