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肩の可動域が維持できない理由は?
2022.06.06from 橋本 祐一 @自宅デスクより
この前、食卓に手羽先の煮付けが出たんですよね。
手羽先の唐揚げも好きなんですけど、私はやっぱり煮付けが大好きなんです。
骨つき肉の煮付けって、煮付けることで鳥の旨味が染みて最高に美味しいんです。
って、手羽先の煮付けの魅力をお伝えしたいわけではなかったんだ。笑
理学療法士あるあるだと思うのですが、手羽先やケ◯タッキーのフライドチキンを食べてる途中についつい関節の構造を見てしまいませんか?
・この関節の構成はどうなっているのか?
・軟部組織はどんな風になっているのか?
・筋肉の繊維や腱の付着部はどうなってる?
・軟骨の構造はどうなってる?
隅から隅まで見てしまうんです。
他の職種の人が聞いたらあまり共感してくれないんですけど、ついつい見ちゃうんですよね。
あなたも、そんな風に見たことありませんか?
この癖のおかげ?なのか、問診や治療にも生かすことができている気がするんです。
治療をする前に痛みが出ている場合、必ずターゲットを絞る!!
これが私のポリシーです!
って当たり前のことですけど、以前の私はこれができていなかったからなかなか治らない患者さんに悩まされたんですよね。
さて、話は変わって、
最近の出来事なのですが、過去に自分も悩んだことのある相談事を後輩から受けたので今回は、そのお話しをしたいと思います。
肩の治療で悩む後輩
後輩:「相談があるんですけど、、、。」
後輩:「それが、肩関節周囲炎の患者さんで痛みは引いてきてはいるんですけど、可動域があまり上がらなくて、、、。」
これを聞いて、私は炎症期は脱して拘縮期での悩みだと思ってこんなことを後輩に投げかけたんです。
私:「痛みの原因は何があるの?」
後輩:「痛みの原因は、、、。肩の前の方が痛みがあって、外転と結滞動作の時に痛みが出てるんです。」
後輩の返答が『肩の前の方』っていうすごく曖昧な表現だったので、これだと治療するターゲットが絞れていないのでは?と考えたんです。
なので、
私:「じゃあ肩の前の痛みは何の組織が痛みを出しているの?」
後輩は、この質問にハッとリアクションして、
後輩:「、、、。筋肉か靭帯ですかね?」
やっぱり曖昧に捉えていたので、痛みを出している組織を特定していなかったことで可動域の経過があまり良くなかったんです。
そこで、まずは痛みの原因となる組織を絞ること、そして可動域の制限となる組織を絞ることを次回のリハビリで実践してみるように促したんです。
それからしばらくして、
その後輩から悩んでいた患者さんのことがどうなったのかの経過を訪ねたんです。
後輩:「あれからアドバイス通り組織を絞ってリハビリしたら、かなり痛みが引いて生活上では痛みも少なく過ごせているみたいなんです。」
後輩:「だから、さらに可動域を増やしたくて介入しているんですけど、、、。」
後輩:「リハビリ後は動きは良くなるんです。でも、次のリハビリに来た時には戻っていて、、、。そこがなかなか良くならないんです。」
痛みは減って良くなっているとのことで、そこは安心したのですが、もう少し可動域を増やせば良くなるはず!!という感じ。
患者さんも、もう少し肩が上がるかもと期待を寄せてリハビリに通っている様子らしいんですけど、後輩はその期待に焦りを感じてる気がしたんです。
ただ可動域を獲得するという治療内容は絶対ダメ
以前の私も同じことで悩んだことがあったんですよね。
患者さんへ治療の成果として、
「この前より〇〇度になりましたね。可動域が広がって良かったですね。」
って言っていたんです。
肩の屈曲・外転の最終域まで行けば良くなるはず。と思い込んで、それだけのために治療していた時期があったんですよね。
今思えば、恥ずかしい治療を私もしていたんです。
でも、考えてみてください。
そもそも、『なぜ可動域を増やしたいのか?増やすことでどうなるのか?』
それを後輩にも問うとやっぱり答えが返ってこなかったんですよね。
リハビリの中ではすごく動かしていてカフトレーニングなども行なっているけれど、患者さんが日頃から動かす範囲をキープしているかどうかわからないし、むしろリハビリだけに満足して家ではあまり動かしたりしていないかもしれません。
意外とそういう患者さんは多い気がするんですよね。
これだと、リハビリの短い時間の中でできることが限られていて良くなるものも良くならないジレンマに陥ってしまいます。
じゃあ、可動域を獲得するだけでなく何を目標にするのか?
それは、しっかりと患者さんへの情報収集として、可動域を獲得するためのさらに先にある目標を聞き出すこと。もしくは目標を立てることが大事なんです。
例えば、「藤の花を手入れしたい。」という患者さんの目標があるとします。
藤の花って知っていますよね?
蝶のような形の花を垂れ下がって、幹の方から先端に向かって咲くあの花です。
しかも、藤の花の剪定って結構大変らしくて、剪定時期は夏と秋の2シーズン行われるらしいんです。
藤の花のつるはその時期にどんどん伸びて、剪定せずそのままにしておくと葉が茂って、幹に日が当たらなくなってしまい、花が咲かなくなってしまうんです。
そして、藤の花が咲いて見れる有名な場所って頭上にありますが、それを手入れしたいとなると肩を屈曲最大可動域に動かせないとできないんですよね。
こういう目標があると肩の可動域を獲得する理由ができます。
でも、動かせればいいわけではないはずです。
その角度を保ったまま、剪定バサミを使うなど手先の動きまであるんです。
なおかつ、その動作を繰り返すんです。
・どのくらいの時間やるのか?
・どのくらいの範囲をするのか?
・どのくらいの量をこなすのか?
なども把握していく必要もあります。
さらには、
・そのハサミはどのくらいの重さなのか?
・剪定した後、葉をまとめて捨てるのにどのくらいの重さなのか?
などなど、、、。
まだまだ考えることはたくさんありますし、クリアしなければならないことがたくさん出てきます。
これを明確にすることで、治療プログラムが立てられると思いますし、患者さん自身もその目標があるので自主トレーニングや自ら積極的に動かすことなどを継続して行うと思うんです。
本当に達成したいゴールを患者さんと共有すること!これが大事だと思うんですよね。
こんなことを後輩に話しながら、患者さんに照らし合わせてもらって後輩自身に考えてもらったんです。
そうすると自信をもって治療することができると思うんです。
「あなたのおかげで色々なことができるようになった!!ありがとう!!」
そんなことを言ってもらえるようなセラピストに後輩もなってもらいたいので、これからも色々なことを伝えていきたいと思っています。
でも、ウザがられない程度にしていかないとなぁ。焦
これを読んでいるあなたも同じように悩んでいるのなら患者さんにとっての最高のゴールを見つけて治療に取り組んでみてください。
P.S.
外食でもたまにしてしまう関節を見る癖。
奥さんに注意されてしまうのもしばしば。笑
でも、さすがに関節の構造を毎回見るわけではないですよ。
私も空腹に負けてすぐにパクパクと食べるときもしばしば。笑