最強のリハビリプログラム!? | 日本オランダ徒手療法協会

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最強のリハビリプログラム!?

2019.06.04

from 杉山 貴規 広尾オフィス

 

(シーン)

 

みんな真剣な表情をして一点を見つめている。

 

順路に従い次から次へ。

 

それぞれに違った特徴があり、年代の古いものから若いものまで。

 

年代を重ねるごとにこんなにも表情が違ってくるものなのか。。。

 

(ふむふむ)何やら知ったかぶって。笑

 

実は、今日は上野の美術館に来ている。

 

前々から、みたいものがあってそれにいって来た。

 

ル・コルビュジェ展

 

なにそれって思う人も多いとは思うけど、上野の西洋美術館を設計した人

 

もともと、画家だんたんだけど建築家になってかなり注目を浴びた人なんだよね。

 

もうなくなっているけど。

 

世界各国に様々な建築が残っていて、その一つが上野の西洋博物館。

建物自体が世界遺産に認定されている。

 

彼の作品ってすごくシンプルに見えるんだけど、実はものすごく計算されているものなんだよね。建築は計算しないとできないものだけど、絵画も同じようにコンパスや定規を駆使して描いている。

だから、幾何学的なものになりそうなんだけど、実際見て見るとそれは全く違って、ものすごく柔らかい温かみのあるものになっている。

 

幾何学なのに暖かい。ものすごく相反するものなのにそれが融合しているところにすごさを感じるんだ。

 

医療人の俺がこんなことを語るのはものすごく恥ずかしい。だっておそらく、この人のすごさって、専門家から見たらこんなものじゃないだろうね。

 

館内はだから建築士、デザイナー、建築関係、これらの卵など建築に関わる人たちが多い。いでたちが、少し個性的でシュッとしている人が多かったんだよね。

 

この人たちに混じって、「ふむふむ」と思いながら見るのは恥ずかしいから、ササッと見てすぐに出てきたんだ。

これでも、建築とか絵画には興味があって、テレビでやる「渡辺篤史の建もの探訪」なんて小学生の頃から楽しみで見ていた。(知らないよね〜、だって古いし)

 

そのくらい、潜在的に建築や家具には興味があったんだよね。

 

だから、現代建築のピュリスムのル・コルビジェはとてもそそられるものがある。

 

絵画から建築すごく離れていそう。芸術を形にする人は多いけど、生活の中に落とし込むってこのコルビジェは本当にすごい人。。。

 

リハビリでも似たようなところがある。

 

話を聞いて、それをプログラムにして、トレーニングして最終的に患者さんの困っていることを解決していく。プログラムの平面上のものを、患者さんの肉体に対してやっていく。そこにはさらに、時間や感情が入ってくるからなおさら難しい。

 

3次元、4次元、5次元!?

 

今回、そのプログラムを患者さんに落とし込んでうまくいった症例を話していくね。そこにはあるポイントがあったからね。

 

腿裏肉離れの選手

肉離れの選手を見ることになったんだ。

 

彼はサッカーやっていてフォワード(点を取るポジション)

 

肉離れをやる前から少し違和感を感じていたらしい。それでも、大丈夫だろと思って練習をしてたら、激痛が。

 

それから、日常生活でも足を引きずっていて、階段やトイレにしゃがむときなんかでも痛みが出る始末。

 

早く直したいという気持ちで、自分のところに来たんだよね。

 

こういう場合って選手はかなり焦っている。ちゃんと直したいっていう気持ちが表向きあっても、早く競技に戻りたいとか、すぐに練習に戻らないとレギュラーが奪われるとか様々な気持ちがその気持ちの方が強い。

 

だから、早く治療してやろうって自分は思わないようにしている。

 

なんでか?

 

それは、自分にはどうすることもできないこと。

肉離れっていう疑いがあった以上、筋肉の修復期間はある程度決まっているからだ。

 

それを無視して治療介入することは、より遅れを生じるからね。

 

他にもある。

 

それは、怪我に囚われて周りを見ないで治療しちゃうこと。難しい言葉で言うと既往歴の聴取だ。今までの怪我や病気などを無視することもアウトになる。

 

だから、まずは問診だ!

 

  • どのように、その怪我になったのか?
  • 痛みがあるのかどうか?
  • 痛みが強い時間帯はいつか?
  • 生活、練習スケジュールはどうなっているのか?
  • ストレスはあるのかどうか?(食事の量や睡眠時間など)
  • 家族歴(家族で似たような怪我はないか?)
  • ポジションはどこで、どのくらいの経過するとどこが疲れてくるのか?
  • 目標自分が今後どの時期に復帰したいのか?
  • どういう選手になりたいのか?
  • チームで監督に求められていることは何か?

このような内容を聞いていく。

 

これに、医学的情報(レントゲン、MRI、血液データ、ドクターの見解など)を加えて実際のプログラムを作成していく。

 

そこで、大体の復帰時期を選手に伝える。

間違えないで欲しいのは、ここでの復帰時期は試合にフル出場できるまでのこと。

 

焦る選手に最高のプログラムを見せつける

ここまで、情報を収集するのにはあまり言いたくないが40〜60分程度かける

 

そんなのできないという方もいるとは思うが、自分はかける。

 

そこから、焦る選手をなだめるような形プレゼンを展開していく!

選手の要望と早めることのできない時間(損傷したところの治癒期間・時間)

これを達成するために、何ヶ月必要って話す。

 

この選手の肉離れの場合2〜4週間は安静、そこから徐々に痛みのない範囲で上げていっていいと言われたので、全体復帰までを7〜8週間に設定していった。

 

最初にこの数値を選手に話したら、納得いかないような感じの顔だった。

 

それはそうだろう。

 

肉離れ自体、周りの選手もしているし、軽い人なら1週間で復帰している人もいる

 

だから、すごく落ち込んでいたし、憮然としていた。

でも、あるものを見せたら納得したんだよね。

 

それは、リハビリプログラム

 

4次元で考えるプログラム

普通のリハビリプログラムって目標があって、縦軸が種目で横軸が日数や週単位の時間が書いてあるよね。

 

ま〜それでもいいんだけど、自分の場合は少し違う。

 

自分はそれにやる時間帯と気持ちを書いてある。

 

時間帯は午前中と午後でメニューを変えている。

 

なんで時間の設定をするのか?

練習や試合って、そのチームで違うじゃないですか?

早朝やるチームもあれば、昼間や午後、夜なんかにも練習する。

だから、その時間に合わせて体を作っていく必要があるんだ。

 

だって、普段朝から夕方まで働いている人が急に深夜の仕事になったら体って動かないじゃないですか。動かない体で動くと怪我するリスク高くなりますよね。

 

それと同じなんです。

 

だから、時間帯も入れておく

 

また、気持ちっていう度合いはこんな気持ちになった時はこのプログラムをやって欲しいなんかも明記しておくんだ。

 

落ち込んで着る時や寝不足でやる気がない時なんかは、怪我をしやすいから少し軽めで患部に負担のかかり難いものを設定

 

そう言った軸も入れておく。

 

そして何より、実戦に近いリハビリプログラムを作ること

その競技特性とポジションを頭に入れたプログラムを作る。

 

この内容で、選手にプレゼンすると憮然とした表情から笑顔に変わっていくんだよね。

 

それから、選手の同意を経ていざプログラムを開始

 

結局、競技復帰までには8週間かかった。

 

選手にとってはものすごく長い時間だったけど、すべてのメニューを完璧にこなして笑顔で復帰していった。

後から聞いた話だけど、彼の周りの肉離れの選手はその後もその場しのぎの治療をして、肉プレーしているらしい。

 

彼にどっちがいいか聞いたら、怪我の不安を抱えないでプレーしたいと答えが返ってきた。

 

すべて良いプログラムがいい結果を生むことはないかもしれないが、いい準備をしなければいい施術はできないはず。

 

選手の言いなりならないで、自分のプロとしての自覚を持って相手に提案して施術することも医療人として大切かなって思う。その目標を達成させるために必要な時間だということが示すことができればね。

 

今日は少し固い内容になったけど、施術以前に重要なことなんだよね。

 

もし、やってみようかなって思ったら是非やってみてください!

 

PS

これでも、昔は絵画教室で油絵なんかもやっていました笑