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『問診』が治療の成績を左右する!
2017.07.28おはようございます。
オランダ徒手療法士協会の杉山です。
最近はずっと暑い日が続いているので、健康には十分に気をつけてくださいね。
今回お話しする内容は前回とガラリと変わり、『問診』についてです。
そこで、皆さんに質問です。
『問診でみなさんはどのような情報を知りたいですか?』
私は理学療法士の免許を取得しています。
当時、理学療法士評価学という授業でまず最初のページに出てくる評価が問診です。
だいたい2〜3ページです。
講師にはすごく大事とは言われていましたが、そんなのは当たり前だからと思って、そんなに重要視はしていませんでした。
国家試験も合格し、臨床現場に出ることにはなりますが、問診は必ず行います。初診の冒頭10〜20分程度でしょうか?
問診にかける時間は人それぞれで、みんな問診に多くの時間を割いてはいない印象です。
問診に時間を割くよりも、評価と治療に時間を割くことの方が重要という感じです。
オランダ徒手療法を学び、私が現在、問診に使う時間は、最低でも40分、平均して1時間です。
もちろん、クライアントから許可を得て行っています。
同僚にこれを話すと、
「何をそんなに情報取る必要があるの?」
「患者は治療を求めているんだから、時間の無駄じゃない?」
「問診は、治療しながら聞けばいいんじゃない?」
…など、共感してくれる方は少ないです。
自分もオランダ徒手療法に出会う前までは、そう思ってたし、そうしていました。
しかし、今は問診をしっかりと行わずにクライアントの身体に触ることは、本当に怖いと思います。
理由は2つあります。
①治療する上で、ターゲットとする組織や具体的なゴールが描けない
②レッドフラッグなどをきちんと分類できないため、リスクがある。
今では1時間かけて問診/評価を行い、仮説を立て、明確な治療のゴールをもち、初回でしっかりクライアントに計画の承認を得るところまで行っています。
少しカウンセリングに近い感じだと思います。しかし、この問診を行って初めて治療プランと目標立てが明確化してくるのです。
つまり、問診とは「ゴール」と「ゴールまでスムーズにたどり着くための計画」を立てるために必要な情報を集める作業なのです。
細かい部分ばっかり診ていると、本当に大切な「キーポイント」を見逃す可能性が大きいです。
多角的な視点から情報を多く集めることで、全体像が見えてきて、その人が抱えている問題の核心をつけるのです。
クライアントの日常的な習慣を変える(負荷をコントロール)だけで、よくなるケースもいます。
局所のみの評価に偏ってしまうと、一旦痛みが落ち着いたとしても、競技復帰がなかなかできなかったり、慢性化してしまったりと、壁にブチ当たってしまうのです。
一方で、局所はあまり評価せず、全体(姿勢)などにこだわっている人もいますね。
確かに、局所から離れた部分にも問題があり、運動連鎖などの影響で局所に負担が生じることもあります。しかし、それも治る過程を阻害する「1つの要因」でしかありません。
オランダ徒手療法の問診では、局所だけに偏らず、全体だけに偏らず、バランスを重視して様々な視点から情報を集めます。
例えば…
・局所の状態は?
→炎症があるのか、組織は傷ついているのか、どの組織が問題なのか…etc
・どんな日常生活を送っているのか?
・どんな仕事をしているのか?
・趣味で何かしているのか?
・運動連鎖などの局所への影響は?
・内臓機能や心理社会的な影響はあるのか?
・既往歴は?
…など、もちろんこれだけではありませんが、上記のように様々な角度から情報を集め、それが今の状態とどのようにつながるのか<仮説>を立てるわけです。
また、仮説は1つだけではなく、他にもこんな可能性がある、など複数用意します。
そうすることで、【評価→治療→評価→仮説の修正】のサイクルを高速で回すことができるようになります。
ここで誤解しないで欲しいのは、決して問診だけで、治療を行なっているわけではありません。
仮説の裏付けのためにしっかりと、触診や可動域検査、筋力検査などを行います。
私がもっとも強調したいことは、『問診』は侮れないということです。
隠れている情報をいかに引き出し、整理をするのか・・・
「評価→治療→再評価→仮説の修正」のサイクルをどれだけ早く回せるか、その最初でもっとも重要なポジションになるのが『問診』なのです。
今回は『問診』について書かせていただきました。
クライアントを早く笑顔にするためにも、一度じっくりと「問診」をしてみてください。
必ず、違った見方での結果が出てきますよ。