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膝関節の慢性疼痛の原因は膝サポーター
2021.10.03from 杉山貴規 自宅デスク
昔のニュースを読むことに、はまっている自分。
先日も2016年のCNNのニュースを読んでいた。
タイトルは『宇宙飛行士の腰痛、原因は筋肉の萎縮か 米研究チーム』
なんとも、心を揺さぶるタイトルじゃないですか?
だって、なんとなくですけど、宇宙で関節痛なんか起きない感じしませんか?
ま〜、きっと長期の宇宙の滞在で、筋力が弱って地球に帰ってから腰痛になるっていうオチなのかなって思って、読み進めていたんです。
中身は自分の予想通りの内容も書いてあったんですが、
予想以上の内容も
それは、宇宙上でも腰痛が起こっているということなんです。
しかもその割は、30%が中等度、もしくは重度になっているっていうことなんです。
これも、1980年以降から長期に宇宙に滞在するっていうことが発端だったんです。
研究をしたダグラス・チャン博士によれば、
『これまで腰痛の原因として注目されていたのは、背骨を構成する「椎体」の間で衝撃を吸収するクッションの役割を果たす椎間板という組織だ。
しかし、ISSに4~7カ月間滞在した飛行士6人についてチームが調べたところ、椎間板にはほとんど変化が起きていないことが分かった。一方で、背骨の下半分に当たる腰椎を支える筋肉組織が大幅に衰え、萎縮していた。地球上ではこの筋肉が重力に逆らって姿勢を保ったリ、歩いたり腕を動かしたりするのに使われ、椎間板や靭帯を保護する働きもしている。
宇宙空間では背骨に重力がかからないため、通常のカーブがなくなってまっすぐに伸びる。かがんだり腰を使って動いたりすることがないため、筋肉を使わないまま過ごすことになる。腰にギブスを着けて数カ月間過ごすのと同じような状態になり、結果として痛みやこわばりが起きる。』
これが、宇宙での腰痛を初めて研究した先生の見解。
ちょっと、内容が薄いですが、本当に面白いですよね。
もし、これが本当であれば、腰痛における長期のコルセットの装着は体に良くないことが考えられますよね。
実際、様々な研究でも、コルセットを着用することでの腰痛予防や治癒効果に関して研究しているのがある。
それがこの研究
『小売店の資材運搬担当者9,377名を対象とした6ヶ月にわたる前向きコホート研究によると、腰部サポートベルト毎日装着群、週1~2日装着群、非装着群の3群を比較した結果、腰痛発症率も労災申請件数も減少しなかった。』
ってな感じ。
つまり、腰にコルセットは意味がないってこと。
じゃ〜腰痛には地球上でも宇宙でも、何が重要かっていうと、『動かすこと』ってことがこの宇宙での研究で証明されているんだよね。
本当に、面白い記事ですよね。
さて、今回話すのは、慢性的に膝に痛みを持った女性の話。
この患者さん、ずーっと膝の痛みで悩んでいたんだけど、あることをしてから膝の痛みが徐々に取れていったんだ。
そのあることをどうやって見つけたのか?
膝の痛い女性
自分のところに膝に痛みを抱える患者さんが来たんだよね。
年齢は60台前後で、T字杖をしている。
患者さん(患)「膝が痛くて、歩くのがしんどいんです」
自分のところまでの歩様はあまり痛みを感じているようなところがなかったんだ。
でも、杖をしていて、膝の痛みを訴えるくらいだから、痛みを我慢しているのだろうって思ったんだよね。
ま〜、慢性痛の患者さん
何か、慢性痛につながるヒントがあると思い、いつも通り問診をしたんだ。
・膝が全体に痛い
・歩き始めが痛い
・じっとしていても痛い
・散歩が趣味(近くの公園を歩く)
・散歩中は痛くない
・散歩終わりで痛みが出る
・家事では痛みない
・家にいるときは膝の痛みはない
・食事は取れている
・お風呂に上がると楽になる
・お通じは良好
・ストレスは膝に痛みを感じるとき
ってな感じなんだよね。
こう見ると、変形性膝関節症の症状に酷似している。
歩き始めが痛いところなんかそんな感じなんだよね。
それで、膝の評価をして見ると
・熱感はなし
・腫脹はない
・発赤もない
・痛みはあり
・機能障害は歩き始めに痛みあり
って感じ、
う〜ん。
なだろうって、ちょっと考えちゃいますよね。
膝の変形は?
O脚のような膝の変形もなく、
変形性膝関節症のような、膝周りがぼってりとした感じもないんだ。
この膝の痛みってなんだろう???
それで、もう一度話を聞いてあることがわかったんだ。
それは…
外に歩くときはこれつけます
自分が他にも謎に思ったのが、家では痛くならず、屋外に出ると痛みが出るという話。
・歩き始めで痛みが出る。
・家事動作で多少なりの痛みは出る。
・散歩の後に痛みが出て、そのあとは痛みが出ない。
これって、オーバーワーク?
でも、そうであれば、散歩に帰った後の家でも痛みが出るはずなんだよね。
それが、なんかつじつまが合わないんだ。
それで、いつも散歩行くときの格好を見せてもらったんだ。
・頭には帽子
・服装は長袖、長ズボン
・背中にはリュック
・靴はハイキング用のシューズ
それと、膝用のサポーター
この膝用のサポーターなんだけど、布製の膝を包み込むような柔らかい感じじゃなくて、かなりしっかりとした支柱が両サイドに入ったやつ。
スポーツ選手が使う感じのしっかりとしたやつだったんだよね。
必ずこれをして歩いているっていうんだ。
もしかしたら、膝の痛みの原因はこれかもしれないって思ったんだ。
そこで、膝の筋力や膝の揺れを確認したんだよね。
すると、サポーターをしている方としていない方とでは筋力や揺れの違いが明らかだったんだ。
つまり、痛い方の膝の筋力は脆弱で、一歩一歩あるくたびに膝が左右に揺れる感じなんだ。
きっと、このしっかりとしたサポーターをつけ続けていることで、膝の筋力はおろか、膝を支えている靭帯が緩んでいることで、膝が痛みが出ている可能性があると考えたんだ。
他には、サポーターをつけていることで、膝周りを圧迫することで、膝周囲に血液が生きにくくなり、散歩しても運動しても、栄養が行き渡らず、筋力自体がつかない可能性もある。
それで、この患者さんにサポーターをつけることをやめるように指示したんだよね。
でも、いきなりこの提案には乗ってくれなかったんだ。
それもそうですよね。
今まで、サポーターつけて散歩していたのをいきなり取り除くのは恐怖。
なんで、段階的にやろうっていうことになって、柔らかい布のサポーターをつけて散歩してもらい、徐々に慣れていったらそれを外して、いつもの半分サポーターなしで、もう半分はサポーターありっていう感じにしてもらったんだ。
それで、そのかんは自分のところで膝周囲の筋力訓練を実施。
目標は、痛めていない膝と同じ筋力に戻すこと。
それを数カ月にわたってやっていったんだよね。
最初は、恐る恐るだったのが、徐々にサポーターも外れて、膝の筋力も左右対称にまで復活!
しかも、それに比例して、あれだけ痛みがあった膝も気にならなくなってきたんだ。
今では、膝のサポーターも外れて、痛みなく生活もできている。
このように、長期にわたり、サポーターのようなものをしているとそれを保護している軟部組織はどんどん脆弱になってくる。
それが、原因で慢性痛につながることもあるんだよね。
だから、徐々に筋力をつけて、運動して、外していくが慢性疼痛を取るコツです。
今回のこの話は、冒頭に話した宇宙飛行士の腰痛の話や足首捻挫でのテーピングとも通じるところがある。
なんでも、サポートすることは重要ではないんです。
身体の筋力をつけて、運動していけば、痛みは改善していくはず。
だから、過度な保護はリスクを伴うってことも忘れずに。。。
PS
実は、この宇宙での腰痛問題、これかなり重要な研究らしく、地球から他の星に移住することになった場合。
この問題が必ず上がってくるらしく、この研究者は長期にわたる無重力下では、運動を推奨しているんだ。
しかも、その内容はヨガらしい。
自分も、宇宙旅行で腰痛にならないように、今からヨガを覚えようっと!笑