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治らない肉離れは『腰』に原因があった | 日本オランダ徒手療法協会

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治らない肉離れは『腰』に原因があった

2020.03.02

from 永重 諒 佐世保の自宅

 

「あれ?TVが映らない」

 

先月の出来事だった。

 

「おかしいな~」

 

説明書を広げ、周波数やコードを調節するも中々映らない。

機械に疎い僕は、職場の先輩を頼ることに。

 

「いや~ダメばい」

 

色々なことを試してくれましたが全く映りません。

 

結局、業者に連絡。

 

ひと通りテレビを確認した後、

「テレビの本体ではなく、アンテナに問題があるかもしれません。」

 

そういって屋根へ登られ、作業すること1015分。

 

何をしても映らなかったテレビが見事に映りました!

 

まさか、テレビ電波を受信する大元のアンテナが原因だったなんて、、、

このように、原因が別の場所にあった!

 

なんてことは日常でもよくあることだと思いますが、これは臨床でも当てはまること。

メルマガ初投稿は肉離れ後の治らない伸張時痛についてお話したいと思います。

 

ハムストリングスの肉離れ

 

高校2年生女子 

部活:陸上短距離

診断名:ハムストリングスの肉離れ

日前、練習中に全力で走ったら痛くなったと。

来院姿から、特に歩き方がおかしい様子もない。

 

いつも通り問診から開始。

 

情報を整理した結果、

・外側ハムストリングスの近位部(筋膜、もしくは健)

・1度程度の軽い損傷

 

以上が考えられた。

 

通常、1度の肉離れは1~2週間で組織が治癒されると言われている。

 

「1~2週間で痛めている部分は治るよ。だからといって、急に復帰するとまた再発しちゃう。だから、焦らずに徐々に復帰していこう。」

 

そんな言葉をかけて彼女は安心してその日は帰りました。

 

それから、週に3回程度リハビリに通ってもらい、

・痛めている部位への電気治療

・周りの組織との癒着をとるリリース

 

このように、患部を重点的に治療を行いました。

「走っても痛くない!」

 

治療後は、彼女も嬉しそうで僕も心の中でガッツポーズ。

 

この調子で上手く復帰できそうだ。

そんなことを考えていました。

 

治癒期間は過ぎているのに

 

その後、2週間が経過。

 

・圧痛、収縮時痛は改善

・炎症所見、凹みや硬結も特になし

 

想定通り、痛めた組織自体は修復されている。

 

しかし、鈍い伸張時痛のみ残存している。

治療後は改善されるが、時間が経過すると戻ってしまう。

 

そのため、治療後でないと全力で走れない。

 

このような状態を呈してました。

伸張時痛は、炎症がないことからおそらく筋膜間の癒着(受傷時の毛細血管からの出血による)が原因と考えられる。

 

しかし、治療後にまた癒着するのはなぜだろう?

 

疑問に感じながらも、自宅でのセルフエクササイズを追加することにしました。

・お風呂でしっかり身体を温める

・痛くない範囲で静的ストレッチ

・膝の屈伸運動

 

これらのメニューを1週間ほど自宅で行ってもらいました。

 

しかし、その後も特に変化なし。

 

このまま同じことを続けても変わるとは思えない。

 

そう感じ、治療後すぐに戻ってしまう原因が何か、洗い出すためもう一度問診を行ってみることにしました。

 

すると「あること」が分かりました。

 

それは、腰痛があるということ。

 

肉離れと腰痛が関係すると本人も思わなかったようで今まで言わなかったとのこと。

 

そこで、1週間ほど腰に対してアプローチしてみました。(内容は割愛します)

結果、症状は改善し、治療後でなくても全力で走れるようになりました。

 

治らない伸張痛と腰の意外な関係

 

なぜ腰にアプローチをしたことで症状(鈍い伸張時痛)が消失したのか?

 

これは、「自律神経系」が大きく関わっています。

 

自律神経は、交感・副交感神経に分かれ、内臓機能などの体内環境を保つという役割がありますが、他にも重要な役割があります。

 

それは、血管の働きをコントロールしているということ。

 

自律神経の機能が低下すると、末梢血管を縮めたり、緩めたりする働きも悪くなり、筋や骨、靭帯などの軟部組織への血流量も減ってしまいます。

 

軟部組織は、動脈から血液を介して酸素と栄養を受け取っているため、血流量が減るということは酸素や栄養の量も減るということ。

 

そうなると当然のこと骨であれば脆くなるし、筋や靭帯であれば縮んだり

 

話を腰の方に戻しますが、腰からは運動神経・感覚神経だけでなく、もちろん前述した自律神経も出入りしています。

 

これら3つの神経系は相互に関わっているとされており、いずれかの神経の機能が低下すると他にも影響するとされているため、

 

今回の肉離れであれば、

 

長期的な下位腰椎(L3S2付近)への痛み刺激が感覚神経を介して加わることで、運動神経だけでなく自律神経にも影響し、同じ領域の軟部組織への血流量低下

 

肉離れ部位のハムストリングス(S1-2)にも酸素/栄養が行き滞り、短縮・癒着

 

ハムストリングスをその場でいくら緩めることができても、そもそも筋肉が栄養を受け取れなければすぐに硬くなるのは当然ですよね。

 

患部だけの治療で治らない、そんな時こそ別の見方をしてみること。

当たり前ですが目先の症状ばかりに捉われず、広い視点で診ることは大切ですね。

 

P.S.

 初メルマガ執筆が症例紹介になってしまいました(苦笑)

‘‘初めて’’なので大目にみてやってください( T_T)(^-^ )


この記事を書いた人

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永重 諒

【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。長崎県の佐世保にある個人病院で理学療法士として勤務。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ選手の治療を行なっている。高校男子サッカー部のチームトレーナーも経験。最近マラソンにハマっている一児の父。