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診断名を疑う勇気
2018.12.27from 杉山貴規 広尾オフィス
こんなところで、展覧会??
先日、お休みをいただいて、あるイベントに行ってきました。
イベントといっても、ノリノリのやつじゃなくて、真逆なやつ
目黒の雅叙園の企画
『百段階段展』
寺院?庭園?、、、
ホテル雅叙園の90周年記念の企画なんだよね。
昭和の終わりまで使われていた料亭、結婚式場として使われていた。
今ではその素晴らしい、施設で展覧会をやっている。
ホテル雅叙園のロビーを入りすぐ、右に入ると高さ3m横幅2mの大きなエレベーターがある。それだけでも少し興奮する。
それに乗りホテルのロビーから一階へ降りていく、そこが今回のイベント会場
鉄筋コンクリートの近代的な作りから一転、木造作りの階段が、、、
見上げても先は見えない。
二十段ずつ上がるたびに色々な5部屋があり、そこが今回公開されているんだ。
中はこんな感じ
こんなものが、東京のど真ん中に近代的な作りの中にあるんだから驚き。
平日にもかかわらず多くの人が来ているんだけど。
来ている年齢層は明らかに自分よりも20、30歳以上の方々、中には杖をつきながら、友達や親戚に脇を抱えらえれて、百段の階段を登っていく。
自分はスタスタ上がっていくんだけど、階が上がるたびに
「ハアハア」「結構疲れるわねぇ〜」
と展覧会や美術館では聞かない言葉が聞こえてくる。
階段を上がるのにルールがあって右側通行なんだよね。
電車の階段にある矢印マークみたいのがあって。
なんだけど、みんなそれを守っていない。。。
なんでかな〜って
ちょっと遠目で見ると杖を使っている人やどこかがわるい人が上がりやすい、降りやすい側の手すりを使っているんだよね。
中には手すりを使っているんだけど、何か上がりにくい人もいる。
手にはバンドがしてあって、手に怪我をしているみたい。
。。。
住宅改修じゃないけど、バリアフリーにはできなかなぁ〜
俺だったら、この手すりを少し太くしたり、溝のある感じにしたり、途中に突っ張り棒的なものの手すりを入れればいいのに。。。
でも、そこは東京都の有形文化財。
やたらめったら改修ができないだろうね。
さて、自分の話はさておき、手の話題が少し出たんで今日はTFCCの話をするね。
TFCCって??
先日、サッカーの試合で手を怪我したキーパーの子が来たんだよね。
練習中にシュートを手に受けて、受傷。
- こんな症状
- 手首を反ると痛い
- 左母指を伸展すると痛い
- ボールを弾いたり、キャッチの時に痛い
- ドアノブをひねると小指側の付け根が痛い
上記動作をすると痛みが強く、徐々に痛みは減弱して消失する
急性期だったから、とりあえず病院に受診してもらうことにしたんだ。
おそらく、靭帯損傷、酷くて手首の骨折(ヒビ)
ま〜でも、腫れはひどくなかったし、骨折の可能性は少ないと思ったんだよね。
受診すると、靭帯損傷。
全治2週間
TFCCと診断が出たんだ。
でも、親指側にも出ている。。。
TFCCは小指側、親指側や手首全体に痛みが出ている。
ドケルバン病も考えられる。
どれなんだろう??
って考えることありませんか?
これよくありますよね。
診断は医者がつけます。でも、現場で考えたり、ドクターがいない治療院なんかは自分で診断しないといけない。
ここで重要なのは診断名を確定するのではなくて、どこの組織が痛くなっているのかなんですよね。
診断名は重要か?
診断名が出るとそれにかなり囚われてしまって、他の可能性を狭めることがある。また、リスク管理がその疾患特有のものを探るだけになる。
でも、自分でどこの組織、その部位が損傷しているかをしっかりと把握することで、自分なりのリスク管理ができる。
それに、プログラムやアプローチも変わってくる。
何が変わる?
治療する期間すなわちどこまで安静にさせたり、どこで時期に復帰させるかが明確になるんだよね。
だから、再受傷や早期に復帰させることがなくなるんだよね。
だから、診断名はさほど気にしない。
こんなこと言うとドクターに怒られちゃいますが。。。(すんません)
復帰させるのに大事なこと
話に戻って、
でも、靭帯なのか?骨なのか?筋肉なのか?他の組織なのか?
これが重要。
この場合。レントゲンとMRIで骨と筋肉の可能性はない。
そのほかにもスペシャルテストや様々な評価と問診から
靭帯損傷と判断したんだ
だから靭帯に対しての
- プログラムの立案
- 治療アプローチ
- トレーニングアプローチ
を試みるようにしたんだ。
あとその他の情報として
以前には左側の親・小指の重度の突き指をしている。
この既往歴とても大事。
なぜなら、すでに骨折は治っているが、この神経支配の循環はあまり良くない可能性が高い。
だから、頸部も見る必要があるって考えたんだ。
この理由は今度話すけど、簡単に言うと上肢の神経支配は頸部だから。
そこに末梢神経と栄養血管が流れているからね。
この細かい説明は、今度するね。
早期に、再発をしないように治すならこの神経支配の理論は超重要!!
でねドクターの情報と自分の見立て
3〜4週間ほどで復帰としたんだよね。
ドクターの全治2週間は無視??
いやいや無視はしてないですよ。
靭帯の治癒は軽いもので1〜2週間はあってると思うけど、
試合復帰や再受傷をしないと言うことを考えるなら上記に期間にしたんだ。
患部のトレーニングがいるからね。
患部のトレーニングって何かというとこの子が痛いのはシュートを受けた時の痛みだからね。
実際、高校年代のシュートの速度を調べると平均70~80km/hらしい。ただ、対戦相手によってはこれよりも強いシュートを打つ子がいるし、受ける距離によっても違うから、最終的には実際にシュートを打ってもらって痛みが出なければ復帰とするんだけど。
ここでの条件
- 10〜15本のシュートを受けて痛みが出ない(だいたい一試合10〜25本)
- →近距離、長距離、
- スローイン
- キャッチング
- 倒れてから立ち上がる時に手を使って痛みが出ない(20〜30回)
などなど。。。
実際はこれよりももっと細かい条件を出したんだ。
自分が行ったのは以下のこと
- 痛みが出ているところの治療
- 手の栄養や酸素を供給しているところのケア(頸部)
- 手首に負荷をあえてかけて、復帰するためのトレーニング(キーパー動作)
大きく分けてこの3つをしっかり行なっていたんだ。
するとどうだろう。
徐々に痛みは減少し、それに負荷を用いいたトレーニングを実施。
3週間という見立ては過ぎたけど、4週後に復帰をしたんだ。
現在では痛みは消失して元気に活動している。
治療には3つ考えることがあって、患部の治療と自然治癒を促すためのケアと弱くなった患部の抵抗力を上げるためのトレーニング
この3者がうまくいったときに、はじめて再発せず、高パフォーマンスを獲得して復帰できるって最近感じる。
もし、機会があったらやってみてください。
スポーツだけじゃなくて、他にも通じるところはあるから。。
PS
百段階段の話だけど、
本当に百段あるか真剣に数えながら上がってたんだ。
でね。実際あったんだけど。
階段の側面に数字が二十段ごとに書いてあったんだ。
本当俺って視野狭い(笑)。。。