blog
スキャモンの発育発達曲線にこだわると怪我が多くなる!
2021.07.30from 杉山 貴規 自宅デスク
東京オリンピック始まってますね〜
始まる前にあれだけ騒がれていましたが、始まってしまうとやはり見入ってしまいますよね。
それにしても、今回のオリンピック低年齢化が進んでいるような感じがします。
日本の最年少は12歳(スケートボード)
その他にも世界中から10代前半の選手が多い。
こういう話になると出てくるのが、幼少期の教育方法や選手の指導方法などを知りたい人が多くいると思う。
その中で、絶対的に出てくるのが
『スキャモンの発育発達曲線』
ヒトは生まれてから成人(20歳)するまでの過程で、身長や臓器が大きく成長していきますが、その成長具合をグラフで示したものがスキャモンの発育曲線です。
スキャモンの発育曲線では、20歳時点での発育を100(%)としたときの成長パターンを
・一般型
・神経型
・生殖型
・リンパ型
の4つに分類
で、ここで注目するのが神経系何ですが、5歳で全体の80%、12歳で100%に達するいう見方なんです。
だから、この時期までに色々な運動をさせることがトップアスリートの近道っていうことを提唱する人が多いんです。
それとゴールデンエイジ
これはこのスキャモンから引用されたものなんですが、
これって本当なのかって思っているんです。
なぜか?
それは、このグラフ20歳を100%と仮定していること
それと、このスキャモンさんがいうには神経系に関して12歳が臨界点とは言っていないこと何です。
そう考えると、この時期を外したからといってオリンピックが絶望というわけではないと思うんですよね。
それで色々調べたんです。
実は以前は自分もこのスキャモンかなり信用していて、かなりこのことを話していたんです。
しかし、調べていくうちにとんでもないことがわかたんです。
それは、
このスキャモンの発育曲線は『The measurement of man』という1930年に発行された書籍の一部で「体の各部分の成長は年齢によって違いがある」という、あくまでも医学の基礎理論をまとめただけ何ですよね。
これが、幼少期のスポーツパフォーマンスとの因果関係に関しては何も結論つけていないんです。
しかも、スポーツ科学の第1人者である早稲田大学スポーツ科学学術院教授の広瀬 統一さんでさえ、
ゴールデンエイジ理論が広く知られる過程で、いくつかの誤解も生じています。
一つは、ゴールデンエイジはあくまでも技術獲得の敏感期であり、臨界期ではないことです。
すなわち、この時期を過ぎると技術が身につかないというわけではないのです。
この解釈を間違えると、指導者や保護者は「この時期しか技術が身につかない」と思い込み、長時間の単一的な技術練習が重要と思い込んでしまうかも知れません。
なので、あまりこの図だけにとらわれないで、楽しんでどんどんスポーツをやればいいと思うし、科学的ことで子供を諦めさしたり、やりたくもない時期にやらせるなんて本当にやめたほうがいいと思う。
それこそ、大人のエゴに子供達が苦しむと思う。
そうは言えど、体を動かすことは子供の怪我の予防やスポーツに対する興味を深めていくんで上手にやっていくことを勧めます。
超〜前置きが長くなりましたが、
以前、知り合いから子供のことについても書いて欲しいとある先生に言われたんで、
今日は子供の怪我について話したいと思います。
足が痛い子供達
ジュニアサッカーの怪我で多いのが骨端線損傷と骨折だ。
本当にこの部類の怪我が多い。
つまり、『骨』関係する怪我が多いこと。
何でこんなに骨に関わる怪我が多いのか?
諸説あるんだけど、まず1つは先ほどのスキャモン曲線を用いて話す人が圧倒的に多い。
簡単にいうと、この時期に外で遊ぶことが減って、神経系が養われたいないがために、変な倒れ方をして骨折になるっていう話。
だから遊んだほうがいいし、それに伴う運動をどんどんした方がいいっていうこと
ま〜ありそうだけど、それをスキャモン曲線と結びつけるのは強引。
だって、さっきも言ったけどスポーツパフォーマンスとスキャモン曲線の因果関係がはっきりした論文は自分が探した限りだと存在しない。
じゃ〜何が問題か?
さっきの話と同じなんだけど、外で遊ばなくなったことは一番の原因
それと、公園の遊具や学校のジャングルジムといった背の高い遊具の使用禁止が挙げられると思うんだよね。
何で遊びと背の高い遊具が関係しているのか?
それは、抵抗力と負荷量の考えで解決できるんだ。
骨を強くするのにはという疑問にほとんどの人が、
「カルシウム」や「日照不足」って考えると思う。
でも、これだけじゃ〜だめ。
実は骨を強くするのには、刺激が必要なんだよね。
どういう刺激かというと
骨に足して鉛直方向の刺激
骨は振動など刺激によって強くなっていく。
例えば、歩きや走りでもそれは可能。
でも、歩きと走りでは骨にかかる刺激は全然違う
歩きでは体重の1.5倍、走りでは3倍にもなる。
これが背の高い遊具から飛び降りたりしたら、もっと足にかかる衝撃は大きい。
つまり何が言いたいか、
普段歩くことだけをやっていた子が、
急に走ったりして、その途中で転んだとしたら、
普段かからない衝撃が、骨にかかるとどうだろうか?
もうわかると思うけど、抵抗力と負荷量の関係から
骨に負担がかかり、骨折や骨端線損傷になっちゃうと思うんだよね。
だから、遊びは大事ってことなんだけど、今の環境下で昔のような負荷がかかった遊びができるかというと難しい。
そこで重要なのが、スポーツの力なんだけど。
指導者が今の教育環境や子供の実情を知らないで練習をすると、
怪我を引き起こす可能性が高いんだ。
しかも、その原因をシューズやインソールに頼って対処しようとするところまである。
ではどうすればいいのか?
コーディネーショントレーニングと抵抗力/負荷量
じゃ〜ジャングルジムに登ってジャンプさせればいいのか?
それも怪我の予防としてはいいかもしれない。
しかし、てっぺんから飛び降りたら大人でも骨折する。
だから、最初は10cmくらいのところからジャンプさせて、徐々高くする。高くても跳び箱5〜6段くらいまでがいいかも、それ以上は怪我の恐れがある。
もちろん飛び降りる場所は柔らかい場所を選ぶ(砂場など)
また、片足ジャンプや両足ジャンプなど
かなり、負担がかかるので頻度は少なく
遊びの中で行うことをお勧めする。
それと、運動学習や怪我の予防に繋がるのがコーディネーショントレーニングだ。
本来であれば、遊びの中で習得されやすいものあるけど、
より科学的に考えられたものなんだよね。
内容は
コーディネーショントレーニングは旧東ドイツがアスリートを育成するために国策として考案したトレーニング方法で。
7つの能力から構成されているんだ。
定位(ものや人等の位置関係を把握する能力)
識別(手や足、道具等を扱う能力)
反応(合図等に対して素早く反応する能力)
変換(状況に応じて適切に対処する能力)
連結(身体を無駄なくスムーズに動かす能力)
リズム(動作のタイミング等をうまく合わせられる能力)
バランス(崩れた体制でもバランスを上手に保てる能力)
これ自分も子供たちによくやっているんだよね。
遊びの要素を入れるから楽しんでやっているんだよね。
で、怪我が減ったかどうかに関してなんだけど、
骨端線損傷や骨折は減ったんだよね。
しかし、まだ少なからずいることも事実。
その原因はシューズの問題なんだ。
小さい頃からスパイクを履いている選手の怪我が多く、トレシューの選手が少ない印象なんだよね。
その理由に関しても、わかっているんだけど、今回は長くなったんでここでは割愛します。
というわけで、今回はジュニア世代に骨端線損傷や骨折がなぜ多いのかを解説しました。
外でどんどん遊んだ方が、骨にどんどん刺激が加わって骨は強くなるし、色々な動作ができるようになってくる。
もしそれができない環境があって、スポーツクラブにそれを求めるのであれば、いきなりきつい練習をやっているところを選ぶのは怪我のリスクが高い。
それは、その子の体がその刺激を耐えられるだけの抵抗力を持っていない。
だからこそ、コーディネーショントレーニングから徐々に各々スポーツに関係する動作トレーニングをやっているところを選んだ方が怪我のリスクは減ります。
骨端線損傷や骨折などしたら、長期離脱して、やめちゃうことあるからね。
最後に、スキャモン曲線にとらわれてその時期に運動しないから怪我をするとか、将来パフォーマンスが上がらないということは今は証明されていなと思うよ。
なかなか外で遊ぶことのできない世代だからこそ、スキャモンのあの曲線にとらわれず、
ぜひ今回紹介した内容を実践してみてください。
PS
それにしてもオリンピックでの日本の活躍は目覚しい。
東京オリンピックに向けて強化をしっかりした成果が出ているってわかる。
次も今回と同じ、それ以上の強化費用を出してくれることを国に期待したい!