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鎮痛薬の使い道には要注意を!
2019.08.23from 黒田雄太 自宅デスクより
夏真っ盛り。外は日中35℃を超えるので、うかつに外出もできません。
娘と過ごす休日も日中の外遊びはちょっとお休み中。
娘のことを思ってと言いつつも僕自身も熱中症で倒れちゃいそうなんで(汗)
夕方になると少し涼しくなるので、娘を遊ばせに公園に行ったり、外出したりします。
確実に昔より暑くなってますよね!
そんな暑い夏の風物詩といえば、色々ありますが何を思いつきますか?
ふと僕が思いついたのはあまり好きではないんですが、「怪談話」
「やだなぁ〜、怖いなぁ〜」
なんてある人の決め台詞をよく聞くのもこの時期ですね(笑)
僕はホラーなんか怖い系のやつは全くダメなんで、ほとんどテレビで見たことはなかったですが(汗)
暑い夏に怖い話を聞いて、「冷や汗」を書いてちょっと涼しくなる?
その発想分からなくもないですが、よくよく考えるとちょっとおかしいですよね?(苦笑)
「冷や汗」といえば、臨床でもそんな経験をすることがときーどきありますよね?
時々しかない出来事だから「冷や汗」をかいてしまうんですが(笑)
今回は僕の知人から聞いた「冷や汗」もののある話をあなたとシェアしようと思います。
さて、臨床怪談話のはじまりはじまり〜(苦笑)
転倒!!!でも痛くないの?
ある介護施設に勤めている知人から聞いた話です。
介護施設にいるような患者さんや利用者は寝たきりから車椅子レベルの方、歩行可能なレベルと身体状態の幅がかなり大きいです。
しかし、身体状態については幅が大きいんですが、ある共通する疾患を持っていることが多いんです。
それは「認知症」。
高齢者の多い病院にお勤めのセラピストはわかると思うんですけど、認知症があると不穏状態になって職員が見ていないところで動き回ったりする訳なんです。
もともとしっかり歩ける人であれば良いのですが、車椅子レベルの方でもベッド上で動き回ったり、ベッドから降りようとしたりで転倒や転落のリスクがかなり高いんです。
そうならないように最後の手段的な感じではあるんですが(苦笑)、
「向精神薬」を投与することがあるんです。
統合失調症の患者さんに処方するような薬です。
すると、ビックリするぐらいに落ち着くんです。逆に効きすぎると傾眠するぐらい(汗)
前置きが長くなりましたが、ある時高齢の認知症の方が車椅子から滑り落ちてしまったらしいのです。
滑り落ちたのがきっかけでその方が興奮状態になったので、「向精神薬」を投与しました。
その後は落ち着きを取り戻したようです。
翌日僕の知人がその方の状態確認を行なったらしいのですが、特に炎症所見もなく、足や腰を動かしても多少痛いぐらいで酷い痛みではない。
さほど酷くなさそうだなぁと思ったらしいのですが、念のために整形外科を受診したとのことです。
すると…
診断名:大腿骨転子部骨折
手術適応のため、すぐに大学病院を紹介されたそうです。
その知人は酷い痛みではなかったのに、こんなに大きな骨折だったことにとても驚いたそうなんです。
この話を聞いて僕はこんな事を思いました。
この話から得られた教訓
おそらく、この利用者は「向精神薬」を服用していたので痛みに対しての感度が鈍っていたんだと思います。
なので、本来は動かすと悲鳴をあげるぐらいの骨折が起こっていたにも関わらず、酷い痛みを訴えなかった。
なので、知人は「それほど酷くないのかなぁ?」と間違って判断しそうになったんだと思います。
危うく骨折を見逃すところだったので、僕の知人は「冷や汗」をかいたそうです。
今回は「向精神薬」の影響でしたが、「アイシング」や「痛み止め」も同様です。
一部の疾患では痛み止めを服用して痛みが軽くなったところで運動を行うのは改善に効果があると言われているものもありますが、基本的にそれは「組織損傷がない場合」の話。
今回のように骨折などの組織損傷がある場合には「痛み」という体の正常な反応を消してしまう恐れがあるんです。
そう考えると痛みを闇雲に「アイシング」や「痛み止め」で分からないようにするのはかなり『リスク』が高いですよね。
、、、
「アイシング」や「痛み止め」は結構安易に処方されたり、実施されることが多いと思います。
ですが、「痛みがあるから」とか、「炎症があるから」などという単純な判断ではなく、しっかりと問診を行い情報収集をした上で使用や実施を決めなければなりません。
やはりここでも『問診』が重要であることがわかります!
治療家は今一度『問診の重要性』を見直すことが必要とされているのかもしれませんね。
【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように
P.S
僕が暑さを冷ます時に行うのはクーラーをガンガンに効かせること!まぁ当たり前か!(笑)。クーラーがないと生きていけません(汗)