名言。膝を内に入れないで! | 日本オランダ徒手療法協会

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名言。膝を内に入れないで!

2018.09.07

From:長島 将太

@姪浜のスタバより

 

今から1ヶ月前でのリハビリのトレーニング室での出来事。

 

うちの病院には、スポーツ選手が競技復帰に向けてガンガン走ったり、ジャンプしたり出来るトレーニング室って所があるんですよね。

 

そんなトレ室は、いつも学生や社会人のスポーツマンで熱気に溢れているんです。

その熱気に負けじと、スタッフの指導にも熱が入ってくるんですよね(笑)

 

「もっと腰骨真っ直ぐに!」

 

「もっと股関節を曲げて!」

 

「下を向かなーい!」ってな具合にね。

 

でも、熱心なあまり動作指導時に、色んな指示や修正ポイントを患者さんに伝えているんですよね。

 

個人的にはもうそれ以上言うと混乱するよーーって心配してるんですが、、、

 

情熱は一向に収まらず、、、

 

「膝を内側に入れないように!」

 

「肘をもっと高く!」

 

「体重をもっと前に!」

 

まるで昔の自分みたいに(苦笑)

 

今回は、そんな私が駆け出しの頃にやってしまった苦い経験を紹介しようと思います。

 

恐らくスポーツ障害に携わるセラピストであれば、一度は経験したことがあるかもしれないあるある談です。

 

でも、これって実は怖いことなんですよね。

 

#その動作は〇〇〇!

「膝を内側に入れない」=その動作、靭帯を切っちゃうよ!

 

「肘を高く」=肘に負担がかかっちゃうよ!

 

「体重をもっと前に!」=体重が乗らないと、、、あれ、上手く説明できない(苦笑)

 

このような動作指導をした経験。

言った経験ってありません?

 

少なからず私はあります。

 

そして、それは全て上手くいかなかったんですよね。

 

なぜなら「結果」に対する指導ではなかったからなんです。

 

「肘が下がっている」という現象は結果であって、原因ではない。

これは「膝が内側に入る(いわゆるニーインですね)」も同じ。

 

では、なぜ「肘が下がるのか?」「膝がニーインするのか?」の原因を考える必要がありますよね。

 

今回は時間もないので、「Knee-in(ニーイン)」の原因を探ってみたいと思います。

 

#Knee-in(ニーイン)の原因

ニーインの原因は、、、

 

股関節の問題。膝の問題。足関節の問題。

 

肩の問題、、、

いやいや、これはぶっ飛び過ぎでしょ(笑)

でも、こんな考えをする方もいますよね、、、

 

背骨の問題、、、いや、これはぶっちゃけ関係大です(笑)

(この話はまた次回においておきます。非常に面白いですから!)

 

もっと具体的に、

本来動く関節の範囲が狭くなってしまった結果、「ニーイン」してしまう可動域問題。

 

今!という瞬間に主動筋/拮抗筋のタイミングが合わない結果、「ニーイン」してしまう神経-筋問題。

 

しっかり体重を受け止めなくていけない状況で、単純に支える筋力が弱い結果、「ニーイン」してしまう筋力問題。

 

このような様々な結果の原因があるから、

セラピストの皆さんは、原因を解消する為に「可動域」や「筋力強化」「バランス強化」をすると思うんですよね。(もっとたくさん原因はありますが、、、)

 

そして、もれなく「動作指導」も何気なくやっているはずです。

全てはよかれと思って。。。

 

ですが、この「動作指導」を誤るとせっかくのアプローチも水の泡になってしまうんですよね。

 

#「体内感覚」というキーワード

例えば、スクワット指導の一場面を想像して見て下さい。

 

問題と考える可動域や筋力へのアプローチを終え、いよいよ動作指導へ。

そんな動作指導の中でついやってしまう、様々なアドバイス。

 

「このタイミングで膝を曲げて」

「もっとお尻を後ろに」

「猫背にならないように」といった具合に、、、

 

私も昔は患者さんに言ってしまってましたね。

しっかり動作を修得して欲しくて。再び怪我をしない為に。

 

でも、この指導が患者さんの「体内感覚」を崩してしまっていたんですよね。

(この感覚が崩れると厄介で一度パターンが定着すると修正するのに時間がかかるんです)

 

「体内感覚!?」

 

聞き慣れないワードだと思いますが、運動感覚っても言うんですけど。

 

要は、いまこのぐらい関節が曲がっているとか。

ここに体重が乗っているとか。

こんな風に動いているなどの自分の運動イメージを表します。

 

この感覚が優れている人は、一般的に「センス」が良いとか言われたりもするやつです。

運動神経が良いなども同じですね。

 

このような感覚を私たちセラピストは、悪気なく崩してしまっている可能性があるんです。

それが、さっき言った色んな動作指導です。

 

では、どうすれば「体内感覚」を崩さない指導ができるか?

 

それは、、

 

#どんな感じか? を問いかける

「えっ?それだけ?」って思う方もいると思います。

 

ですが、「これだけでいいんです!!(再びジョンカビラ)」

むしろ僕らセラピストは難しく考え過ぎて指導し過ぎなんですよね。

 

だから、あれこれ言って患者さんは戸惑う。悩む。崩れる。

結果何も動作に変化がない。

一見上手くいっている様で実は別の場所で代償しているということだって。

 

もう少し具体的に「崩さない指導」を説明すると。

例えば、スクワットは体重を真下にかける練習だと思うんですが、この時「膝が内に入っている」と真下に体重をかけれず、体重が内側によったりすると思うんですよね。

 

そんな時、私は「今どこに体重が乗っている?」と問いかけるんですね。

 

そしたら患者さんは患者さんなりに感覚をフル稼働させ、体内感覚を研ぎ澄ませるんです。

「自分は今、どこに体重を掛けているかな?」ってね。

 

仮に「かかと側に体重が乗っています」と答えたら

 

次に私は「じゃあ、今度は足裏全体にかかる様にやって見てください」と言うんですね。

(絶対に、体幹を前傾させてとか、もっと体重を乗せてとか言わないですよ!!)

 

そしたら、患者さんは悩みながらも自分で修正し始めるんです。

不思議じゃないですか? 私が特にアドバイスしていないにも関わらずですよ。

 

決して患者さんは「膝を内側に入れない様にしよう」と意識している訳ではない。

 

考えている事は「どうすれば足裏全体に体重が乗るか?」を考えて

自分の体内感覚と相談しながら、自分で自分を修正しているんですね。

 

そして、その感覚(コツともいいます)を掴めた上で動作練習を反復させ、運動パターンを再構築したり、強化したりするんです。そうすると不思議と修正が上手くいくようになるんです。

 

この「体内感覚」という概念を知ってから、360度。がらりと指導が変わったことはいうまでもありません。(ぶっちゃけ、最初は何言うてんの?って思ってましたけどね 笑)

 

つまり、僕らが運動指導する上で注意するべきことは

「多くの情報を患者さんに与え過ぎない」ということ。

 

「どうすれば出来るか?」を患者さんに問いかけ、自身で修正するように導く。

 

もし、あれこれと指導してしまっている方。

どうしても指導したにも関わらず、同じ動作に戻ってしまうと悩んでいる方。

 

一度、「言わない勇気」を持って患者さんに指導してみてください。

すべては患者さんの中に答えはあると思います。

 

PS

結局、患者さんから「先生の言ってる事、難し過ぎて全然分からん(笑)」という始末。

確かに

 

PPS

またやってしまいました「〇〇勇気」シリーズ

やらない勇気、言わない勇気、、、

勇気だけじゃ解決しないと言われれば、反論の余地がございません m(_ _)m

 


この記事を書いた人

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長島 将太

理学療法士。南川整形外科病院(http://minamikawa-hp.com/about/rehabilitation.html )JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。