blog
前屈型腰痛の原因はこれだった!
2020.01.02from 黒田雄太 @自宅デスクより
最近、メジャーリーガーのダルビッシュ投手の動画をみたんです。
肘の調子が悪そうだなぁとは思っていたんですが、実は約2年ぐらい自律神経失調症のような症状に悩んでいたそうです。
いろんな人や本から得た体に良いことを片っ端から試してみたらしいのですが、全く効果はなく…。
でも一つだけ効果を実感したものがあったそうなんです。
それは「背骨コンディショニング」
詳しく解説するとこれだけでひとつの記事になっちゃうので、やめときますが(苦笑)、要するに背骨の歪みは体の不調を引き起こしてしまう原因になるということ。
特に仙骨の歪みが背骨全体の歪みを誘発するので、仙骨を整えることをすすめていました。
効果は個人差があるので、万人に効くわけではありませんし、そのことをダルビッシュ投手自身も言っています。
ですが、僕がすごいなぁと思ったのは解決する方法を自分自身で探し出したというところ!
さすがトップアスリートで自分の体のことを本当によく理解されている、そう思いました。
なかなかそこまで辿り着くことは難しいですよ!
来年はさらに活躍を祈っています!!
ダルビッシュ投手のことと重なりますが、臨床でも根本的な原因に辿り着くのはなかなか難しいですよね(汗)。
僕も日々試行錯誤です。
今日は臨床で試行錯誤した末にやっとの思いで原因に辿りついたエピソードをお話しようと思います。
ハムストリングスが原因のはずが…
30代の男性で腰痛の患者さんでした。
その方の腰痛の特徴は前屈すると痛いということ。
痛みの部位は左下位腰椎のあたりでした。ちょっと伸ばされるような感覚に加えて痛みがありました。
なので、痛みを出している組織としては筋肉や筋膜などの伸張系の組織ではないかと仮説を立てていたんです。
そして、実際の前屈の動きを確認してみると、
・股関節の動きが悪く屈曲角度が少ない
・それを代償するように、腰椎が過剰に動いている
そんな状態だったんです。
なので、痛みを出している腰部の筋筋膜にアプローチするとさらに過剰に腰部が動いてしまうと判断し、主に股関節にアプローチすることにしたんです。
具体的には大臀筋やハムストリングスをはじめとした股関節後面の筋肉。
リリースを行い、筋同士の滑走をよくした後にストレッチをしました。
一通りのアプローチを行ってもう一度前屈をチェックしてみると、
「ちょっといいけど、まだ痛いです…」
結構自信があった僕はその結果に少し落ち込む(涙)
そう落ち込んではいられないので、別の原因を探します!
すると、僕はある組織の存在を忘れていたことに気づいたんです。
実はこの方の股関節が動かない原因はこの組織にあったんです。
しびれはないけど…犯人は神経だった!
前屈するときに股関節の後面にある大臀筋やハムストリングスも伸張されます。
ですが、後面にあるのはこれらの筋肉だけでなく、坐骨神経もあります。しかも筋肉よりもかなり長い範囲ですよね?
坐骨神経は股関節〜下肢全体の後面を走行しています。
なので、当然前屈するときの制限因子になるんです。
しびれなどの症状がある場合には神経をターゲットにしますが、神経が可動域の制限因子として捉えている治療家は少ないと思います。
でも神経も筋肉や他の組織と同様に毛細血管が分布しており、血流が悪くなると硬くなったり、滑走が悪くなったりするのです。
実際に神経にアプローチするとびっくりするぐらいに前屈の角度が変わりました!股関節がよく動くようになり、腰部への負担も減ったため腰痛も軽減!
神経へのアプローチはいろんなやり方がありますが、この患者さんはまずは坐骨神経が通過している梨状筋のリリースやストレッチを行いました。
その後に実際に神経をストレッチしたり、神経の滑走をよくする神経スライドという手技を使いました。
神経スライドは神経の長さを変えずに神経の両端を交互に動かすことで滑りをよくするやり方です。
とても有効なテクニックですよ!
、、、
前屈の時に股関節が動かない原因はほとんどが筋系の問題だと思います。
ですが、今回の僕の患者さんのように神経のような思いもよらない組織が原因になっていることもあります。
僕がこの原因に気づけたのは教科書的に股関節屈曲の原因は〇〇という覚え方ではなく、どの組織が股関節後面に存在するかという解剖学をベースにした考え方があったからだと思います。
パターンや型から外れた時にはもう一度解剖学や運動学などの基礎知識に立ち返ると打開策が見つかるかもしれませんよ!
【グッバイ!腰痛!】そんな日がいつか来ますように
P.S
ダルビッシュ投手の動画は僕たち治療家がみてもとても参考になる情報がたくさんありました!僕自身も視野を広げていろんな情報を吸収していこうと思います!