【準徒手】理学療法士/能代 裕哉 | 日本オランダ徒手療法協会

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【準徒手】理学療法士/能代 裕哉

2019.03.19

自分の課題

直面した課題

「痛みがなかったから、動いたけどまた腫れて しまった…」

「治ったと思って復帰したけど、ま た痛みが出てきた…」

 

果たしてこれらは、防げなかったのか??

 

経過観察や安静にすること は、果たして正しいのだろうかと感じるようにな りました。その中で、指導していたトレーニング は果たして適切であったのか?より良いもの はなかったのか?負荷設定に十分な具体的な 根拠があったのか?様々な課題を持つように なりました。

 

しかし、どう効果的に運動を行い、 負荷をかけていくべきか解決できず、自分の 力量の無さを痛感していました。

スポーツ現場での疑問

スポーツ現場においても、同様の課題があり ました。

 

フォームや姿勢が悪いのに、今まで痛 みなくプレーができる選手がいる一方で、姿勢 もよく、フォームも綺麗であり、セルフケアも実 施していた選手がなぜ痛みを出してしまうの か。これらの疑問に対する、納得のいく答えが 見つかりませんでした。

 

知っているだけの知識は、役に立たない

 

今までに多くの研修会に参加し、知識のインプットに時間の多くを割いてきました。しかし、実際の 臨床では、解決できない課題に多く直面しました。そこで感じたことは、断片的な知識では、役に 立たないと思うようになりました。 

 

結果を出すために、動作分析に限らず、より実践的な分析能力 と別の視点からの考察ができるようになる必要があると感じるようになりました。

コースを通じた成長と取り組み

問診からの見直し

DMT に通い、最も変化した点の一つは、 

問診です。 

問診の手法を基礎から見直し、基本的な原理・原則の学習をしたことで、痛みなどの症状の仮説立てが可能になりました。今までも問診は行 っていましたが、目に見えるもの、触れてわかるものだけで解決しようとしていました。

 

改めて学ぶことで、今までの問診は、不十分であったと感じました。

 

問診の重要性を認識したことで、日々の臨床の中で、少しずつでも問診時間を取るようにしました。当初は、動作分析や触察を重視した評価をしていたこともあり、スムーズな問診ができず、戸 惑いがありました。しかし、問診を続けるようになり、得られる情報が格段に増え、結果的に、臨床 での評価のスピードが早くなりました。 

 

それだけでなく、患者・選手個人の考え方や深く聞かなけれ ば聞くことができなかった情報も多く知ることができるようになりました。

適切なタイミングで適切な負荷をかける

問診も含めた全体像が把握できるようになったことで、安静ではなく、状態に応じた負荷がかけら れるようになりました。 

特に、後述する「組織の抵抗力と負荷量」の概念は、様々な問題を解決して くれました。

 

術後や怪我からの復帰にあたり、負荷が低すぎたり、高すぎたりすると、最大限のトレ ーニング効果が得られません。逆に、組織が損傷し、炎症症状が長引いてしまうなど、リスクが生 じる場合もあります。負荷量を調整できるようになったことで、負荷を上げる際に根拠を持って、負荷設定ができるようになりました。 

トレーニング復帰時期に関して、痛みがない場合でも、復帰時 期の検討を総合的に判断し、検討することができるようにもなりました。

知っているから、実践へ

DMT のコースでは、コーチングスタイルでのケーススタディなどを通して学習を行います。 

 

ケース スタディによって、学習した基本の原理・原則を踏まえた問診、トレーニングの立案など実践できま す。その都度新たな発見がありました。基本の原理・原則がどう臨床に活き、それらがどのように 関係し合っているのかを、学習できました。またプレゼンを通じて、相手に伝えるために、より深い 理解が求められるため、理解できていなかった部分が明確になりました。 

 

知識のインプットとアウト プットとケーススタディを通じることで、患者や選手からの質問に対して、自信を持って答えられるようになりました。

疑問を解決した概念

組織の抵抗力と負荷量の概念

怪我の分析や予防、トレーニングの設定に 関わる、重要な概念です。

 

簡単に言うと、抵抗力とは、組織 が化学的、物理的ストレスに対して抵抗す る力のことを言います。つまり、抵抗力は、 どれ程の負荷まで組織が耐えられるかを示 し、負荷量は組織にかかる負荷を指しま す。 

この概念を用いると、右の模式図にあ るように、怪我をするパターンを大きく3つに分類することができます。

①負荷自体が変化せず、抵抗力が低下している状態

具体的に言うと、特別負荷は、変化していないがギプス固定後の患部の状態がこれに当たります。

②抵抗力を超 える負荷がかかった状態

例えば、急にトレーニングを初め、肉離れをしてしまったなどがこれに当たります。

③抵抗力が下がり、負荷量が上がった状態

どう応用するか

このような抵抗力、負荷量のバランスの背景には、多数の因子が関わります。この因子を問診、 触診、動作分析を組み合わせ分析することで、病期に応じたトレーニング設定や治療プログラム、 目標達成までの大まかな期間が組めるようになります。

 

術後の負荷調整のみでなく、競技復帰後 のサポートとしてコンディショニング調整やオフシーズン前の調整などに役立つ概念であると思い ます。抵抗力と負荷量のバランスを考えたメニューが組めれば、負荷による痛みや腫脹の増悪の リスクを未然に減らすことができます。

まとめ

知っている知識を使える知識に

DMT での学習を通じて、単なる知っている知識ではなく、実践的に使える知識へ変わっていきまし た。このためには、学んだことを、実践し、トライアンドエラーを繰り返し、より精度を高めていく必 要がありました。慣れないことが多い上、決して受け身では身につかず、自ら学ぶ姿勢が必要となりました。

 

単なるセミナーではなく、スクールである意味がわかりました。

良い環境で学べ、考える 習慣や、様々な気づきの場面が増え、成長することができたと感じています。