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真面目な性格が腰痛を慢性化させる
2020.09.28from 杉山貴規 自宅デスク
チャンピオンズリーグはバイエルンが優勝
しかもそれが、7年ぶりの優勝
ドイツサッカーは新型コロナ発生後欧州ではいち早くリーグ戦を開始
当初はけが人も多く出ていたブンデスリーガーだったが、早く始めたせいもあり、選手のコンディションという意味でもいい形で試合に臨めていたのかもしれない。
そんなブンデスリーガーで興味深い記事があったんで紹介します。
それは、雑誌のNumberWeb
どういった内容かっていうと、休息は大事だよって話。
ブンデスではユースやジュニアユースでは2週間、もしくは4週間の休みをとるらしい。それは年間通していうことではなく連続で、しっかりとした長期休暇をとっている。
なんでそんなにとるのかというと、
①フィジカルの面で成長を促す
②気分を転換させる
③様々な刺激を入れる
④自分のことを見つめ直す期間にする
といったことが目的らしい。
ジュニアやユースでは燃え尽き症候群をなくし、フィジカルの成長を促し、リフレッシュした状態でサッカーに打ち込んで行ける環境を作ることが大事だっていうんだ。
そのための長期休暇
確かに日本の部活動を見ていると、ブンデスまで多くの休暇を取ることはしない。それどころか、夏休みはかなりタイトなスケジュールで練習をしているところが多いと思う。
実際、先に示した休暇の話は、大人たちにも言えること。
年間通せば、休みは140日前後とっているところもあるが、2週間以上のまとまった休みは取れないのが現状ですよね。
そうすると、いつも仕事のストレスを抱えた状態です。もちろんそのために気分転換をしている人もいるとは思うんですが、それにプラスして長期休暇を取る必要性があるということを、ボーフム大学心理学部のミヒャエル・ケルマン教授は示しているんです。
こう考えると、休みということも真剣に考えて、仕事で言うのであれば生産性の向上に当てられるような仕組みを作ることも重要なのかって思います。
これができれば離職率なんかも減って、スポーツと同じような燃え尽き症候群みたいなのが減って来るかも知れませんよね。
前置きがいつも長い杉山ですが、
今回紹介するのはそんな真面目な性格があだになって、腰痛が長引いている選手の話をしたいと思います。
原因不明の腰痛
「すみません。診ていただいても大丈夫でしょうか?」
ものすごく丁寧な話し方。
敬語を使ったり、丁寧語を使うのは当たり前なんだけど、
それよりも、もっと丁寧な感じ、俗に言う好青年って感じなんだよね。
彼のポジションはゴールキーパー
最近も内腿を怪我したらしく、かなり困っている様子だったんだ。
「内腿は肉離れで、今回で3回目なんです。」
「それで、この3年間怪我に悩まされていて、プレー時間は本当に少ないんです」
ってことなんだよね。
病院に受診して、数週間は安静にしてほしい、その間リハビリをやろうってことになっているんだ。
そこのリハビリの先生には骨盤の歪みがあってそのせいで、肉離れを繰り返しているって言う見解。
ま〜確かに見ると姿勢や骨盤の歪み?ってやつがあるのは確か。
でも、姿勢が悪かったり、姿勢の歪みってやつですか、それは誰でもあること。
左右対称を探す方が難しいのでは?って自分は思ったんだけど。
その話はさておき、
彼に他に痛いところはないのかって話を聞いたら「腰が痛い」って言うんだ。
これももう何年も前から継続的になっていて、どの病院に受診して検査をしても決定的な確定診断は出なかったらしい。
今回も内腿を痛めた時に腰に痛みがあったから、ついでに診てもらったらしいんだけど異常は無しだったんだ。
で、オランダ徒手をやっているとこの腰と内腿の関連性がすごく気になるところなんです。
それで、今回痛みが出た内腿と腰の痛いところを確認したところ
デルマトームでぴったり合致したんだよね。
そこで、内腿の痛みが先か腰痛を先にしたのか?
このところを精査すると、内腿の痛みから生じたらしいんだ。
さっきから内腿の痛みって言ってますが、受診では肉離れっていう診断です。
本人は内腿は病院でリハビリをやってもらっているので、できれば腰を見て欲しいとのことなんだ。
こっちとしては好都合。
この腰の痛みを取れば、繰り返す内腿の痛みも取れるんじゃないかって踏んだんだ。
実際、内腿の筋肉の状態は固く、緊張があり、左右を比べると怪我した方の内転筋のボリュームは少ない感じ。
怪我の連続だから、使わないことで痩せてしまうこともあると思うが、それ以上に栄養がそこの内腿に届いているかが不安になったんだよね。
内腿の痛みと腰痛の関係
そこで、その内腿の栄養をいきどどかせるためにも、腰部中心に見ていき、末梢神経の循環を良好にする必要があると考えたんだ。
腰部を見ると怪我をしている側の脊柱に圧痛があり、皮膚もかなり固い感じ。
骨盤は過度に前傾しており、脊柱がかなり狭窄している。
病院のリハビリの先生が指摘した『骨盤の歪み』という表現が当たっているかどうかは別として、左右非対称なのは確か。
腰椎の可動域はかなり乏しく、それは胸椎も同じような状態だったんだよね。
それで、この評価はあとあと話すとして、
以下のメニューを実施したんだ。
・脊柱周辺のリリース
・L2、3、4のマニュピレーション
・脊柱回旋の3Dモビライゼーション
・腸腰筋のリリース
を実施
とにかく脊柱狭窄をなくし、末梢神経の好循環を生み出すことに徹底したんだ。
すると、腰痛はかなり改善。
本人もびっくりするくらいに痛みがなくなって、反っても捻っても何しても痛みを感じなくなったんだ。
それで本人もかなり喜んでいたんだけど。
じゃ〜何がこの腰痛を引き起こしていたのか?
それは内腿の肉離れによって循環不良になって、デルマトームと同じ支配領域の腰部に痛みを引き起こした可能性があったんだ。
じゃ〜肉離れが治れば腰痛は無くなるのか?
確かにそれもあるけど。
この何年間にも渡り、腰痛を繰り返してきたのには彼の『マジメ』が原因だったんだよね。
マジメはいいことだけど、、、
それは姿勢の問題。
彼の姿勢ってすごく綺麗なんだよね。
俺に挨拶するときも、ベッドに座っているときも、立って話しているときも
常に背筋が伸びて、ピンっとしているんだ。
これ問題かもって思ったんだ。
骨盤に目を向けるとかなり骨盤が前傾している。
それで、彼に直接
「骨盤の前傾って意識している?」
って聞いたら、
「はいっ」って言うんだよね。
それでか〜って思ったんだ。
いつでもどこでも『骨盤の前傾』『姿勢』は気にしているって言うことだんだよね。
きっとこれが原因で、無理な骨盤前傾と自分が思ういい姿勢を実践しているうちに胸椎や腰椎を固める結果になって、脊柱全体の可動性が乏しくなり、筋肉や皮膚などといった軟部組織も硬くなって、好循環を産まなくなったことが原因って考えたんだ。
そこで、彼にはメリハリをつけるようにレクチャーしたんだよね。
練習場面では姿勢や骨盤の前傾を意識してもいいけど、他の場面ではそこはリラックスしようって言う提案をしたんだ。
すると、彼も思うところがあったらしく、
確かにそう言うことを意識的にやっていたんで、一回それを試してみますって話になったんだよね。
現在は経過を見ていて、少しずつ意識を変えている最中なんだ。
真面目な性格な人ほど、指導者や専門家に言われたことを頑なに守る傾向がある。
だから彼には、少し不真面目(リラックス)する場面を作ろうって提案したんだよね。
性格によって、痛みが変わってくる傾向はあるので、心理的な側面からも患者さんを見れると治る確率が増えると思う。
P.S.
日本社会では長期休暇はなかなか取れないと思うが、時々は羽根を伸ばす機会を多く取るようにしたいものだ。
早くコロナが終わって、遠方に旅行したいものです笑