『足がつる』メカニズムと治すための施術方法 | 日本オランダ徒手療法協会

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『足がつる』メカニズムと治すための施術方法

2021.07.23

from 杉山貴規 都内カフェ

 

連日の猛暑で溶けそうになっている今日この頃。

 

街では救急車のサイレンが多く聞こえてきます。

 

この真夏に要注意なのが、熱中症!

 

スポーツ現場でも、多く見られますよね。

 

熱中症になるとこんな症状が出ます。

 

症状1 めまいや顔のほてり

症状2 筋肉痛や筋肉のけいれん

症状3 体のだるさや吐き気

症状4 汗のかきかたがおかしい

症状5 体温が高い、皮ふの異常

症状6 呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない

症状7 水分補給ができない

 

スポーツ現場で多いのが、症状6までになってから気がつく場合が多いです。

 

それはそうですよね。

 

選手もスタッフもこんな暑い中やってるから、汗だってたくさん出るし、体だってだるくなるし、

 

こんなふうに考えたり、思ったりする人が大半じゃないでしょうか?

 

だから、だいたいは症状6になるまでは誰も、危ないって気がつかないんです。

 

では、なんで熱中症になってしますのでしょうか?

 

きっとこんなことを想像する人が多いと思います。

 

それは、暑いところに長時間いて、汗がたくさん出てしまい熱中症になる。

 

だから、熱中症になったら、水分補給をすれば時期によくなるっていう思い込みの人が多いと思います。

 

でも、それは違います。

 

基本的には暑くなると汗をかきます。その汗で体を冷やすんですが、その汗の中にナトリウム、ミネラルやマグネシウムといったものが一緒に体外に出てしまうんです。そうすると、体の中の筋肉や内臓機能の働きが悪くなって、吐き気、めまい、痙攣や歩行障害になるんです。

 

だから、熱中症になったら、自分の機能で冷やすことができなくなるんで、体を冷やすこと。そして、水ではなく、経口補水飲料やスポーツドリンクなどを飲ませてあげること。

 

もし、それでも症状が変わらないときは、早めに救急車を呼んで病院に連れて行くことが重要です。

 

では、どうやって予防するのか?

 

それは、冷たい水の補給ではなく、上記に書いたナトリウム、ミネラルやマグネシウムといったものを補給させてあげりことが重要です。

 

本当に、この熱中症怖いんで、7つの症状を知っておくだけでも、危機管理ができるから覚えておくことを勧めます。

 

さて、このナトリウム、ミネラルやマグネシウムといったものが少なくなると起きる症状があります。

 

それは、『つる』という症状です。

 

『足がつる』ことはよくありますよね。

 

自分も、時々なることがあります。

 

そんな『つる』という症状で、悩んでいた選手に対してあることをして改善していった話をしたいと思います。

 

毎回、足がつって辛いんです

 

今日は何事もなく帰れそうって思うときほど、最後に難題を放り込まれることがある。

 

帰る準備をしていた時に選手が来たんだよね。

 

杉山(杉)「どうした?」

 

選手(選)「実は、足がつるんです。」

 

杉「そうなんだね。水分補給して、交代浴とストレッチしな」

 

ってな感じで終わろうとしたんだ。

 

そうしたら、かなり深刻な顔をして俺に言ってきたんだよね。

 

選「実は、毎回毎回練習中につって、テーピングして練習しているんです。」

 

足元を見ると、両下腿に取れかけのホワイトのテーピングを貼ってあったんだ。

 

杉「どうしたのそれ!」

 

選「実は、今日整骨院に行ってテーピングを貼ってもらったんです。」

 

ことはかなり深刻な状態。

 

もう、泣き出しそうな顔で訴えかけてきている。

 

如何にもこうにも、返すわけにはいかないから、

 

もう一度施術ベッドを設営して見ることになったんだ。

 

症状は『足がつる』

 

この選手はなんども怪我をしていて、腰痛・足首の捻挫・大腿の肉離れなど

 

怪我をするたびに、自分が見てきたんだよね。

 

体力はかなりあって、陸上部の中長距離でも活躍できくらいの走力とスタミナの持ち主。

 

だから、フィジカルの練習は余裕で可能なんだ。

 

でも、それがサッカーになると『足がつって』しまう。

 

しかも、決まってつるところはふくらはぎ(下腿三頭筋)

 

選手に色々と聞いたんだ。

 

主に水分やウォーミングアップの関係

 

すると、かなり気を使ってそこはやっているよう。

 

しかも、家でも俺が教えた交代浴を前にやった怪我の予防でやっているんだよね。

 

それでも、つってしまう。

 

なんで?

 

そもそも『つるって』いうのはどういう現象なのか?

 

自分もそこを調べ直したんだよね。

 

メカニズムは諸説あるみたいなんだけど、病気などの直接的な原因がない場合、有力な要因の一つとされているのが「電解質異常」らしいんだ。

 

電解質っていうのが、

カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど

 

血液中にあるミネラルイオンのこと。

 

これらのミネラルは、筋肉や神経の動きを調整する働きがあるので、なんらかの原因でミネラルバランスが乱れると、筋肉の異常興奮(痙攣)が起こるのではないかと言われているんだよね。

 

つまり、栄養に問題があるのか?

 

他に原因はないのか調べたら

 

・血行不良

・筋力低下

・体温低下

・水分不足

・ミネラルバランスの乱れ

 

っていうことで、上の5つについて調べたんだよね。

 

すると

 

かなりこれらに該当することがあったんだよね。

 

じゃ〜これは施術する必要はないのかっていうとそういうことでもなかったんだ。

 

実はこの5つの項目うち、4つは施術で対応できることがわかったんだよね。

 

原因はミネラルバランスと過去の怪我

 

足がつる最大の原因はミネラルのバランスなんだよね。

 

そこで、本人に練習中前・中・後でこれらの電解質が入っているものを飲むようにしたんだ。

 

それは、ミネラル入り麦茶とスポーツドリンク

 

それで、しばらく練習をしてもらったんだ。

 

自分の予想は、これで治ったら儲けもんって思っていたんだよね。

 

だから、おそらくよくならないっていうふうに思ったんだ。

 

案の定、これらの対策を練っても改善はしなかったんだよね。

 

でも、これではっきりしたことがあっんだよね。

 

それは、栄養が行き渡らない理由が体にあるってことなんだよね。

 

電解質はとった。

 

でもよくならない。

 

それは、つる原因にも書いてあった

 

・血行不良

・筋力低下

・体温低下

・水分不足

 

これらが患部に行き渡っていないことっていうことなんだよね。

 

つまり、どこかでそれが塞き止められているっていうことの証拠なんだよね。

 

で、栄養を運んでくるのが栄養血管。

 

じゃ〜その下になっているのが脊柱から出ている神経系なんだよね。

 

つまり、神経に問題があるっていうふうに疑ったんだ。

 

そこで、ポイントになるのが彼の怪我の歴史(既往歴)

 

腰痛・大腿の肉離れ・足首の捻挫

 

全て腰椎・仙骨に関連している。

 

つまり、過去の怪我で神経系の循環が悪くなって、栄養が下腿に行きにくくなっている。そうなってしまうといくらスポーツドリンクを摂取しても栄養がいきにくいわけだから、回復しにくいんだよね。

 

さらに、栄養が滞りやすいから下腿の筋肉量もなかなか増えていかない可能性がある。つまり筋力低下も考える必要があったんだ。

 

これらを考えて、

・脊柱マニュピレーション

・脊柱モビライゼーション

・下肢全体のリリース

・神経スライドストレッチ

・下肢のストレングス

・下肢のアジリティー

 

などのリハビリメニューを練習前後に実施したんだ。

 

最初のうちは『足がつる』ことはあったんだけど

 

数ヶ月後全くと言っていいほど『足がつる』という症状はなくなったんだよね。

 

つまり、いくら電解質の入った水分を摂取したとしても、それを吸収できる体ができていなかったら、全く意味がないっていうことなんだよね。

 

『つる』メカニズムはまだ解明されていないことが多いけど、自分である程度の情報を持ち合わせて、それに基づいた仮説のもと施術展開していくことが重要なんだよね。

 

ぜひ、試してみてください。

 

PS

熱中症の見定めはこのコロナで難しい。

 

自分で判断できないときは、すぐに救急車を呼んで対応することを勧めます。

 

今年の夏は暑くなりそうだ!