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コアトレでこんな間違いしてませんか? | 日本オランダ徒手療法協会

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コアトレでこんな間違いしてませんか?

2019.01.21

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

最近スポーツニュースをよく見るようになった黒田です(笑)

ということで、今回はスポーツネタを!

 

ここ数年多くの日本人プロ野球選手がメジャーリーグに挑戦するようになりましたよね。

 

大谷翔平選手、ダルビッシュ有選手、田中将大選手…パリーグばっかりですが(苦笑)

 

最近では菊池雄星選手のマリナーズ入りも発表されましたね。

やっぱりパリーグばっかりです(苦笑)

 

マリナーズへの移籍はちょっと話題になりましたね。何が話題かというとイチロー選手と同じチームだからです。来季はイチロー選手も選手復帰⁉︎なんて報道も少し前にありましたからね。

 

イチロー選手は野球界では超一流で野球に詳しくない人でも知っているほどの選手。昔は「上司になってほしい著名人」なんかにもランクインしていました。

 

イチロー選手にはこんな名言があります。努力は報われますか?という問いに対して

 

「報われるとは限らないですね。もっといえば、努力と感じている状態はまずいでしょうね。その先に行けば、きっと人には努力に見える。でも、本人にとってはそうじゃない…という状態が作れれば、それは勝手に報われることがある…ということだと思います。」

 

うーん、深い…凡人の僕には理解不能です(汗)

 

ただ、こんなことはよく本に書かれています。

「努力したからといって、必ず報われるとは限らない。けれど努力していない人が報われることはない」

 

確かにこれは思いますね。だから、人間は目標を持って努力しようとしますよね。

 

もちろん、正解なのですが…

こと腰痛治療においてはちょっと良くないときもあるんです。要するに頑張りすぎは良くない!

 

どうしても人は努力している、頑張っている状態というと「キツイこと」をしているというイメージが強いものです。キツイ方がなんだか効果が出そうな感じがしますからね。でも場合によってはそれが逆効果になることもあるので、今回はそのことを皆さんとシェアしたいと思います。

 

コアトレのイメージ

皆さんはどんなイメージを持っていますか?

 

代表的なのは

・呼吸に合わせてお腹を凹ませるドローイン

 

・四つ這いで手足を挙げる

 

・両手と両肘で体を支えるプランク

 

・仰向けてお尻をあげるブリッジ

 

など、のトレーニングをイメージするのではないでしょうか?

 

確かにこれもコアトレの一種です。一種なんですが、ネットではこのようなトレーニングが数多く紹介される傾向にあり、これがコアトレの全てかのような印象を受けます。

 

このようなトレーニング法はある程度コアが強くなってきた患者さんには適しています。ただ、このようなやり方が不適切な患者さんもいるんですね。

 

僕がクリニック勤務時代には仙腸関節に痛みがある患者さんが多かったんです。

仙腸関節自体が痛い方もいましたし、仙腸関節のズレによって関節軟骨への圧迫や関節周囲の靭帯の伸張が起こり関連痛が出ている人もいました。

 

仙腸関節の神経支配は腰椎5番や仙椎1番なので、関連痛は臀部や下肢の外側部に出ます。

 

今回は仙腸関節の関連痛が臀部に出ていた患者さんを紹介します。

 

50代の女性で青果店で働いている方でした。特に外傷などのきっかけはなかったですが、同じような症状を何回か繰り返しているようでした。

 

仙腸関節がズレて関連痛が出ているのですが、この場合関節の不安定性がある事を考えなければなりません。

 

仙腸関節は周囲に数多くの靭帯がありますから、本来は徒手で動かそうとしてもそう簡単には動きません。ですが、少々の動作や徒手で動くということは不安性があるということが考えられます。

 

なので、仙腸関節の治療を行う場合には次の2点の事を気をつけます

 

・仙腸関節のズレを直し、適切なアライメントにする

 

・適切なアライメントを維持できるようにコアを鍛える

 

この患者さんにもこのような方針で治療をしました。

 

仙腸関節のズレはモビライゼーションやマニュプレーションで直します。また筋筋膜の緊張もズレを助長する場合があるので、ストレッチやリリースも行います。

 

そのような治療を行うとその場で痛みは取れることがほとんどです。

 

問題はその適切なアライメントをいかにして維持するか?

これは徒手療法では行えないので、トレーニングが必要です。

 

さて、ここで皆さんに考えていただきたいのが、適切なアライメントを維持するためによくネットで紹介されているようなコアトレを指導しますか?

 

実はこれをそのままやっちゃうとかなり負荷が高いんです。また不安定になってしまうこともあります。

 

では、どのようにしたら良いのでしょうか…?

 

ポイントは頑張らないこと!

ただし、努力度が低ければ良いというような単純な考えではありません。

しっかりと理論的な根拠があるんです。

 

その理論とは「サイズの原理」

 

「サイズの原理」って聞いたことありますか?学生時代の遠い記憶かもしれませんが、ちょっと教科書を引っ張り出して見てみると面白いと思いますよ!

 

「サイズの原理」とは…

 

体を動かすのは主に筋肉ですが、その筋肉を動かすのは神経が指令を出します。

 

そして、筋肉にも顔面や指など小さな筋肉で細かな動きが求められるようなものや、大腿部や臀部など大きな筋肉で粗大な動きが求められるような筋肉もあります。

 

そのため、細かな動きを求められる小さな筋肉に対してと、粗大な動きが求められる大きな筋肉に対してでは神経の指令の出し方は当然変わってくるわけです。

 

細かな動きには小さな力が、粗大な動きには大きな力が出るように神経が調整しているのです。これが「サイズの原理」の基本的な考え方です。

 

ですが、この「サイズの原理」が破綻してしまうケースがあるんです。

 

それは、痛みや強い衝撃が加わった時。

これらの刺激が加わった時には人間は体を固めるような反応が出ますよね。防御性収縮と言ったりもしますが。

 

そのような状態が続いてしまうと腰でいうと脊柱起立筋のようなアウターの筋が過剰に収縮したままになってしまい、逆に多裂筋のようなインナーの筋の働きが抑制されてしまうんです。

 

多裂筋は腰椎や仙腸関節を安定させるために働く筋ですから、これが働かないとずっと不安定性が残るということなんです。

 

ここでちょっと戻って、なぜプランクなどのネットで紹介されているコアトレが不適切な場合があるかというと、多裂筋が働いていない状態でやると負荷が高すぎてアウターの脊柱起立筋が過剰に働いてしまうので、「サイズの原理」が破綻してより多裂筋が抑制されてしまうんです。

 

これが、皆さんがよくやってしまうコアトレの間違いなんですね!

 

では、どうしたら良いか?

それは、このようなコアトレの前にしっかりと多裂筋を「単独」で収縮出来るようにする事です。

 

具体的な方法はまたの機会に紹介したいと思いますが、多裂筋を単独で収縮させるには全くと言っていいほど強い力は要りません。むしろ、細かな動きで繊細に動かさないと働きません。

 

この患者さんもまずは多裂筋をしっかりと単独で働かせるようなトレーニングをしてからコアトレを行いました。

 

このようにコアトレをするにもちゃんと「原理原則」があります。

 

それを理解していると方法論に惑わされずにしっかりと結果を出す事が出来ると思いますよ!是非試してみてくださいね!

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S.

日本のプロ野球もそろそろキャンプが始まりますね!ほとんどの球団が九州であるので1度見に行って見たいです!


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。