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【準徒手】柔道整復師/石山洋亮 先生 | 日本オランダ徒手療法協会

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【準徒手】柔道整復師/石山洋亮 先生

2019.03.15

柔道整復師の原点!治せる治療家になりたい!

・こだわりも何もなかった一人の柔道整復師…

資格を取って 10 年目…

 

大学付属接骨院で勤め始めたころは「自分の手で治せる治療家になりたい」と 強く思っていた。

 

しかし実際現場に出てみると柔道整復師お得意の外傷を診ることは少なく、保険を使った マッサージを一日何人回して診れるか…ということを目標にしていた。

 

そんな治療しているとも言えない状態を目を輝かせた学生達に見せて「これが柔整師の仕事だ」と間違った ようなことを伝える日々が続いた。

 

・保険メインの接骨院の院長になる

一つの分院を任され責任ある立場になった。

院長といっても今思えば「治療をしている」とは自信を持って言えなかった。

 

  • 「どれくらいで良くなるのか…」
  • 「どうしてここを治療するのか…」
  • 「問診スキルもワンパターン」

 

で どうしたらこの人を良くできるだろう…ではなく、どうしたら安い保険で長く通わせられるか…と 完全に自分の都合に合わせて患者様にあたっていた。

その一方、保険はこれから厳しくなる…と治療家でいたいと思いながらも後ろめたい気持ちで仕事を しなければいけない状況がつらくなっていた。

 

・実力勝負の完全自費の世界へ

保険診療の時とは違い、症状の改善や的確な説明をするプレゼン能力がないと継続来院してもらいにくい 完全自費整骨院で現在は働いている。

 

一般的な症状の方から運動習慣のある患者様まで幅広く対応している。

 

今ある症状をよくしてもっと根本的に良くしたい…とトレーニングやリハビリに意識の高い患者様が多く やりがいを感じている。

 

保険と自費の違い…しっかり説明、治療を出来ないと患者様は来なくなる!

・以前の自分では何もできなかった…

 

保険での治療の場合、正直症状に対して深く考えることはなかった。

安い金額で毎日通わせることが目的に なっていたりしていた。自費治療になると 1 回の治療費は決して安くはない。

  • 治療で改善させることは もちろんだが
  • どういう意味で治療するのか…
  • どれくらいで良くなるのか...
  • 痛みが取れてさらに目標に 向かってトレーニングなどは何をすればいいのか…

 

これらの説明と結果が伴って初めて信頼され納得して 通ってくださるようになる。 理論のある治療技術と何より伝える力が問われることになる。 そして一つの症例に対して以前の自分なら固執した考えしかできなかった。

 

「ここの痛みならきっと筋肉 だろう」と治療してみて結果が出なかった時はもうそれ以上の考えがなく、同じ治療一辺倒…結果が出ず 「なんで治らないんだろう…」と違う視点がまったく浮かばなかった。

 

根拠もなく「きっとこうだ…」で治療するので結果が安定しない。 一つの症例に対してその人の過去や現在を結び付けたりする考え方がまったく分からなかった。

 

・いつまでに良くなる…といえない…

患者様は症状がいつまでに良くなるのか…どうしたら元の生活が送れるのか…ということは非常に 気になるところである。自分の理論や技術に自信がなく、いつまでに良くなるとまったく言えなかった。

 

・痛みがある所だけにフォーカスし、結果が出ないと手詰まりになる…

以前は問診で何を聞き出せばいいのかがわからず、痛みのある部分に着目し「なぜそこに痛みが出るのか」 「その痛みや問題で考えられる可能性は何か」「どういった治療選択をするのか」がまったく分から なかった。腰の痛みにはこの治療!とワンパターンな治療になり、結果が出なければ手詰まりになる… そこから違う原因の可能性を考える力がなかった。

 

根拠のある治療によって分かった伝える力と考える力

・適切な治療、説明のために必要な問診の重要性

まずは一人一人の患者様に対する問診の内容と質が変わった。

 

整骨院では整形外科のようにドクターからの診断に頼れることが少ない。どうしてもその場で問診をして 自分の診立てを持って治療に当たらなければいけない。かといってレッドフラッグのように即病院に 送らなければいけない内容も見抜かなければいけない。

 

オランダ徒手療法では漏れのない問診が必要になる。

  • 経過
  • 治癒を阻害する要因

とそれぞれ丁寧に 聞き出し、一つの症例に対してそれらをストーリーのように組み合わせていく。

今という内容で現在の 痛みの状況を聞き出す。この時点で痛みの出ている組織の可能性を2~3つ考え出す。それに経過や治癒を 阻害している要因をそれぞれ根拠のあるストーリーにして仮説を立てる。

 

オランダ徒手療法の問診には一つ の答えというのは存在しない。説明に根拠があればどれも正解である。ゆえに固執した一つの考えという ことにはならない。

つまり一つ仮説がはずれてもまた違う可能性を考えられる力がつく。

 

現場でスクールで学んだ問診を活用し考える力を養った。それにより患者様に説明する時も「なぜ痛みが 出たのか」「なんで良くならないのか」を自信を持って伝えられるようになった。

 

そして、患者様の「なぜ」を説明出来るので、自宅でのセルフトレーニングなど積極的に行ってくれる方が 増えた。

 

一つのストレッチ、トレーニングでもなぜやらなきゃいけないのか…が伝わると参加して くれやすくなる。なかなか習慣的に出来ない方でもその方の環境設定から考えてあげられるようになった。

 

結果的にこれまでより治療の結果が圧倒的に出やすくなった。 整骨院で勤める柔整師こそ問診は何より重要であると感じる。

 

一つの治療例

・35歳 男性 草野球(区で1部リーグ)左足関節外側の痛み

野球の試合中、ヒットを打ちベースランニング中にベースを踏んだ左足の外側がだんだん痛くなってきた。 試合後には歩行痛も著明でしゃがむことが出来なくなっていた。チームがかなり力を入れているようで 1 か月後にはどうしても大事な決勝戦の試合に出たいということだった。

 

・まずはしっかり問診を…そこからアプローチを決める

足首なら外側の靭帯、腱などが思い浮かぶが問診していく中でこの方はおなじような痛みをよく繰り返して いた。

以前の自分なら痛い所にのみ目を向けていたが、痛めた部分の支配領域の神経の働きに目を向け、 同じ支配領域の筋肉の力の入り具合、腰周りの硬さ、動きの問題などに着目し「なぜ繰り返し痛めている のか」「腰や神経とどう関係があるのか」を説明した。

 

治療でも簡単にアイシングを使ったり、患部のみを治療したりせず、腰からのつながり…解剖学的に足首と 関連のある個所の治療などを行い、早期改善を図った。

 

数回の治療で症状はみるみる良くなり、次は繰り返さないこと…そのためには弱った足首周りの組織を 段階的に抵抗力を上げていく必要があった。

 

自宅や練習で自分で出来るリハビリ的な動き、全体練習などに 参加していい時期などを定めて1か月後の試合に向けて地道に取り組んでもらった。

 

・アマチュアもプロも気持ちは同じ!試合に出られるのが本当にうれしい!

その競技が好きな人であればあるほど、試合に出られない・同じ痛みを繰り返すのは本当にもどかしいこと。 同じ痛みを繰り返す中でどこに行っても同じような治療…足首のみ治療されて少し負荷の強い練習・試合に なるとまた痛めて…とどこか不安を抱えながら純粋に野球を楽しめていなかった。

 

こちらが提示した通りに復帰できて、最後は大事な試合にフル出場出来たことで「ちゃんと治るんだ」 といううれしさと大きな信頼を得たことを感じた。

 

問診から考え、根拠をもって説明すると患者様は非常に納得してくれる。

 

・自分の治療に対する自信!

これまではある程度良くなっても最後まで改善できない…一つの原因が当てはまらなければ行き詰り違う 手が浮かばず「そのうち治るだろう…」と治療家としてあきらめていた所があった。それ以上の手が 浮かばないことが多くの患者様を不幸にしていたと今では思う。

 

・理論や考え…頼られる存在に!

「これさえやれば治る!」といった一つの手法に頼りきったりマニュアル通りの施術のみになってしまう 柔整師はたくさんいる。しかしそれが通用しなかった時…他に頼れるものがない…それは治すための理論 考え方が分からないから、習わないからである。

 

オランダ徒手療法で学ぶのは手技も大切だが、何より考え方・理論である。

それがあれば治療が上手く いかないとき考え直すことが出来る。 広い視点を持った考え方は頼りになる存在になるのではないだろうか。 「足関節と腰…どう関係するの!?」と驚かれることはしばしばある。

 

・左足関節の痛みなのに腰から治療!?

足関節の痛みならテーピングや物療などで患部のみを診る…以前の自分もそんな柔整師だった。

 

治りを悪くする生活スタイルに気を付ければそのうち治るかもしれないが、どうしたら早く治るか… 再発させずに済むか…の一つの選択肢として腰からのアプローチがある。


足関節の外側の皮膚分節(デルマトーム)は
L5S1 にあたる。ついで皮膚だけでなく骨膜にも分節があり、 スクレロトームといい、やや支配領域に違いがある。足関節外側のスクレロトームは L5S1 なので皮膚、 骨膜分節ともに同じである。

 

オランダ徒手療法の特徴的な考え方として神経生理学という考えがある。運動・感覚・自律それぞれの 神経は相互に関係しあっていて一つ機能が低下すれば同じ領域の他の神経も機能が低下する関係性にある。 L5S1 領域で痛みがあるため、感覚神経に持続的に刺激が入る。

 

そうすると相互に関係した運動・自律神経 にも影響が出る。運動・感覚神経は同じ高さから出るが、自律神経は少し高さが違う。 L5 領域に循環を送る自律神経は L2S1 領域に循環を送る自律神経は L3 となる。

 

自律神経が機能低下を 起こすと局所への循環不全をおこし、痛みを取るため・治るための酸素や栄養が届きづらくなる。 そのため自律神経を正常化するために腰へのアプローチを選択する。 オランダ徒手療法を学ぶまでは自律神経についてなんて深く考えたことがなかった。

 

しかし今までやらなかったこういった治療をすると患者様の治りが格段に違う。そしてリハビリで運動を 始めても組織が抵抗力をつけやすく、再発が少なくなった。 例えケガをしても患部が治るまで待つしかない…わけではないのである。

 

選ばれる柔道整復師に!

今業界として保険診療は厳しい…として柔道整復師も多様化している。マニュアル化した治療を企業として 売り出したり、美容分野にいったり、トレーニングや介護業界と併設したりと様々な工夫がある。

 

しかし原点である治せる柔整師を目指してみたい!と思わないだろうか。 自費診療は確かな説明や結果がすべて…。だからこそ理論、技術を身につけて自信を持ちたい。

 

思った通りに治療で結果が出せたりすると非常にやりがいを感じる。 病院や整骨院は数多くあっても症状が良くならず、どこに行ったらいいか分からない方はたくさんいる。

 

そんな中でも「あの先生なら大丈夫!」そんな風に選ばれる本物の治療家が増え、治療業界の社会的地位が 上がってほしいと思う。