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怖かった反復性肩関節脱臼
2019.02.14from杉山貴規 広尾オフィス
パパ杉山「帰ろっか」
息子「うん、そうしよう!家に帰ったら、遊んでいい?」
パパ杉山「もちろん!宿題をやってからな」
息子「え〜〜〜〜〜」
時々息子を迎えに行った帰りでのたわいもない会話です。
帰りは大体、5時過ぎ
日が沈むのが早く、この時間もかなり暗く、車通りも多いので
帰りは子供の手をしっかり握って帰っている。
手をぶらぶらさせて、歌いながら変えることが多いんだけど、
自分が調子に乗って、かなりの勢いで手を振るものだから、時々子供が
肩が痛いっ!!ってなことになることがしばしば、
だから、そのあとは本当に優しく手を振って帰るんだ。
振っちゃってる(笑)
そういえば、先日松坂大輔選手が、ファンに手を引っ張られたかなんかで、肩に違和感を覚えて、別調整になってしまったニュースがありましたよね。
うちの子供と松坂大輔選手を比べることは本当に間違ってはいるんですが、、、笑
思いもよらない、外力には肩は本当に弱いんだなってつくづく思いました。
自分の時代でいうと、当時オリックスに所属していた門田選手ホームランを打って、ベンチ近くでブーマー選手がハイタッチした時に、門田選手の肩が脱臼したなんてエピソードがあるくらいですからね。(古っ!!)
興味がある人はググってみてください。
等にもこうにも、日常生活やファンとの交流やプロ選手とプロ選手のなにげないアクションで深刻な事態を引き越しているんだけど。
これって本当に怖いできことですよね。
パニくった、脱臼のリハビリ
実は自分も理学療法士になって、3ヶ月目にかなり怖い経験をしたので紹介しますね。
肩の脱臼で入院した患者さんで、脱臼癖になっていたから、手術適応になったんですよ。
それで、自分が担当になって、先輩からプロトコール通りにやればなんともないからって言われて、A4一枚の紙を渡されたんです。
・術後〜 痛みのない範囲で少しずつ筋力トレーニングと可動域訓練
・3週間後〜 肩関節のストレッチ
・・・
それでも、初めてのリハビリだったんで、反復性肩脱臼の症状や手術後の経過、手術方法やリハビリ方法を事細かに調べてたんです。
調べてから、リハビリに臨んだんです。
ドクターからは3週間は動かさなくていいから痛みの管理やむくみの管理をしっかりしといてねなんて言われたんです。
でも、プロトコールにはそのようなことは書いていなかったんです。痛みのない範囲で少しずつ動かしてもいい。
そのような文言が書いてあったんです。
そのほかの文献には、術後5週間は保存にして、5週間後に動かすようにみたいなことが書いてあったんです。
新人の時だったんで、ドクターが正しいのか、先輩から受け取ったプロトコールが正しいのか、自分で調べた文献が正しいのか?
もうパニックになったんです。
それで、もう一度先輩に聞いたら、いや、プロトコールで痛みを見ながらでいいよって言われて、そこで踏ん切りがついて初日から徐々に動かしながら、リハビリを進めていったんです。
それから3週間後、回診(ドクターが病棟を回って、患者さんの状態を聞くこと)があって、その患者さんの情報と状態を聞いてきたんです。
新人杉山「痛みのない範囲で徐々に動かして、今〇〇角度まで行くようになりました!!」
ドクター「・・・」
ドクター「ちょっと、待って」
ドクター「今日から動かす、予定になってたけどなんで、もうそんな角度まで行ってるの?」
もう、少し怒りが混じったトーンでやばいってなって
ドクター「!!!!!!!!!」
回診の後かなり、怒られました。
結局、その方の肩の状態はなんともなく、無事に退院して、日常生活も何も不自由なく送ってる。
なんで怒られたか?
ドクターの話を聞くとこうだった(もうわかっている人は聞かなくていいですよ)
・反復性脱臼だったから、ある程度の不動期間を有して、固定させることが目的
・脱臼のプロトコールは様々な固定期間もあるが、時と場合によっては数週間、数ヶ月置くこともある
・動かすときにも脱臼動作や無理な力を入れた動作は避けたい
とにかく、今後脱臼しないために最善の術後の経過をたどりたかったって言ったんだ。
結局プロトコールは基準でしかないってことにその時気付かされたんだ。
本当に大切なもの
それから、肩関節の脱臼の患者さんが来ると以下のことを患者さんとドクターに聞くようにしている。
<患者さん>
脱臼を何回したのか?
どこが痛いのか?
どこのように受傷したのか?
復帰先はどこが目標か?…
<ドクター>
保存期間をどのくらいにするのか?
何日目からこの動作を入れていっていいのか?
負荷はいつからどのくらいの量をかけていっていいのか?
患者さんの目標としている負荷をいつかけていいのか?…
などなど
他にも本当に多岐に渡る、内容をドクターや患者さんと話しながら、
自分なりのスケジュールを作るようにしていったんだ。
すると、どうだろうか?
スケジュール内での目標達成の前後はあるものの、その人の目標には到達し、その後の怪我もないような肩に仕上げることができるようになったんだ。
もし、患者さんやドクターとのコミュニケーションや問診がなければ、目標の達成には至らなかったし、たとえ退院したとしても、なんらかの拍子で再び再脱臼することになったかもしれない。
だから、肩の固定期間も重要だし、闇雲に可動域の確保を優先してもダメな理由がわかる。もし、肩の組織損傷の経過や肩の緩みが出た時は自分はドクターと相談して、少し延長した経緯もある。
重要なのは、肩の可動域の角度や筋力の強化ではなく、その患者さんの最高の目標に向かって何が最善方法なのかを探り、実行することが重要なんです。
今回、松坂選手や門田選手のことを引き合いに肩関節脱臼について書いてみたけど、もしかしたら、その動作に関しての組織が脆弱になっているのか?筋力自体の問題なのか?その動作に慣れていなかったせいなのか?ということが今回の問題になったかもしれない。
ってことは、選手はハイタッチやファンに引っ張られることの想定をしたトレーニングをする必要が今後出てくるかもしれない。
ファンサービスで今後ファンとのふれあいが近いチームには重要事項かもしれません。
早く、松坂選手には元気な姿で復帰してもらいたいです。(元西武ファンなんで)
PS
息子との帰り道、最近は手を繋がらなくなった。
握るとすぐに離す傾向がある(もう恥ずかしいのか?それとも嫌われてる??)
どっちにしても、成長は止まらない!