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それって本当に脊柱管狭窄症?思い込みが生む悲劇とは
2022.08.07from 橋本 祐一 @自宅デスクより
最近、暑い日が続きますね。
私が住んでいる福岡も連日、猛暑日で堪えます。
そんな暑い日には、避暑地へ!!
ということで、つい先日、家の近くにある川へ子供と川遊びに行ってきました。
ちなみに、今回の遊び場所は子供が選んだんですよね。
海に行くか、川に行くか、プールに行くかで写真を見せて子供に選んでもらうスタンスで、自分で遊びたいことを選ばせて、我が子は『川がいい』ということで、行くことになったんです。
あるある話だとは思うのですが、現地でわざわざ水着に着替えるのは時間ももったいないので、現地についてすぐにでも川に入れるように出発する前から水着に着替えて行く。
海やプールなどに行く時の時短方法ってうちだけですかね?笑
ってなことでいざ出発!!
現地に到着して早々に日焼け止めを塗っていないことに気づいて、せっかくの時短で水着を着替えてきてたのに足止めを。泣
子供から早速、日焼け止めクリームを塗って、次に奥さんが塗って、、、。
自分の番だと思いきや、、、。
日焼け止めクリームが足りなくなるという始末。
まあ、ラッシュガードを着てるし、日陰も多いから大丈夫だろう。
って、この思い込みがひどいことに、、、。汗
次の日、日焼けで痛いのなんのって。泣
腕と体はラッシュガードを着てたので大丈夫だったのですが、顔と首と頭皮が真っ赤になってたんです。
最近の紫外線の強さを舐めてかかってしまったことで思わぬしっぺ返しを食らってしまいました。泣
若い時はそんなに気にしなかったのですが、もう私も若くないので、日焼け対策をしなければいけないなぁと反省しています。
って、この話は特にブログの本編と全然繋がったりはしないんですけど、あえて繋げるとしたら、「思い込み」の部分ぐらいかな。苦笑
ということでいつものようにお話ししていきます!
今回は「思い込み」によって私が失敗してしまったお話です。
足にしびれがある患者さん
立った途端にしびれが右足に走る。今回はそんなしびれの症状の方。
70代の男性でMRIの結果、脊柱管狭窄症の診断を受けたそうなんです。
過去には椎間板ヘルニアを患ったこともあるそうで、その時の椎間板ヘルニアのレベル的にはL4/5でした。
そして、他にもこんな症状があったんです。
・足のしびれは右の大腿〜下腿の外側や足底
・体幹を反ると腰が痛い
・座った姿勢はしびれも腰痛もなし
・立った途端にしびれがきて、すぐにには体を起こせない
・歩けるのは約50mほどで痛くて休まないといけない
この症状としては、やっぱり脊柱管狭窄症だなぁという感じですよね?
この後も問診で患者さんの話を聞いて行くと、
「若い時にひどいヘルニアになったことがあってそこから激しく腰を動かすのが怖いんです。」
昔の腰痛の記憶が原因で腰を動かしたり、思いものを持つのが怖くなってしまい、ずっと腰は反ったままで固まっている印象。
当時、腰を痛めた時にお医者さんからもコルセットをして安静に、と言われてからずっとコルセットをしている状態だったんです。
立ち上がりでは腰椎の伸展がかなり強く、腹筋群が機能していないことで脊柱管の狭窄が大きくなっていると仮説を立てて、過去のヘルニアはそこまで影響はしていないだろうと思い、腰の反りを抑える目的で腰部周りの筋肉のリリースと腹部の筋力を指導したんです。
リハビリの時間も20分で問診で時間を使いすぎてしまったこともあり、とりあえずそんな感じで考えてリハビリ終了。
数日後、
リハビリに再度来られた時には症状は変わらず。
もうあなたもお気付きだと思いますが、私が「脊柱管狭窄症」と思い込んだことでこの結果になってしまったんです。
反省を生かして再評価
改めて、前回の反省を生かして体の状態を評価をし直したんです。
すると、
・脊柱で硬いのはL5とS1
・皮膚の表在感覚の左右差なし
・SLRテストも陰性で、坐骨神経の柔軟性低下もなし
・ティネルテストも陰性
このような結果からこのしびれの原因は脊柱管狭窄症ではないと考え直したんです。
結論から言うと仙腸関節の関連痛では?だと判断したんです。
なぜ、脊柱管狭窄症と全く同じような症状にも関わらず「仙腸関節」の問題だと判断したのか?
実は、評価の中で筋力検査も行なっていたんですけど、その結果というのが、
L4:前脛骨筋 左右差なし
L5:中殿筋 右の筋力低下あり / 長母趾伸筋 左右差なし
S1:大殿筋 右の筋力低下あり / 長母趾屈筋 左右差なし
このMMTとその他の結果から私が考えた仮説は、しびれの原因が神経の問題ではないと考えたんです。
筋力検査の結果をみるとL5領域の中臀筋やS1領域の大臀筋は筋力低下が生じていますが、ここで注意したいことは、足趾周りの筋力低下が生じていないというところ。
ちなみに、神経が圧迫された場合、神経の循環が悪くなってしびれや筋力低下、感覚異常などの神経の機能低下が生じますよね。
また、脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなってその中を通る神経が圧迫されます。
そして、脊柱管内で神経が圧迫された場合、神経の機能が低下し始めるのは足趾などの遠位からになるんです。
なぜ?
と思ったかと思いますが、長い神経はそれだけ多くの酸素や栄養が必要なので、脊柱の場所で圧迫されると、足先の部分から酸素や栄養が不足してしまい、神経の機能が早く落ちていくんですよね。
そこで、今回の患者さんの筋力検査の結果には、脊柱管に近い場所での圧迫があったのであれば、足趾の筋力低下があるはずですが、今回の場合は、股関節周囲の筋に筋力低下が生じ、逆に脊柱管から遠い足趾周囲の筋は筋力が左右差なしとなっているんです。
もし、神経が問題であれば、足趾周りの筋肉は筋力低下があり、股関節周りの筋肉は左右差がないか、若干の筋力低下があるという結果になるはずですよね。
だから、僕は今回のしびれは一度は脊柱管狭窄症と疑いましたが、症状が変わらなかったことも踏まえて、仙腸関節の問題だと判断したんです。
自分自身も治療に入る前に仮説立てをしていたんですが、今回は「脊柱管狭窄症」という思い込みで治療をしてしまったことで失敗してしまい、ここまでしっかりと評価をするべきだったと猛省しました。
でも、今回の失敗をすぐに切り替えることができたのも、常に仮説を一つに絞らずにいくつかの仮説を考えていたからすぐに対処できたのだと思います。
思い込みをせずにしっかりと問診で情報を集めて、評価でその仮説の検証まで行うことで治療の結果がいい方向へと行くと改めて感じました。
多くのセラピストや治療家が、どんな治療法が良いのかを探し求めていますよね。
ですが、治療法ばかり学ぶのではなく、まず症状の病態がなんなのかをしっかりと把握することが必要だと感じたので、あなたもテクニックではなく目の前の患者さんの病態をしっかり把握することをお勧めします。
P.S.
ちなみに、日焼けにもパターンがあるらしいのですが、
サンバーン(sunburn)とサンタン(suntan)の2種類があるそうで、
サンバーンは紫外線にばく露した数時間後から現れる赤い日やけ(紅斑)のこと。
サンタンは、赤い日やけが消失した数日後に現れ数週間から数ヵ月続く黒い日やけのこと。
日焼けのことを調べたら知らない単語が出て来て、ついつい美肌について調べてしまいました。
美を追究するのも悪くないかも。笑