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痺れ患者の治療を断ったワケ | 日本オランダ徒手療法協会

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痺れ患者の治療を断ったワケ

2019.05.17

from 黒田雄太  自宅デスクより

 

令和になって初のメルマガを書いている黒田です(笑)

 

10連休のGWももうすでに早いもので折り返し地点です。(5/3に書いています!)

 

あいにく僕は飛び飛びで休みはあるものの、10連休とはならなかったですね(苦笑)

 

でも、10日も休んじゃうと、休み明けは仕事には行きたくないだろうし、それに生活パターンが変わってしまうので体調とか崩しそうで怖いですね(汗)

 

なので、ある意味良かったなぁと思います!最近は休みがあっても2日あれば十分かなぁなんて思います。

 

このメルマガを読んでいるのは病院勤務の理学療法士もいると思いますけど、開業されている柔道整復師や鍼灸師の方もいらっしゃると思います。

 

そんな柔道整復師の方もいつもは祝日は整骨院を休みにしているところをこの10連休は結構営業しているところも多いみたいですね。

 

だって、10日も休みにしちゃうと1ヶ月の1/3は休みになっちゃいますもんね(苦笑)

 

僕の知り合いの柔道整復師の方もこの10連休中もほぼ通常営業らしいです。

 

自営業は大変だなぁとしみじみ実感しましたね。

 

そういえばその知り合いの柔道整復師さんからある患者さんについてこんな事を聞いたんです。

 

腰痛を治療する上でとても大事なことだと思ったので、あなたともシェアしたいと思います。

 

痺れが進行してしまったある患者

 

40代男性配送業で前々から左下肢の外側に痺れがあったそうなんです。

 

下肢の外側なので神経支配的にはL5やS1領域ですね。

 

痺れがある場合には結構坐骨神経痛が疑われますが、そもそも坐骨神経は下肢の後面を走行するので、ちょっと外側の痺れは違うんですよね。

 

なので僕は関連痛?と疑っていました。

 

もし関連痛だとしたら、L5もしくは仙腸関節かなぁと予想していたんです。

最終的には検証作業として、関節の動きや硬さをチェックしたり、動きを診たりということをして確認していきます。

 

もし、自分が治療するならこんなことをしようかなぁなんて想像しながらその話を聞いていたんです。

 

ただ、話はこれで終わりではなかったんです。

 

仕事が忙しく長く来院していなかったその患者さん

 

ある日久しぶりに来たときにこんなことを言われたそうです。

 

「痺れがひどくなってきてね。両方とも痺れるようになったんだ…。」

 

以前までは外側だったのが、最近は後ろ側が痺れるようになってきたらしいのです。しかも両側とも。

 

この患者さんMRIを撮ってたのですが、L4/5にヘルニアがあったらしいのです。なので、その柔整さんはヘルニアか坐骨神経系の問題だと思ったみたいなんです。

 

なので、まずはちょっと電気を当てて治療をしようとしたところ…

 

ふとした患者さんの「ある一言」で治療も完全にストップ。さらに血の気が引くような思いになったそうなんです。

 

その患者さんの「ある一言」とは?

 

最近、トイレが間に合わない事があるんだよね…

 

もしかしたら、聞き流してしまうようなこの一言。

 

でも、その柔整さんは聞き逃しませんでした。僕は流石!だと思いました。

 

トイレが間に合わない=尿もれ

 

前までそんなことなかったのに突然起こったようなのです。40代の男性ですよ。ちょっと病的な感じですよね。

 

その柔整さん「膀胱直腸障害」を疑ったんです。

 

両下肢の痺れと膀胱直腸障害、この2つが重なったとき考えなければならないのが、「馬尾症候群」です。

 

腰痛治療でいうとレッドフラッグです。我々運動器を専門にする治療家の治療専門外の疾患。すぐに専門医に紹介しないといけない疾患です。

 

この「馬尾症候群」、怖いのは後遺症が残ってしまう可能性があるということです。

 

急性の場合、48時間以内に手術しなければ「膀胱直腸障害」は後遺症になることがあります。

 

緊急手術の適応です。

 

すぐに治療をストップし病院へ紹介したそうです。

 

その後の患者さんの様子はまだわからないそうです。

 

整骨院ではダイレクトに患者さんが来るため、レッドフラッグの患者さんが来る可能性が大いにあります。

 

これも聞いた話ですが、仙腸関節周囲の痛みできた患者さんが炎症が強いため専門医へ紹介したところ蜂窩織炎だったり、化膿性脊椎炎だったりということもあったそうです。

 

通常我々が治療対象とする疾患の場合は問題となっている組織を詳細に鑑別する必要があります。

 

ですが、このレッドフラッグは違います。レッドフラッグの中でもどのような疾患なのかを我々が鑑別する必要はありません。

 

我々に必要なスキルはレッドフラッグか?そうではないか?それを見分けられるかとういうことです。

 

要するに対象にして良いか?ダメなのか?ということですね。

 

元々腰痛できている患者さんも、他の部位の治療を行なっている患者さんも新たに腰痛や腰に関連する下肢痛が出現した時にはまず「レッドフラッグ」かどうかを頭に入れてしっかりと除外することから始めてみてください。

 

「レッドフラッグ」は簡単な問診で除外することができますし、その問診項目もエビデンス(科学的根拠)が高くかなり信頼できるものです。

 

患者とあなたを守る必須の知識なので、また改めて「レッドフラッグ」を意識してみてくださいね。

 

【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように

 

P.S

仕事があると言いつつもなんだか気分は10連休になっちゃうんですよね。ダラけないように気をつけます(汗)!


この記事を書いた人

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黒田雄太

長崎県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。基礎コース・福岡校アシスタント担当。Nagasaki Orthopaedic & Sports Physical Therapy(NOSPT) 役員。総合病院、整形外科クリニック、デイケア、特別養護老人ホームを経験。 自身の“辛い腰痛”の経験から、「世の中の腰痛で苦しむ方を助けたい」という使命を持つ。 一時的に自覚症状を解消するだけの対処療法ではなく、腰痛の患者様を「施術」から「トレーニング」までトータルにサポートすることを信条としている。一児の父。