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教科書的ストレッチの落とし穴 | 日本オランダ徒手療法協会

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教科書的ストレッチの落とし穴

2018.11.30

From:長島 将太

@姪浜のカフェより

 

患者さん「全然効かないねー」

 

実習生「先生のやり方をしっかり見て、真似してるんですけど…」

 

患者さん「長島さんは、もっとココをこうこうしてたよ。〇〇君頑張って!」

 

ウチの病院には定期的にリハビリの専門学校や大学から実習生がたくさん来るんですよね。

実習では患者さんの身体の評価や実際のストレッチやマッサージ、筋強化、日常生活動作の指導などリハビリに関わる多くの事を学ぶんです。

 

この実習が本当に大変で、レポートやら課題やら私も実習生の頃は大変だったのを思い出します。最近の実習スタイルは少しずつ変わっているようですが、リハビリの基本は何も変わりません。

 

皆さんも当たり前に実感していると思うんですが、基本の「解剖学/生理学/運動学」はどんな治療であっても共通する根幹の部分ですよね?

 

でも、あくまで教科書的な知識は応用出来てナンボだと思っています。

 

例えば、ストレッチにも色んなやり方があって、教科書通りに行かないことってたくさんありますよね。今ではどんな状況でもある程度、応用の幅が広がってきた私ですが、働き初めの頃の私は数々の壁にぶち当たってきました(笑)

 

今回はそんな壁の一つについてお話しますね。

 

#あなたの〇〇は効かない

以前、私の勤めていた病院は完全担当制でした。患者さんの状態はリハビリの結果と言ってもいいぐらい自分の力量が問われるような環境だったんですね。そして、自分が休みの時は、先輩にお願いして担当してもらい状況をチェックしてもらう。

 

そんな流れでリハビリの経過を見てもらう仕組みだったんですね。

そんなある日、私の担当だった患者さんから別のスタッフへとある申し出があったんです。

 

それは、「担当を変えて欲しい」との申し出でした。

よくよく聞くと、私が休みの日に担当してくれた先輩理学療法士のリハビリが凄く良かったらしく、その先輩に変えて欲しいとの事。(あの頃の悔しかった思いは今も忘れません )

 

少し日が経って考え直して思ったんです。

これは患者さんにとったら当たり前で、選ぶ権利があるのだと。

 

もし自分が患者さんの立場だったら「良くなる可能性が高い治療家に治療してもらいたい」と思いますよね。そう思えるようになって以降、その先輩の治療をより観察するようになったんです。

 

そこで気づいたことが「ストレッチ」の方向と伸張度合い。

ポイントは「3D」だ!!!ってね。

 

きっと先輩はこのあたりも的確に出来ていたから選ばれたのだと思います。

(勿論、これ意外にもたくさんあるでしょうけど…)

 

#2Dから3Dの時代へ

以前のメルマガではストレッチ前に必要な組織間リリースは説明したと思うのですが、まだ見られていないかたはコチラ→https://jadmt.or.jp/2018/08/21/4357/

 

教科書通りのようなストレッチも、勿論効果はあります。

ですが、より高い効果を出すには「解剖学」をより立体的に考え、二次元的(2D)ではなく、捻りや開きを考慮し、三次元的(3D)にストレッチを行うことがより良い結果に繋がることを痛感しました。

 

ここで忘れていけないのは、ストレッチ前には「組織間リリースで予め滑走不全を解消していること」が前提です!!

 

つまり、より高いストレッチ効果を出すには、、、

「ストレッチ前の組織間リリース」と「立体的な3Dストレッチ」の組み合わせが非常に重要だったんです。これは一つの関節をまたぐ単関節筋よりも、二関節筋のストレッチで大いに効果を発揮します。

なぜなら、単関節筋では長軸方向のストレッチが効きにくい筋肉構造をしているからです。特に羽状筋であるヒラメ筋や内側や外側広筋は、あまりストレッチが効かない構造をしています。一方、ハムストリングスや大腿直近のような二関節筋は紡錘状筋なので、3Dストレッチが抜群の効果を発揮するんですよね!!

担当を変えられるという苦い経験はしたものの、その患者さんと先輩のお陰で新たな視点に気づくことが出来た。私にとっては苦くもあり、成長の機会であったのだと今は思えます。(当時は物凄く悔しかったので、色々と悩みましたけどねー )

 

今回は私がぶち当たった「ストレッチの壁」でした。いくらたくさん勉強しても、たくさんの理論をもっていても、目の前の患者さんで結果を出すことができ、なおかつ患者さん自身も満足してくれる治療家でなければ自己満足野朗でしかありません。(自分への戒めを込めて→自己満足野朗と呼びます)

 

私の失敗談が皆さんのお役に立てますように!!

 

PS

実習時代に、この考えをもっと早く知っておきたかったーーー!と悔やんだ過去の自分。

今はウチの実習生に、この考えを身につけてもらいたいとコーチングしています(笑)


この記事を書いた人

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長島 将太

理学療法士。南川整形外科病院(http://minamikawa-hp.com/about/rehabilitation.html )JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。