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肩の可動域が向上しないのは『鬱』が原因
2021.01.08from 杉山貴規 都内カフェ
今日は成人の日
新成人の皆様おめでとうございます。
新型コロナの影響で成人式も様々な制約がなされていますよね。
そんな中、今年のスポーツ界もどうなっていくのか?
オリンピックも開催予定です。
しかし、本当に開催できるの懐疑的な部分も多くあります。
さて、そのスポーツに関わる面白い文献があったので紹介します。
以前も紹介した長期オフ明けの怪我のリスクという話があったと思います。
長期に休み、運動不足や競技から離れたことで、怪我やすいという話です。
実際、世界の様々なところで新型コロナ明けでの怪我が目立ちましたよね。
それを今回、血液データから読み取って警鐘を鳴らしている話なんです。
実は順天堂大学スポーツ医学・再生医療講座齋田良知特任教授(いわきFCチームドクター)がビタミンD不足が怪我のリスクを高めていた可能性があるっていうんだよね。
なんで、ビタミンD不足がそんな結果を招いたのか?
それは、自粛期間中に屋外に出ていないことが原因だというんだ。
ご存知だとは思うんですが、ビタミンDというのは日光を浴びることで生成されるんだよね。
実は、2018年の冬で平均29.7(ng/mL)2019年の春では春には36.0に増加していた。しかし、2020年シーズンは冬が23.8、緊急事態宣言後の2020年5月では21.8と減少していたというんだ。
これを見て、それはそうだろうって思うと思うんです。
だって、日光を浴びてないから。。。
でも、この日光を浴びないことでどんなことが起こるのか?
それは骨折の危険性があることはほとんどの人が知っていると思うんです。
さらに、衝撃だったのが、肉離れになる確率も高くなるっていうんです。
それを裏付けるデータとして、
一般に、25-OHD値が30(ng/mL)より低値であると骨折や肉離れといったケガの発生リスクが高まるといわれている。
これは、すごいですよね。
つまり、ただ単に長期オフだから、体に耐性ができていないからという曖昧なことではなく、血液データを見ることで、この選手は怪我のリスクにあるのかどうかがわかるんですから。
今後、さらなる感染が多くなりそうな情勢になってくると、運動をやっている人もそうでない人も、屋外での活動を取り入れながら自宅待機をしたほうがいいってことなんですよね。
怪我のリスクを避けるためにも。
さて、そんな日照不足が怪我のリスクを招くという話なんですが、
今回は、その日照不足と絡んだ、上腕骨骨折で屋外歩行が重要性だという話をしたいと思います。
上腕骨骨折は可動域と筋力が重要?
以前こんな患者さんを受け持ったことがあるんです。
それは、上腕骨骨折の患者さん。
自宅で転倒して、上腕骨を骨折したんだよね。
それで、病院に入院したんだ。なんで上腕骨の骨折で手術もしないで入院したのか?
それは、うつ病と軽度の認知症があって、家族が見れないっていうことなんだ。
そう、実はこの患者さんこの骨折が初めてではないんだよね。
これで2度目で今回で両側の上腕骨を折っていたんだ。
それで、家族と病院側で話し合って、入院になったんだ。
上腕骨を折ると上肢の機能はかなり落ちてくるんだよね。
だから、リハビリとしては骨癒合を見ながら、徐々に日常生活が向上するために上肢の機能を上げることを目標にやると思うんです。
さらに、今回は転倒で起こったことだから、歩行状態も見る必要性がありますよね。
だって、転倒しない歩行を獲得すれば、上腕骨は折れないから。。。
そこで、骨が癒合するまでは歩行の安定に特化してリハビリを主に行うことにしたんです。
いざ、歩行の状態を見ようと患者さんに歩いてくださいって言ったら、
誰が見ても安定している状態だったんです。
家族にも確認とって、こんな感じの歩行かどうか確認したら、いつもと変わりないっていうんだ。
時々ボーとしてそこから歩く数歩目でよろけることが多いっていうんです。
その場面を見たが、そんな都合よくボーとしてくれるわけもないんで、、、
転倒する様々な場面を想定して、上下左右ランジ、スクワットや体幹機能の向上させる運動をどんどんしたんです。
しかし、それがこの人にあっているかどうかはそのボーとする瞬間が見れない限り難しい。
で、どうしたのか?
それは、自分以外の人と話してもらい、不意に自分が声をかけて振り返ってもらいそこで体が対応できるようなリハビリをしたんです。
最初のうちは不安定だったのが、徐々に良くなっていたんです。
それをやり続け2週間後に上肢のリハビリの許可が出たんです。
肩がかなり固い
上肢のリハビリで最大の難関だったのが、肩の固さだったんです。
肩の可動域がかなり固く、自力であげても肩の屈曲90度。
日常生活で90度というのはかなり、悪い成績。
洗濯物を干したり、食器を片付けるということが難しい。自宅の家具は自分の頭より高いところにあるものが多い。
環境を変えることも念頭に入れたが、本人家族がそのことをかなり拒むんだよね。
だから、最悪でも120度以上までにはしないといけないんだ。
それで、可動域を上げるために何が原因かをみていったんだ。
すると、肩関節周囲の軟部組織がかなり固くなっていて、各軟部組織の癒着がわかったんだよね。
そこで、癒着を剥がすために、リリースやモビライゼーションを実施したんだ。
施術すると癒着が取れてすぐに120度までいったんだ。
これは、楽勝!
これなら、すぐにでも最大可動域までいけるって思ったんだ。
しかし、そんなに甘くはなかったんだ。
次の日には、状態はリハビリをやって前と同じ状態。。。
なんで、前の状態に???
そんな状態が数日続いた時にあることに気がついたんだ。
それは、『うつ病』と『部屋は常に暗い状態』
多くの患者さんは、部屋を明るくしてテレビを見たり、それに飽きたら少し屋外に出るために病院の許可をもらって外に出ることがある。
この患者さんも、すぐに転倒するとは言っても、家族との同伴であれば屋外に出ることの許可は出ていたんだよね。
しかし、全くと言っていいほど、それを拒否していたんだよね。
これだ!
自律神経系と日照不足の関係
『うつ病』があることで、自律神経系には悪影響が出ることが多い。
そうなってくると、様々な組織にいい栄養がいかないことが多いから、肩周りの組織はかなり固くなる可能性が高いって考えたんだ。それは骨も同様のこと。
そこで考えたのが、自律神経系にアプローチすること。
上肢の自律神経系の支配領域は頚椎から上位胸椎にかけてマニュピレーションを行えばいける。
ここをやればどうにかなるって考えたんだ。
しかし、原因はうつ病なんだよね。
いくら、脊柱にアプローチしてもこれが大元の原因じゃないんだ。
原因は、『うつ病』
ここに対してアプローチしながら、上記で説明したアプローチをする必要性があったんだよね。
じゃ〜何をすればいいのか?
それは『運動』と『日照不足の解消』→『屋外歩行』
先のストーリーにも書いたんですが、日照不足がビタミンDの生成を促すという話をしたと思うんですが、
うつ病には日照不足と運動不足が原因っていうことが研究でなされているんです。
それはセロトニン
日照時間が短くなると体内のセロトニンが少なくなり、精神の不安定や自律神経のアンバランス、体内時計が狂ってくるなどが起きる。
また、運動をすることでセロトニンが体内で生成されるということもわかっています。
つまり、うつ病を予防することにおいては陽の光に浴びたり、運動することはとても重要なんです。
そこで、毎回リハビリと違う枠で屋外歩行を行うことにしたんです。
最初はイヤイヤだったんです。
暗い部屋を明るくしないくらいの方だったんです。
しかし、徐々に屋外歩行の時間を増やしていくと、部屋のカーテンを開けたり、私との会話も増えたり、笑顔が増えていったんです。
ついには家族と屋外に行くこともなされてきたんです。
それに伴って、肩周囲の軟部組織が柔らかくなってきて、リハビリ後の戻りの割合が減ってきたんです。
ついには、肩の可動域が120度以上になって、生活機能がかなり向上したんです。
つまり、上腕骨骨折の原因は確かに転倒だったのかもしれない、肩の可動域の問題は軟部組織が問題かもしれない、自律神経系の問題かもしれない、、、
しかし、元をたどれば『うつ病』が問題だったんです。
それを改善するすべは、理学療法や柔道整復の養成校では習いません。だから、諦めるのではく、そういった知識をいかに自分に取り込む努力が必要なんです。
日々、いろいろなところにアンテナを張って、知識を得ていくと、どこかで繋がってリハビリで成果を出すことができるんですよね。
PS
自分も去年は在宅ワークが多かったので、今年は無理にでも外に出て運動をしようと思います。
今年は10kg減を目標に!