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『痛みの評価』はこの順番でやるべき!
2020.12.24from 杉山貴規 都内カフェ
VRって聞くと、何かゲームを楽しむ道具って感じがしませんか?
プレステでは、次世代のゲーム機としていち早く取り入れたんです。
それからもう数年。
VRを取り巻く状況もかなり変わってきていますよね。
・手術の練習のための道具
・営業の研修
・建築現場の高所作業の研修
などなど
様々な場面で多様性を持って使われて来ているんです。
そんなVR何ですが、痛みを緩和させるものとして期待されているんです。
痛みの緩和??
そう首をかしげちゃいますよね。
実は、各国でVRと痛みの研究がなされているんです。
<イギリスでは>
ロンドンのセントジョージ病院では、手術中の患者にVRヘッドセットをかぶせリラックスした映像を視聴させ、その効果を調べる実験が実施された。その結果、94%がリラックスできたと回答、痛みが和らいだとの回答は80%に上ったという。
<ブラジルでは>
VR眼鏡や催眠術により、短時間の医療処置を受ける患者の痛みや不安を緩和できる可能性のあることを、ブリュッセル大学病院のE. Kubra Okur Kavak氏らが報告した。静脈内カテーテルや創部の縫合などを行う際に、このような技術を用いて患者の気をそらすことで、必要な鎮痛薬の量を減らすことができるという。詳細は、欧州麻酔・集中治療学会(ESAIC)年次集会(Euroanaesthesia 2020、11月28・30日、バーチャル開催)で発表された
など
中にはモルヒネよりも痛みが緩和したなどという報告があるくらいなんですよね。
この背景には鎮痛剤の多量投与を減らす動きがあるということなんだよね。
副作用は日本では胃障害や頭痛などいったものが多いが、海外に目をやると、鎮痛剤の乱用で連邦保健・人的サービス省(HHS)がまとめた公式データとして「鎮痛薬オピオイドの濫用により2017年1年間に170万人が精神障害を引き起こし、そのうち4万7000人が死亡した」さらに、同年のオピオイド乱用者は1140万人に達したという。
ニュースがあるくらいなんだ。
そういうこともあり、このVR研究が行われていると思うんだよね。
こんな感じでVRと疼痛の研究は今後も発展していくと思うんだけど、、、
こんな感じで話してきたんで何となく分かると思うんですが、今日は痛みについて話したいと思います。
さて、痛みと聞くとあなたはどんなことを想像しますか?
・痛みの場所
・痛みの評価
・痛みのスケール
・動作時痛、安静時痛、歩行時痛…
・神経痛
・腰痛
・関節痛
・慢性痛
・・・
・・・
・・・
たくさんありますよね。
痛みに関しては本当多くのことを思い出すと思います。
で、多くの人に聞かれるのが、どうやって痛みの評価をすんですか?
っていうことを質問されるんです。
今回はそんな痛みの評価手順についてある患者さんを例に紹介しますね。
痛みの箇所がよくわからない
実は最近こんな患者さんを頼まれたんです。
数日前に扉を開けようとした時に股関節が『グキっ』てなったそうなんです。
その方は年齢は詳しく言いませんが、高齢者の男性
今回痛めた逆の股関節は骨頭壊死で手術されている方。
普段から杖を使って移動していて、活発に活動されているんです。
今回痛めた日も、杖をついて歩いていたんですが、家族から見るとかなり引きずったような歩き方だったらしいんです。
それで、心配になって整形外科に行ってレントゲンを撮ってもっらて来たんです。
結果は骨には異常がなく、痛みも筋肉か靭帯を伸ばしたかなんかで、特別疾患名は出ずに帰って来たらしいんです。
しかし、その痛みが未だに続いているということで、家族として心配になって今回見て欲しいという依頼だったんですよね。
そんな時あなたは何を一番に聞きますか?
それが今回の主となるところなんですが、
ま〜、ブログなんで自分なりの答えを書きますが、
痛みに関して聞く順番は次の通り
<痛みの評価>
・痛みの場所はどこか?
・痛みの範囲(局所なのか?広範囲なのか?)
・痛みの経過(減弱しているのか?維持しているか?増強しているのか?)
・打診痛の有無
・圧痛の場所・有無
・安静時痛があるかどうか?
・痛みが出る動作は何か?
・生活できる痛みかどうか?
これが、自分の痛みの評価の優先順位なんですよね。
これの順番にはかなりのこだわりがあるんです。
痛みに関してこの順番で行く理由としては、
痛みが急を要するかどうかの判断をしているんです。
局所の場合は組織損傷が考えられます。
その場合はやはり安静にしてもらうとか、病院に診てもらうとか、早急に何か対応をしたほうがいいと思うんです。
広範囲の場合
関連痛や放散痛が考えられます。
こういう痛みの場合は、様子を見たり、他の部位を観察する必要があるんです。つまり、痛いところ以外のところ。
ってな感じで、上記の順番でやると、リハビリや運動させていいのかとか?患部を動かしていいのか?などがわかり、次のステップに行けるんです。
そして、
今回のこの患者さん何ですが、
・痛みの場所は大腿骨頭と骨幹部
・局所的な痛み
・痛みの経過はあまり変化がない
・打診痛は少し響いて痛みが少し出る
・圧痛は大腿直筋と大腿筋膜張筋
・安静時痛はない
・動作では股関節を広げたり閉じたりすると痛い
・立位で痛い方に体重をかけると痛い(歩行でも同様)
こうなってくると、おそらく多くの先生は、筋肉に問題があると思いますよね。
筋力も弱っていて、ドアを開けた時に捻ったか、体重がのしかかって、筋損傷って感じで行くと思うんです。
もしかしたら、肉離れの可能性も捨てきれない。
しかし自分としては、
もう一つ疑念が残っていたんです。
骨の問題
それは、骨の問題
いやいや、それはレントゲン撮って、異常なしっていうことだから、骨は問題がないでしょっ!
確かにそうなんです。
しかしです。
気がかりだったのが、打診痛が軽微だったもののあるということ、あとは大腿骨頭に圧をかけると痛みが出たこと(荷重時痛)
それに、大腿骨頭にストレスをかけた時にも同様に痛みがあったこと
何で、これは骨折の可能性は捨てられないって思ったんです。
その可能性をさらに後押ししたのが、逆側の大腿骨頭壊死と骨粗鬆症があったってことなんだよね。
おそらくというか、骨がもともと弱いって思ったんだ。それにこの方は愛煙家でかなりタバコを吸う人なんだよね。
愛煙家っていうのは骨に血液が生き難くなって、骨頭壊死になりやすいっていうデータがあるんだ。
だから、骨頭の壊死か骨挫傷の可能性は捨てられなかったんだよね。
で、ご家族に相談して、肉離れの可能性と骨頭壊死・骨挫傷の可能性があるから MRIとCTを撮ってもらうようにしたほうがいいっていう話をしたんだよね。
痛みの原因がわかることで、リハビリの介入の仕方や生活の仕方提案が変わってくるんですよね。
もし、それを何となくやると、なかなか痛みが取れなかったり、最悪の場合全く動けない方向になることもあるんです。
だから、痛みの特定っていうのは重要なんです。
で、結局、その方の痛みの原因は何だったのか?
それは、大腿直筋の肉離れってこと判明したんだよね。
何で、今では筋肉の損傷ってことを軸にリハビリを展開してるんだ。
このように、痛みの評価っていうのは重要なんです。
まずは、局所なのか?広範囲なのか?
ここからでもいいの始めてください。
これだけでも、リハビリをする方法や部位などが精査されて成果が出ると思います。
PS
で、VRの話に戻るけど、
実は高所恐怖症もVRを使って改善できるっていう研究があるみたいです。
こんな研究やっているけど、自分がVRを使用するなら、まずはゲームで楽しみたいです。でもかなりリアルらしいので、その場で叫んじゃうらしいんですが、、、
子供だったらVRをサンタさんに頼みたいものです(笑)