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肩の痛み・凝りに効く『噛み合わせ』のススメ
2021.09.16from 杉山 貴規 自宅デスク
「よく噛んで食べなさい!最低でも10回よ!」
大昔、母によく言われた言葉だ。
食事をするたびに、この言葉を言われたものだ。
なんでこんなにも言われるのか?よくわからず、とにかく噛んで嫌々食事していたんだよね。
お米は噛めば噛むほど、甘く感じる。
確かにそうなんだけど、その当時本当にこの10回噛むルールが嫌で嫌で、親の目を盗んですぐに飲み込んでいたんだよね。
今となれば、この意味はわかる。
よく噛むことで、消化が良くなりお腹を壊すこともないし、栄養が効率よく各臓器で吸収されるから。
じゃ〜、今もこの10回噛むルールーをやっているかというと。。。
ま〜ほとんどやっていない。
だから、今でも数回噛んですぐ飲み込んでいる。
これを読んでいるあなたはどう?
あまりやっていないですよね。
しかし、この10回噛むルールを自分はある人たちに推奨しているんだよね。
その人たちとは?
自分の受け持っている高齢者の患者さんなんだ。
・1つは先にも記した『栄養吸収の効率を上げること』
・もう1つが『認知機能の低下を防ぐこと』
なんだよね。
特に、認知機能の低下を防ぐことを重点にやっている。
だから、よく噛むということは本当に重要なんだ。
さて、この噛むという行為
歯がないとできない行為ですよね。
歯があることで咀嚼ができ、食べ物をすりつぶし、唾液でさらに消化しやすい状態にして、各消化器官でさらに吸収していくんだよね。
じゃ〜この噛むことができないとどうなるのか?
それは
先にも言った認知機能の低下の他にも
・転倒のリスク
・パフォーマンスの低下
・重心、姿勢の低下
・筋力低下
・自律神経に悪影響
などなど
に繋がるんだよね。
で今回、その噛むというキーワードが孕んだ肩こりの患者さんが来たんで紹介したいと思います。
肩こりがひどい患者さん
患者さん(患)「先生、最近肩が痛いというか肩こりがひどいんです。」
どっちなの?っていう患者さんが来たんだよね。
よくよく話を聞いていると、肩こりが先で、徐々に肩が痛くなって、しまいには肩の可動域まで制限されてるっていうことなんだよね。
なるほどね。
どっちっていうよりも、両方っていうか3つも症状が重なっている。
でここから問診を詳しくしていったんだけど、
・慢性的な肩こり
・徐々に肩が痛くなって
・可動域制限がある
・頭痛
・洗濯物を干すのがきつい
・食器を上の棚に片付けるのもしんどい
・気がつくと首を回したり、肩を揉んだりしている
・仕事は介護職で週4日
・趣味は特にない
・食欲、排泄、睡眠などの自律神経系に異常はない
・仕事のストレスはあるがそこまでは感じていない
・お風呂に入ると肩は楽になり、肩の症状は一時的に緩和
ってな感じなんだよね。
肩がこるというのは様々な理由があるんだけど、
・ストレス(自律神経)
・姿勢
・オーバーワーク(仕事・家事など)
『慢性的』というワードがつくとどうしても自分は自律神経から物事を考えていく。
実際、長期にわたる疾患の場合はこれが原因なことが多いんだ。
しかし、今回は自律神経系には問題はなさそう。
それは、問診から見て取れる。
ってことは、あとは姿勢や筋骨格系の問題が原因か???
そんな感じで、少し疑問を持ちながら姿勢の評価をしていくんだけど。
姿勢を見ていくと
確かに、肩の症状の出ている側とそうでない方では姿勢にアンバランスがあるんだよね。
頭部からいうと前方へ変位、頚部は側屈していて、肩甲骨は外転・挙上、、、胸郭、骨盤、股関節、膝関節、足部、、、、
などなど
とにかく、このマルアライメントを治していけば
姿勢が改善される。
そのあとは、そのアライメントを維持するための運動療法を行なっていけば、肩の各症状は取れるって思ったんだよね。
で、実際にこのマルアライメントを左右対称にしていくことをやっていったんだよね。
しかし、自分の頭の中は嫌な感じが既にしていたんだ。
それは先にもいった、『慢性的』というキーワード
それでも、とにかく、マニュピュレーション・モビライゼーション・リリース・運動療法を駆使して姿勢を改善させていったんだ。
これを週2回4週間やったんだけど、
成果はリハビリをして1〜2日で元の症状に逆戻り
嫌な感じが的中!
なんでこうなるのか?
やはり、自律神経系が関係してくるのか?
それで、もう一度精査するために問診をしたんだ。
しかし、結果は前と同じ内容。
何かヒントはないのかと、その人の顔をじ〜と見つめて考えていたんだよね。
(う〜ん、えっ!!もしかしたら・・・)
表情から見出した肩こりの原因
杉山「すみません、ちょっと聞きたいんですが食事の時どっちの奥歯で噛みますか?」
患「え〜〜〜、”こっち“ですかね」
杉「そうですよね」
(これって、自律神経も姿勢も関与している可能性が高いかも)
そう思ったんです。
実は最近、高齢者における入れ歯の重要さを解いた文献やスポーツ選手はなんで噛み合わせが重要なのかっていうことを調べていたんだよね。
これは先にも書いたけど、
・転倒のリスク
・パフォーマンスの低下
・重心、姿勢の低下
・筋力低下
・認知機能の低下
・自律神経に悪影響
などなど
っていうことが書かれていたんだよね。
それがヒントになって、この患者さんの噛み合わせが悪いことが、今回の症状を引き金になった可能性が高いって考えたんだ。
しかも、この噛み合わせに関して調べていくと、面白い話が出てきたんだよね。
それは、噛み合わせの良し悪しで肩こりになるっていうことだったんだよね。
さらに、噛み合わせが悪いと、自律神経系にも作用して肩こり、頭痛、ストレスを引き起こすっていうんだ。
(これは〜)
って感じ。
つまり、今回のこの肩こり、肩の痛みや可動域制限っていうの噛み合わせが悪くなったせいで起こった可能性が高いんだよね。
噛み合わせが悪くなり、片側の咀嚼筋のオーバーワークによって、頭痛や肩こりが起こり、それが長期に気になり、自律神経系にも悪循環を引き起こし、慢性的な肩こり・痛み・可動域制限へとつながった可能性が高いと考えたんだ。
じゃ〜、どうするのか?
噛み合わせをよくするにはどうすればいいのか考えたんだ。
1つ目は歯医者さんに行ってマウスピースを作ってもらう。
2つ目は施術で治していく
3つ目は運動療法で治す
で、マウスピースの金額を調べたんだよね。
しっかりしたものを作ると結構な値段。
そこで、その話を患者さんにしたら、
ちょっと難色を示したんだよね。
それはそうだよね。
そこで、2、3番で試みることにしたんだ。
まずはよく噛むほうの表情筋や咀嚼筋をリリース
それから、チューインガムを普段噛まない方で噛んでもらう
っていうことをしてもらったんだ。
最初は、よく咀嚼する側の咬筋、側頭筋、それに加えて、口を閉じる内側・外側翼突筋がかなり硬かったんだ。
それをリリースして、チューインガムを噛んでもらうと
嘘のようにそこの硬さがなくなったんだよね。
というか、左右の硬さが均等になったんだ。
それで、肩の症状を確認したんだよね。
すると、かなりの好感触で、自分もびっくりするくらいの症状緩和だったんだ。
しかし、これは以前の姿勢改善でも症状は緩和していたんで、これをいかに継続させるかが重要。
それで、食事の時になるべく、左右を使って噛むようにしてもらったんだ。もし、それが難しい場合は、食後にチューインガムを食べてもらうように指導したんだよね。
それから3日後、その患者さんが来たんだ。
結果は、大成功!
症状は残っているものの、かなり症状が緩和して、継続性が出て来たっていうんだ。
最初はどうなるかと思ったけど、患者さんの顔をじっと見て、噛み合わせの文献を偶然読んでいたことが今回の治療結果に繋がったんだよね。
チューインガムがいいのかはわからないけど、代替案でどうにかこうにかって感じ。
それから、一応その患者さんには、歯医者で診てもらって医療用のマウスピースを検討するかを考えたほうがいいですよっていうアドバイスをしたんだよね。
噛み合わせっていうキーワード。
人にとってこの噛み合わせは重要な要素だっていうことを今回学んだよね。
見る視点はたくさんある。
一方向の視点にとらわれないで、様々な視点から物事を考えていくと、その人の治る道筋が見えてくるから、是非診るように心がけるといいですよ。
PS
以前も紹介したけど、食事は重要。
しかし、いくら良い食事が出て来ても、よく噛むことができないと体に効率よく吸収することは難しい。
また、噛み合わせをよくすることで
・筋力アップ
・重心、姿勢の安定効果
・パフォーマンスアップ
などなど
に繋がる
なので、食事で咀嚼する際に左右どちらかに偏っている場合はそれを均等にすることで上記のことに効果を発揮する。
そんなセルフトレーニングが食事している時に自然とできるんで是非意識してやってみることをお勧めします。
でも、面倒な人はマウスピースを作成してトレーニングや仕事に臨むといいかもしれません。
でも、自分はチューインガムで頑張ります笑