バンクシーから学ぶ治療との向き合い方 | 日本オランダ徒手療法協会

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バンクシーから学ぶ治療との向き合い方

2021.09.02

From:長島 将太

@自宅オフィスより

 

先週の休日の時の話。

 

久しぶりに平日が休みだったので、

以前から気になっていた、とある場所へ。

 

コロナが流行して以降、

街の中心街に行くのを避けていたので、

ドキドキしながら、10時台の電車に乗り込んだ。

 

今回向かった場所は、

福岡天神にある『ユナイテッドラボ』という所。

 

そして、

その目的地で開催されていたのが、

ずっと行きたかった、ある人の個展。

 

それが、

 

『BANKSY バンクシー展』

 〜天才か反逆者か〜

 

あなたも一度は耳にしたことがあると思います。

 

知らない方のために、

簡単に解説すると。

 

バンクシーは、イギリスを拠点に活動し、

世界でもっとも注目を集めているアーティストの1人なんです。

 

なぜ世界が注目するのかと言うと、

 

「政治」「戦争」「消費」など、

 

さまざまな社会問題に根ざした作品が、

風刺的でダークユーモアに溢れており、

批評的な作品として評価されているからなのですね。

 

さらに、

注目を集めている理由がもう一つあるんです。

 

それは、

作品自体が『神出鬼没』であるという点。

 

世界中のストリート、 壁、 橋などを舞台に、

 

いつ、どのタイミングで、どうやってそこに作品を描いたの〜?

 

と世界が驚くほど、

 

制作風景や姿を周りに気づかれることなく、

作品を完成させることでも有名な謎多き芸術家なんです。

 

素性の明かされていないアーティストというミステリアスな部分と、

社会問題に対するメッセージ性に溢れ、インパクトに富んだ作品が、

私の知的好奇心を刺激しまくりの1日でした。

 

このように、

さまざまな角度から物事を捉えて、

とある問題に対して個性あふれる表現方法で、

疑問を投げかけるアーティストは、

私たち治療家と共通する部分があると思うんですね。

 

芸術家と治療家の共通点

 

その共通点とは、

 

『さまざまな角度から問題の本質を捉えて、

 自分なりに答えを出していくこと』

 

治療をしていると、

ひとつの現象や物事に対して、

 

『こうすれば治る!』とか

 

『この方法で治療すれば治る!』などのように、

 

症状の原因を決めつけてしまい、

先入観で治療している方も多い気がしています。

 

しかも、

偏った見方になってしまっていることに気づいていない、

無意識にやってるからこそタチが悪い。

 

私もそうでした(苦笑)

 

勉強をして、いろんな知識が増えると

『分かったような気』になるんですよね。

 

セミナーを受講した後は特にそうで、

まるで怖いもの無しの無双状態で治療していたものです。

 

『これで、あの患者さんが治せるぞ〜』と意気揚々。

 

ですが、

その無双状態が解けるのも、あっという間(泣)

 

時間と共にもとの状態に戻っていき、

また同じ視点からの治療を繰り返してしまう。

 

このように、

治療の視点を切り替える事のできない治療家は、

 

同じ治療やアプローチを繰り返すことしか出来なくなり、

いつまでも治療で結果を出せないままでいます。

 

では、どうやってこの状態から抜け出せばいいのか?

 

治療の全体像を把握すること

 

『治療の全体像??』ってなると思いますが、、、

 

全体像を把握することが大事です。

 

全体像は、ナビを使って目的地までのルートをイメージすることと似ています。

 

地図を目の前に開いて、地図全体を見渡すような感じ。

まるで鳥が空中から地上を見渡しているように、

患者さんの位置を把握すること。

 

例えば、『痛みをとる』という目的に対して、

以下のことをまず把握してみよう。

 

・痛みの原因はどこか?

 

・痛みの原因をどうやれば取り除けるか?

(本当にその原因を取り除く必要があるのか?)

 

・取り除くとしたら、どんな手段があるか?

(徒手療法、物理療法、運動療法…他には?)

 

・その手段をどんな順番で組み合わせれば痛みに効果的か?

 (徒手療法が先か?物理療法が先か?…もっと他との組み合わせは?)  

 

・痛みを治療家が解決できないと判断した場合は、どんな対応策があるか?

 (医師に相談すべきか?臨床心理士か?管理栄養士か?…他には?)

 

このように、『痛みをとる』という目的には、

さまざまな観点から問題解決をしなければいけないんですね。

 

そのためには、

まず目的を達成するために必要なことをピックアップして、

解決までの全体像をイメージしておくことが重要なんです。

 

もし、あなたが治療の視点が偏ってしまうと感じているのなら、

一度ご自身の治療の全体像を把握してみては、いかがでしょうか?

 

その上で、自分にない視点を組み合わせて

問題解決までのステップを踏めば、

治療の糸口は見えてくるはずです。

 

多角的な視点を使い分けるには、

まず治療の全体像を把握することから始めてみて下さい。

 

PS

福岡天神で開催されているバンクシー展は、10月31日まで!

あなたの目でバンクシーが天才か反逆者なのか、見極めてみて下さい!

 

個人的な見解は、『両方』です(笑)

 

どのような立場に立つかによって、

両者の側面を持っていると思っています!


この記事を書いた人

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長島 将太

理学療法士。南川整形外科病院(http://minamikawa-hp.com/about/rehabilitation.html )JADMT認定 徒手療法士。プロの選手からインカレ・インターハイ選手など数多くトップアスリートを診てきている。また、オランダ徒手療法ではチーフ講師として本物の医療を伝えるために後進の育成にも余念のない。サーフィンをこよなく愛する2児の父。