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打撲の長期痛みの原因は腰にあった
2020.11.13from 杉山貴規 自宅デスク
AI、 AIという言葉を本当に数多く聞くようになりましたよね。
自分が生活に初めて取り入れた家電はルンバ何ですが、
お掃除ロボっていうやつです。
もう10年くらいになりますか。
それが時を経て今では、ついに車を自動運転なんていう技術まで生活の中に入り込んできているんですよね。
どんどん人間に変わって、AIが仕事をやるようになって、人は一体何をすればいいのかっていう問題まで起こってくるんじゃないかって思う頃ごろなんですが、、、
そんなAIの珍事件が最近あったんです。
場所はサッカー場。
サッカーの中継をAIが行なっていたんです。
最近ではボールを自動追尾したAI中継は欧米ではかなり頻繁にやっているみたいなんですが、
今回はちょっと違って、視聴者からクレームがたくさんあったんです。
「何で線審ばっかり映すんだ!」
「ゲームが見れない」
ってな感じ、、、
なぜ線審ばっかり写していたのか?
実は動画で自分も見たんですが、ゴールキックをキーパーが蹴った後にボールを追わずになぜか、線審に焦点が合うです。
何度も何度も、、、
よく見るとその線審さんの髪型に問題が。
もうここまで言えばわかると思いますが、
スキンヘッドの線審だったんです。
だから、AIが線審の頭をサッカーボールと勘違いしてたんです。
もう何度も何度もだから、笑ちゃいますよね。
本当爆笑ものです。
AIもそもそも人間が作ったもの、少しづつ学習してその勘違いを直していくんでしょうが、、、
まだまだ、人間の手がかかりそうです。
さて、そんな勘違いといえば人間にもあります。
人間になんて勘違いのオンパレード、
人を覚えるときは、顔をしっかり覚えておらず全体像でなんとなくらしい。
はっきりと特徴をつかんで覚えている人はほとんどいないってことなんです。
そんな勘違いばかりの人間ですが、痛みを誤認していることをあなたは知っていますか?
実は、痛みの多くは人間の勘違いが引き起こしている可能性があるんです。
今回はそんな人間の脳が引き起こした勘違い疼痛で、治りが遅くなった症例を紹介します。
打撲で痛めた脚
選手(選)「いた〜、さっきのプレーで相手の足が入って」
杉山(杉)「打撲だね」
サッカーではよくあること、相手の競り合いの中で、ももに膝が入ったんだよね。
モモカンってやつ
おそらく3日、長くても1週間以内には痛みはなくなると判断したんだ。
それから3日後にその選手は練習に復帰。
こちらも、全然心配しない形でいたんだ。
数週間経って、その選手が俺のところに来たんだ。
選「なんか、この辺が痛いんですよね。」
見るとこの間打撲したところなんだ。
しかし、もう治癒期間はとうに過ぎているし、治っていないとおかしい時期
それが、急に痛みを生じたっていうんだ。
自分はこれはもしかしたら、自分の評価ミスか?
って思ったんだよね。
頭によぎったのが、
・肉離れ
・筋挫傷
・骨折(ヒビ程度)
・コンパートメント症候群
患部には炎症症状で出ている熱感・腫脹っていうものがないんだよね。
しかも、打診痛もない。
これは本格的にコンパートメント症候群か?
しかし、コンパートメント症候群の症状ってやつが出ていないんだ。
<コンパートメント症候群の症状>
疼痛(pain)
錯感覚(paresthesia)
麻痺(paralysis)
蒼白(pallor)
脈拍消失(pulselessness)
このうちあったのが『痛み』のみ
だからこれはコンパートメントじゃないだろうって思ったんだ。
それでも、やはり画像診断で一回見てもらったほうがいいと思い、専門医に検査を依頼したんだよね。
ついでに、診断が出ればこちらもやりやすいって思ったんだ。
数日後診断結果が出たんだ。
案の定、コンパートメント症候群ではなく、打撲の影響で少し血腫ができてそれで少し痛めたんだろうという診断だったんだ。
なんだそれ?
って感じなんですが、最悪の事態にはならず本当に安心したんです。
自分はその血腫を取り除くように患部の周辺の施術を行い、筋肉が滑らかに動くようにしていったんです。
その間選手は普通に練習。
それでも、練習後は毎回、同じ太ももきにする様子だったんです。
この痛みの原因はなんなんだ?
オーバーワークだと思い、全体練習から外し、こちらで上半身中心のメニューに変えたんですが、痛みは継続。
つまり、オーバーワークでもない。
ストレスや自律神経系の問題か?
話を聞いてもそれに該当することはなくいたって健康児
で、もう一度痛みのある箇所を聞いて見たんだよね。
すると、痛みの箇所は打撲の箇所だけでなく、その打撲したところを中心に太もも全体だったんだ。
それでなんとなくこの原因が見えてきたんです。
これってもしかして、、、
この太ももの原因は関連痛?
これって、もしかしたら関連痛かもしれないって思ったんです。
関連痛に該当する場合の条件って以下の通りなんだけど
・痛みが広範囲
・炎症症状がない(痛みを除いた)
・(過去腰の怪我をしたことがある)
・(腰に張りがある)
・(腰に痛みがある)
などなんだ。
特に上の2つに該当する場合って関連痛の可能性がすごく高い!
しかも、今回コンパートメント症候群は除外されているんで、なおさら関連痛の可能性が高いって思ったんだ。
だめ押しで選手に今までの怪我の既往歴っていうやつを聞いたんだ。
すると
2年前に分離症をやったことがあるっていう話なんだよね。
そこはもうすでに完治していて、今では特に痛みは出ることはないっていうんだ。
でも、腰の怪我もやっている。
これはもう関連痛だろうっていう判断をしたんだ。
関連痛っていうのは
簡単にいうと脳が痛みの誤認して、デルマトーム領域と同じ四肢の部位に痛みを感じさせることなんだ。
つまり、今回本当の痛みを有しているのは腰椎なんだよね。しかも、打撲をした腿の外側なんで、デルマトームで見るとL4、5なんだ。
腰の怪我をしたのも上記と同じところ。
これで決まり!
腰椎の4、5番にアプローチをすればこの痛みは改善する!
で、その腰椎を触って見るとかなりの張りと圧痛があったんだ。
前後を押しても痛みは皆無。
本人もすごくびっくりしてたんだよね。
それで、腰椎周辺を以下のアプローチをしたんだ。
・マニュピレーション
・リリース
・モビライゼーション
・温熱療法
すると、腰椎の圧痛は消失したんだ。
もちろん、最初に痛みがあった大腿の外側の痛みも消失
本人もかなり驚いていたんだよね。
このように、痛みがある箇所が必ずしも原因ではないんだよね。
痛みの範囲が局所なのか?広範囲なのか?
炎症症状はあるのか?ないのか?
など様々なことを踏まえて、違うところに痛みを有していることがあるっていうことに気がつけば、痛みを早急に取ることが可能なんだ。
今回は脳が誤認したことで、痛みの箇所が違った場所に出るていう話をしたんだけど、これは慢性疾患には本当多くあることなんで、今あなたが受け持っている患者さんで同じような人がいたら是非評価してみてください。
PS
それにしても、AIのサッカー中継でスキンヘッドの人がたくさんいたら一体AIはどうなっちゃうんでしょうね。
まだまだ人間に頼ることは多いはずです。
治療業界も人間しかできないことをもっと突き詰めないと、AIに取って代わる日が来ちゃうかも。
ちなみに今回のAIサッカー中継の記事はこれです
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/ai-56.php
楽しんでくださいね(笑)