モビライゼーションは何回するべきか? | 日本オランダ徒手療法協会

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モビライゼーションは何回するべきか?

2018.09.10

From:長島 将太

@自宅のデスクより

 

毎週水曜日と木曜日は早く帰るようにしている。

出来るだけ早くね。

 

だから、その曜日だけは朝からいつも以上にスケジューリングをしっかり調整して、きちんと定刻に業務完了をしているんだよね。

 

なぜかって?

守らなければならない約束がそこにはあるから。。。

 

17時半になる合図を待って、急いでケイシーを脱ぎ捨て

靴を履き替え、8キロ先の我が家へママチャリで爆走!!

 

この爆走姿を見かけたスタッフから「長島さん、早すぎでしょ!!」って毎回言われる程

ママチャリを本気で漕いでるんですね。

 

正直ロードバイクに負けたくないって思ってますし(笑)

まあ、そんな事はどうでもいいいのですが、、、

 

その大事な約束ってのが「息子と公園に行く事」なんですね。

 

普段、週末も仕事に出かけていることが多い私なので

少しの時間でも子供と一緒に遊ぶ時間、触れ合える時間って大切にしてるんです。

 

そして、いつも行く定番の公園ってのが非常に珍しいんですよね。

 

よく歴史の教科書に載っている前方後円墳ってあるじゃないですか。

鍵穴みたいな形のお墓ですよね。

 

その形を有効活用したユニークな公園で、見晴らしの良い高台があったり、曲がりくねった坂道があったりと子供には大人気の激アツスポットなんです。

 

そこでの長男のお気に入りの遊びが、、、

ストライダーで曲がりくねった坂道を滑走すること(笑)

(ストライダーは、ペダルのない自転車みたいなやつです。気になる方はググって見て下さい。)

 

子供って、本当に凄いなーって感心するんですけど。

 

好きな遊びだったら、ずっと遊んでいられるんですよね。

 

数回ってレベルじゃなく、何十回も、何百回も繰り返すんです。

 

流石に「もういいやろ(笑)!!!」ってなりますよね。

本当はブランコしたり、すべり台で遊んだりと少しは戯れたいんですけどね(泣)

 

だけど、息子は一人で遊んで大満足!

 

「あと何回するの???」って聞いても、

 

「あと5回」「いや、10回」

 

しまいには「もう少し暗くなるまで!!」

 

ってもう暗いし!!って思わずツッコミたくなるぐらい熱中している訳です。

 

さて、こんな息子のように好きな事/楽しい事は回数を決めずにやってしまう。

これ大人の私達も同じですよね。

 

でも、セラピストであれば

回数や頻度に拘らなければいけない時ってありますよね?

 

例えば、モビライゼーションの頻度だったり、、、

 

#回数の設定は?

そもそもモビライゼーションって、「凹凸の法則」に従って軟部組織にアプローチする手段の一つじゃないですか?

 

そして、モビライゼーションの目的は

・可動域を出すこと

・疼痛を軽減すること

 

だと思うんですが、具体的に回数ってあまり決まってないんですよね。

どちらかと言うと「◯分持続して行いましょう」などは記載されています。

 

でも、この回数や持続時間って「モビライゼーションの目的」によって多様化するんですよね。

 

つまり、決まった回数や時間はないということです。

 

例えば、

「関節軟骨の菲薄化が痛みの原因だった患者さん」へのモビライゼーション

 

「最終域の可動域制限が原因でパフォーマンスが落ちているアスリート」へのモビライゼーション

 

この2つのシーンでは、モビライゼーションの目的を明確にしないと上手く結果には結びつかないんですよね。

 

そこで大切な考えが「スポンジ効果」「轍(わだち)を作る」ことなんです。

例えば、前者の軟骨に対してだったら、この「スポンジ効果」を最大限に高める必要がありますよね。

 

#「スポンジ効果」

「スポンジ効果」とは、簡単に言うと軟骨に対して適切な加圧と減圧刺激を加えることで、軟骨内の栄養や酸素、老廃物などの代謝を促すことです。

 

イメージとしては、まさに食器洗いのスポンジと同じ。

もし一滴の洗剤をスポンジ全体に染み込ませたい場合、みなさんはどうしますか???

 

そうですよね。たくさん揉みますよね。

モミモミ。ブクブク。

 

そうすると関節内の軟骨にも栄養や酸素が十分に行きわたり、軟骨に潤いが戻ってきますよね。(ちなみに、京都大学の先生も薦めている程です)

 

であれば、軟骨に対してのモビライゼーションは「スポンジ効果」をより高めることが目的になるから、「たくさん動かすこと」が必要になってきますよね。

 

#「轍を作る」

では、後者の場合はどうでしょうか?

こちらは一般的にされていますよね。可動域改善を目的にモビライゼーションを行う。

 

でも、さらにより効果的なモビライゼーションを行う為には「轍を作ること」を念頭に置くとで効果は倍増します。

 

「轍」という言葉をググってみると

「車が道に残した車輪の跡」と記載されています。

 

この轍を作るように、各関節角度で抵抗感やエンドフィールを繊細に感じ取りながら

適宜、力を加える方向を変えながら、轍を作っていくことがより効果的なモビライゼーションには必須の考えですね。

 

膝関節で例えるなら、単に直線的な関節可動域練習ではなくて、屈伸や回旋方向、滑り、転がり方向など、関節の形状をしっかり想定し、隅々まで圧をかけながら行うことが行うことが望ましいのではないでしょうか。

 

このように、手技の目的をしっかり明確に出来るようになってから、私の治療選択で迷うことがなくなりました。

 

「何の為にするのか?」の理由がほぼ明確になるんですよね。

そして、「どのくらいするのか?」「何回するのか?」までも説明出来るようになったんです。

 

もし、いろんな手技の方法は知っているけど、目的を明確に答えれない方。

自分のやっている手技の理由を、きちんと患者さんに説明できないと感じている方。

あなたは、明確な目的を持って治療を選択できていますか?

 

PS

気づいたら息子は、1時間以上ストライダーで坂道を快走(笑)

さらに、カーブのコーナリングのテクニックが明らかに上達していたんですよね。

 

「好きこそ物の上手なれ」 息子の将来に期待している親バカでした(汗)


この記事を書いた人

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長島 将太

理学療法士。南川整形外科病院(http://minamikawa-hp.com/about/rehabilitation.html )JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。