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改善しない腰痛はアライメントだけを見過ぎが原因 | 日本オランダ徒手療法協会

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改善しない腰痛はアライメントだけを見過ぎが原因

2021.09.30

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

この前、保育園の行事に参加してきたんです。

 

ちなみに、今までコロナ禍の関係から保育園の行事が参加できなかったり、保護者一人のみの参加だったりと行きたくてもいけない状況だったんですよね。

 

朝からワクワクで子供が保育園でどんなふうに過ごしているのか見ることが楽しみすぎて一人テンションが上っていたんです。

 

私:「今日はお父さんが保育園に行くよー。」

 

息子:「はーい。」

 

私:「、、、。」

 

「やったー!」とかもっといいリアクションを期待していたので、拍子抜けしてしまいました。

 

でも、実際に保育園に行くと息子のテンションは上がりまくって体当たり気味でハグをしてきてくれたんです。

 

我が子ながらツンデレがうますぎる。

 

って、親バカぶりはここまでにして、今回の保育園の行事ではふれあい保育で子供との接触や触れ合うことを増やしましょうとのテーマだったんですよね。

 

ふれあい遊びを通して、親子の愛着 関係を育てる。そして、好奇心を活性化させることができるとの紹介があったんです。

 

子供の脳の発達は、後ろから前に向かって起こり、

 

生後すぐに発達するのが見る機能を司る「後頭葉」

後頭葉と同時期が発達し、に音を聞く、言葉を理解する能力に関わる「側頭葉」

次に発達するのが手触りなどの感覚と、運動機能を司る領域である「頭頂葉」

最後に発達するのが思考や判断、コミュニケーションなど「高次認知機能」に関わる領域「前頭葉」

 

生後すぐに発達するのは、視覚、聴覚、嗅覚、触覚といった五感の領域。この時期に親子の触れ合いが一番大切になり、子供をぎゅっと抱きしめるなど、触れ合いを通じて愛着形成がされると、精神的に安定した子どもに育ち、様々なことに好奇心を養うことが出来ていくとのことでした!

 

その際にやっていたふれあい方なのですが、

 

・おんぶや抱っこをする

・保護者の身体を木に見立てて木登りをさせる

・四つん這いになってコアラのように身体に巻き付いてもらう

 

などいろいろなふれあい方を学び、子供も私自身もすごく満たされた感じだったんですよね。

 

今までも子供と触れ合う時間は確保していると思っていたんですが、

 

仕事で疲れていたりするとおもちゃに頼ったり、教育番組など見せてあげていたりして、ついつい触れ合うことが少なくなっていたりしていたんです。

 

そんな偏ったふれあい方をしてしまうと子供の興味を奪ってしまう、、、。すごく反省させられました。汗

 

って無理やりですが、臨床の場面でも偏った見方をして患者さんがなかなか治っていかないという場面ってないですか?

 

この前、後輩から腰痛が全然改善しないからと相談があったんですけど、どうも良くなっていかなかったんです。

 

結局、担当を変更して私が診ていったケースをご紹介したいと思います。

 

何をしても痛いと訴える患者さん

 

 

後輩からの情報も聞いていましたが、まずは先入観をなくして『今』の患者さんの状態を把握は大事。

 

患者さん本人からの情報収集ってすっごく重要なのでまずは、問診から!

 

・炎症所見はなし

・骨折や軟部組織の変性もなし

・腰が特に痛いが背中全体的に痛い。

・特に歩いているときが痛くて、仰向けに寝てても痛い。

・腰を反っても、曲げても痛い。

・寝返りをするたびに痛くて夜も起きてしまう。

・安静時NRS:10/10 動作時NRS:15/10

・しびれ(−) 神経根症状(−)

・ずっと痛いから動かすことが怖い。

・痛いからずっとコルセットをしている

・2年前から何度かぎっくり腰をしたことがある。

 

この場合、自律神経系に問題があるのではと考えて、ストレスや排泄系や不眠などを疑うのでその質問をしたら、、、。

 

この患者さんもバッチリ当てはまっていたんです。

 

でも最近はストレスの元となることは解消されていたんですが、動かすことの恐怖がストレスとなり、不活動→不動になっているのではないかと考えていたんです。

 

この場合のリハビリって痛みの我慢できる範囲で活動をしてもらうんです。

 

本人も、腰が痛くなる前は運動することが好きだったみたいなので、頑張りすぎないように痛みが出ない範囲の運動を指導してその日はリハビリ終了。

 

すると、みるみるうちに痛みが変わってきて、痛みが原因で眠れないことは取り除けたんです。 

 

でも、動作時NRS:15/10→5/10でもう少しの痛みがなかなか取れなかったんですよね。

 

なぜ?と悩んだんです。

 

腰痛の原因は食べ物によるもの!?

 

 

よくなっていない理由が他にもあると思い、再度問診を進めていたんです。

 

するとあることに気が付いたんですよね。

 

・グルテンアレルギー(セリアック病)

・ヒスタミンアレルギー

・運動すると身体がだるくなり、全身浮腫んだようになる

 

自分が問診で聞き逃していたアレルギーが、腰痛を長引かせていたのではないかと仮説を立てたんです。

 

ちなみにセリアック病では、グルテン(タンパク質の一種で主に小麦、大麦やライ麦に含まる)が免疫系を刺激して、特定の抗体を産生してしまい、この抗体によって小腸粘膜が傷つけられて、​​栄養素が組織に取り込みにくくなってしまうんです。

 

その状態が続き血液中のタンパク質濃度が低下すると、体液の貯留と組織の腫れ(浮腫)が起こるんです。

 

そのグルテンが含まれる食材ってめちゃくちゃあるんですよね。

 

・パン、パン粉、うどんや素麺、ピザ、パスタ類(スパゲティやマカロニ、ラザニアなど)

・カレーやシチューのルウ、洋菓子類(ケーキ類やクッキー・ドーナツ・カステラ・パンケーキなど)、ドレッシングやしょうゆなど

・お好み焼きやたこ焼き、かまぼこ、練り製品、ハムやソーセージ、チキンナゲット

などなど。、、、。

 

挙げればまだまだありますが、これだけ食べるものが制限されて今まで大好きで食べていたものが食べられなくなっただけでも患者さん本人は相当なストレスですよね。

 

なので、食べれないものを探すよりも食べれるものを探して覚えていくほうが、ストレスにかからないのではとアドバイスをさせてもらったんです。

 

今まで食べれないものばかり探していたので、考え方を変えてもらうきっかけとなり、実行してもらったんです。

 

でも、待ってください!まだ何か足りていないですよね。

 

そう!ヒスタミンアレルギーが残っているんです。

 

正直、自分自身ヒスタミンがどんな食材があって、これがどのような影響を及ぼすか知らなかったので、調べたんです。

 

体内で必須アミノ酸のヒスチジンから合成され、ヒスチジンが腐敗の過程でヒスタミン産生菌などによってヒスタミンになるんです。

 

そのヒスタミンの摂取によって、気管支を収縮させて呼吸困難を引き起こしたり、血管透過性を高めて血管の外側の組織に体液を漏出させることで浮腫みや血圧低下を引き起こすんですよね。

 

ヒスタミンが含まれる食材は、

・赤身魚や青身魚など(マグロ、サバ、カツオ、アジ、サンマ、イワシ)

・甲殻類など(エビやカニ)

・ソバ ・野菜類など(トマト、ほうれん草、タケノコ、ナス、サトイモ)

・熟成肉や燻製肉など

 

グルテンでけでなく、ヒスタミンが含まれる食材も気にしながら生活をしていくことはすごくストレスになりますよね。

 

ストレスの影響からなぜ腰痛が引いていかないかを仮説立てたのかというと、

 

ストレスの影響は自律神経が受けます。特に交感神経ですよね。

 

その交感神経が過剰に働くと全身の循環が悪くなってしまいます。循環が悪くなると痛み物質が血管の中に停滞して痛みを感じやすくなってしまいます。

 

でもこの場合で考えると体全身に痛みが出るんですが、この患者さんは過去に腰痛になったことがあること。

 

そして、腸内環境の繰り返しの炎症によるものが考えられるんです。

 

内臓の炎症が繰り返されたことで胸椎から腰椎にかけて存在する自律神経系の機能が低下し、同レベルにある運動神経や感覚神経が機能不全が起こり、背中から腰にかけての痛みが生じたのでは無いかと考えたんです。

 

そして、さらに追い討ちをかける状態として、過去のぎっくり腰が生じて適切な治療やトレーニングを行なっていないと、腰回りの筋は萎縮し、癒着が残っているはずです。

 

筋萎縮や癒着が残っているという事は腰回りは循環が悪るくなっているイメージがありますよね。

 

そこにストレスが加わると交感神経が反応して体全身の循環が悪くなるのですが、腰回りは循環が元々悪い状態なのでより腰に痛みが出てしまうのではと考えたんです。

 

治療家ができること、患者さんにしかできないことを判断する

 

 

アレルギーのことを共有していくと、患者さんの方から今までの生活の中で起こった疑問に思うことが出てきたんです。

 

『アレルギーの元となる食材を食べていないのに食事をした後に少し激しい運動すると症状が出る。』

 

かかりつけの循環器内科にこのことを伝えてもらうようにしたんです。なぜかというと、食物依存性運動誘発型アナフィラキシーを疑ったんです。

 

検査結果は、陽性だったんです。

 

原因食物を摂取して2-3時間後に運動するとその症状が出るんですけど、食事がきっかけだけでなく激しい運動が原因となって、肥満細胞というアレルギー反応で重要な役割を担う細胞からヒスタミンという物質が放出され、それが原因となりうるとのことだったんです。

 

そこで、リハビリだけでは治っていかないことを伝え、かかりつけの循環器内科と情報を共有して抗ヒスタミン薬を処方しながら、食事を摂った3時間後にリハビリの予約をとってもらい、運動負荷を調整して運動療法を実施したんです。

 

すると、動作時NRS:5/10→2/10まで下がったんです。まだ、痛みは残っているものの、日常生活では痛みはさほど気にならなくなって好きだった散歩をしたいと意欲的になってきたんです。

 

今まで私自身も、栄養のことをそこまで重要視してこなかったんですが、組織を強くし、回復していく過程で必要なことは、

『運動×休息×栄養』です。

 

このバランスの大切さを考えさせられるケースだったんですが、この3つのバランスが一つでも崩れてしまうと、なかなか治療はうまくいかないんですよね。

 

このことに気づくきっかけはやっぱり問診!問診の重要性もまた改めて感じたんです。

 

あなたもなかなか治っていかない患者さんに悩んでいましたら、もう一度問診をし直してみてはいかがですか?

 

P.S.

ふれあい保育のことを、奥さんに伝えて身体で木登りをさせたら、次の日全身筋肉痛担っていました。ふれあい遊びも親の体力がかなり必要ですね。

 


この記事を書いた人

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橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。