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命を脅かす?!腰痛に隠れた危険サイン
2020.09.17from 永重諒 佐世保の自宅
梅雨も明けて少しずつ過ごしやすい天候になりましたね。
最近は訪問リハビリで利用者さんの自宅周りをすることが多くなったため、雨が降らないことは喜ばしいことです。
大雨の時は、車から家までの移動だけでずぶ濡れになることもありましたから…苦笑
現在、自分は個人病院に勤めているんですが、今年の4月から訪問リハビリも兼務するようになったんです。
もともと外来リハのみの担当だったため、スポーツ選手などの若い方から高齢者まで幅広く診ていました。
そんな外来リハとは違い、訪問リハでは基本的に介護保険を持っている高齢者が対象となります。
住宅の環境調整や介護保険の知識、ケアマネとの連携など治療以外の幅広いスキルが必要となり、日々が勉強の毎日です。
そんな訪問リハで利用者さん宅でいつものように血圧を測っていると、
「先生…寝違えたとか腰ば痛めてしまってね…」
そんな訴えがありました。
臨床では良くあるシチュエーションですよね。
訪問リハに限らず、治療家の皆さんであれば、何度かは似たような経験があるはず。
このような腰痛症、特に高齢者を診る際に第一優先に行うようにしていることがあります。
それは、『トリアージ』
聞いたことがない方もいるのではないでしょうか?
ということで、今回はこれについて書いていきたいと思います。
腰痛症のトリアージ
そもそも『トリアージ』とは何なのかというと、救命活動の際に使われる言葉なんです。
災害や事故などで大量の負傷者が出た際、治療の優先順位をケガの程度に応じて色の付いたタッグを手首に取り付けることで対応を円滑にする作業とされています。
タッグの色は、黒色・赤色・黄色・緑色の4色。
黒が死亡、赤が緊急対応、黄色が待機可能、緑が軽症者となっています。
この重症度を色分けするといった概念が、ヨーロッパの腰痛ガイドラインにおいても使われているんです。
腰痛症の場合は、赤色・黄色・緑色の3色。
「赤が止まれ、黄が警戒、緑が進め」
イメージとしては信号機のような感じです。
では、なぜ腰痛を治療する場合、初めにこのトリアージを行う必要があるのか?
それは、『赤色 = レッドフラッグ 』の可能性を否定する必要があるためなんです。
1%未満の怖い腰痛の正体
腰痛症には稀に命に関わる重篤な疾患が隠れている可能性(レッドフラッグ)があるとされています。
悪性腫瘍や腹部大動脈瘤、大動脈解離などが当てはまります。
また、命に関わらなくても、化膿性脊椎炎や強直性脊椎炎、馬尾神経障害、骨折などの専門的な治療を要する疾患もこれに分類されます。
全腰痛症の中でも、このレッドフラッグは1%未満で稀であるとされていますが、100人の腰痛患者を診れば、1人はこのレッドフラッグに該当する確率となります。
そう考えれば、割と他人事じゃない気も…
仮に、この1%に該当し、それを見逃した場合にどうなるか?
施術や運動によって悪化したり、場合によっては病的骨折などの医療事故を起こすケースも。
また、悪性腫瘍の骨への転移による腰痛を一般的な腰痛症と見分けることができずにずっと治療を行い、最悪の場合、亡くなってしまう可能性も決してゼロではありません。
そのため、疑わしい兆候があった際には、緊急を要する疾患もあるので、出来るだけ早く専門家を紹介し、血液検査やレントゲン画像検査などの精査してもらいましょう。
「こんな病気が隠れている可能性があるんだ…」
「腰痛って施術するの怖いな…」
僕も、初めてレッドフラッグについて知ったときはそう思いました。
ただし!
このレッドフラッグのトリアージの方法さえ分かれば、そう怖くはないんです。
しかも、治療家であれば割と簡単にできちゃうんです。
この誰にでもできるトリアージの方法については、次回のメルマガで書いていこうと思います。
勿体付けてすみません。
P.S
ちなみに、初めに紹介した訪問の利用者さん。
この方は、本当にただの寝違いだったみたいです。
1週後には、ピンピンしてました。笑
ただ、何事もまずは疑うことから。
それがリスク管理にも繋がりますね!