Warning: call_user_func_array() expects parameter 1 to be a valid callback, class '' not found in /home/jadmt/jadmt.or.jp/public_html/wp-includes/class-wp-hook.php on line 324
頸肩腕症候群の姿勢への先入観は命取り! | 日本オランダ徒手療法協会

blog

頸肩腕症候群の姿勢への先入観は命取り!

2021.03.26
Cervical, shoulder and arm syndrome

from 橋本 祐一 @自宅デスクより

 

突然ですが、この前YouTubeを見ていたら、バライティー番組『◯曜日のダウンタ◯ン』神回!!ってあったので興味が湧いて見てしまったんです。

 

その説っていうのが、『アメとムチならムチの方が力出る説!』

 

なんともタイトルを見てもメチャメチャそそられませんか?

 

その内容って言うのが、まずは偽の企画で5人の芸能人が通常時の鉄棒ぶら下がりタイムを計測。次に「1秒伸びるごとに5000円UP」というアメを与えてタイムを計測。

 

この「アメ」の時には5人中3人がタイムを伸ばしたんですよね。

 

こんなにもおいしい報酬が得られるなら自分でも頑張れる気がします。笑

 

そして本題のムチっていうのが、空中で鉄棒にぶら下がって、手を離すとそのまま54mの高さから落ちる富士バンジー!!!怖

 

さらに、その参加者5人とも高所恐怖症なのにも関わらず、強制的にバンジーをさせられうという鬼企画!笑

 

私は高所恐怖症ではないですが、流石に54mの高さからのバンジーは恐怖すぎて手が震えそうです。

 

そして気になるその結果が、、、。

 

なんと全員がタイムを縮める結果となってしまったんです!!

 

やっぱり手を放してしまうと高さ54mから落下してしまうという、強烈な恐怖心に打ち勝つことはなかなか難しかったのでしょうね。

 

強烈なムチは逆に結果が出ないという笑いを超えた、いい実験結果になったのではないかと思ったと同時に、ちゃんと研究したら役に立ちそうだなと思ったんで、アメとムチについて調べたんです。

 

そしたらマウスの有名な実験があって、クッキー(アメにあたるもの)を置き、反対側に電気ショック(ムチにあたるもの)を置いて、マウスの行動を分析した実験があったんです。

 

結果は、強い電気ショックの衝撃で、動くことすらしなくなり、さらにそのマウスは、クッキーのある場所に行く行動さえも取らなくなったらしいんですね。

 

この実験からわかるように、人間も同じように強烈なストレスを受けると行動意欲が損なわれていくのかもしれないですよね。

 

少し前置きが長くなってしまったのですが、

 

番組の作中でも芸能人の方がバンジーを終えてのコメントで

 

『まず怖さもだけど、緊張しすぎてなのか、普通にマットが敷かれている鉄棒の時と力が入りづらかったし、手に汗握って滑りやすかった。』

 

と言っていたのが印象的だったんですよ。

 

でもこれって極度なストレスから自律神経が乱れることによって起きているのではと考えたんです。

 

こんなにすぐに症状が出るんだなぁと思ったんだけど、ストレスによって自律神経が乱れることによって身体に影響を与え、人によっては様々な症状を訴えることがありますよね。

 

そこでふと思い出したのが、過去に診させてもらった患者さんなんですけど、今回はそのケースのお話をしたいと思います。

 

頸肩腕症候群にて首の痛みと長年の肩こり症状

新患で50代女性の方が頸肩腕症候群の内容で担当したんですけど、症状は肩こりと腕にかけての重だるさがあったんです。

 

ちなみに頸肩腕症候群って疾患名自体が原因が曖昧で、すごい広い範囲の事を言ってて、なかなか外来リハビリの少ない時間で対応しないといけない時って、この疾患名が来るとなんだか、私は毎回、もどかしさを感じるんですよね。汗

 

いつものように問診して、色々話を聞いていったんです。

・痛みは首から腕にかけて、痺れは薬指と小指の指先

・同じ姿勢を長時間とっていくと、症状が徐々に強くなる

・痛くないのは風呂に入っているとき

・若い時から肩こりはあったが、ここ数ヶ月から腕の重だるさと指の痺れが出てきた

・立位姿勢:少し猫背、首も前に突き出ている様子

・座位姿勢:より猫背が強くなっている印象

 

頸肩腕症候群って調べると、腕が痛い、腕がだるいや重いといった症状を、特に何かをしたわけでもないのに首から肩、肩甲骨周辺、腕、手などの痛みや感覚異常などが主訴。神経や筋の疲労、圧迫、筋力低下、循環障害などの自覚症状があらわれ、原因が特定できない病気とあるんですよね。

 

さらには、頸肩腕症候群は、「変形性頸椎症」「頸椎椎間板ヘルニア」をはじめとする、脊柱や肩関節に由来する病気も含まれて、職業性のものやパソコンを長時間使う姿勢、仕分け作業、保母さんや介護職の人などなど、上肢(肩関節から指先)を酷使する仕事で同じ動作の繰り返しや、首や肩周り、腕、指に負担の多い作業に従事しているという場合に発症しやすいとあるんです。

 

今回の患者さんも問診を進めていっても、特にきっかけもないから姿勢が影響している頸肩腕症候群の患者さんとさほど変わらないだろうと思い、姿勢が悪く首から肩にかけての筋肉がこわって、神経も圧迫を受けてるんだ!

 

よし!いつものように硬くなっている筋肉をほぐして、姿勢修正を目的にリハビリを進めるぞ!っと意気込んで、リハビリをしたんですよね。

 

その日のリハビリが終わったあとは、少し楽になったとのことで、自宅でできる姿勢指導とストレッチ、運動指導をして終了。次回のリハビリの予約をしてもらったんです。

 

そして、1週間後リハビリに来られたんですけど、表情があまり芳しくない。

 

あれ?なんでだ?指導していた自主トレは毎日してもらっており、姿勢も意識していたみたいだし、それ以外は特に変わったこともしていない。

 

正直、前回治療する前と変わらないくらい戻っているとの訴えも、、、。

 

なぜうまくいかないんだと改めてカルテを確認してみたんです。

 

レントゲンにて頚椎のストレートネックではあるが、変形はさほどないし、MRI所見によるヘルニアの可能性ない。トリガー注射治療のしていて、一時的症状緩和はあるみたいなんですけど、元に戻ってしまう。

 

頚椎・胸郭出口などスペシャルテストするも陰性反応だし、手根管症状もなく、筋萎縮や筋力低下もないんです。

 

まあ、なかなか長年の姿勢はすぐには改善しないし、もう少し同じようにリハビリと自主トレをすると徐々に改善するだろうと思い、継続してもらってたんです。

 

1ヶ月後、患者さんから「首から肩のだるさはほんの少しは減ってきたんですけど、痺れは全然変わってないです。」っと。

 

実は、私が姿勢にこだわりすぎていた。この判断が、間違っていたんです。

ストレスによって乱れていた自律神経

改めて問診をし直して、自律神経機能の質問をしたんですよね。

・睡眠は6時間くらいだけど何度か起きてしまう

・汗はあまりかかず、冷え性

・便秘気味

・朝起きての疲労感が抜けないのはずっとある

 

もしかしたら、これって何かしらのストレスによって循環不良が原因で起こっているものかも。

 

でもここで何かしらのストレスって何??を追求することが大事なんですよね。

 

実は、この患者さんの場合は、家族間でのことが原因だったんです。内容までは深くは書けませんが、なぜ気付けたのかは『ライフイベントストレスチェック』を自身で行ってもらったんです。

 

点数も600点となかなかのストレス具合。ちなみに300点以上で病気を引き起こす可能性があるほどストレスが溜まっているとされているんです。

 

そこで患者さんからの一言「家族の健康や自分以外のこともストレスになったり、嬉しいこともストレスになることもあるんですね。」とおっしゃっていたんです。

 

痺れの症状が出始めた数ヶ月前から、自分が気付かないうちにストレスを抱えて、体の治るために必要な循環が悪くなり、肩こりや痺れを助長させているのかもしれないって考えたんです。

 

そこで、治療内容をガラッと変更して、まずは自律神経の機能をよくするための工夫を患者さんにアドバイスをさせてもらって、1ヶ月後は肩こりも痺れも徐々に減っていったんです。

 

姿勢にばかり固執してしまっていた為に、根本的な体の治るために必要な原因追求を見逃してしまっていた。そこが私の大きなミスになり、治療がうまく進まなかったんですよね。

 

今までの治療を行なって何も変化がないときは、自律神経へ目を向けると治らない原因が見えてくるかもしれないですね。

 

P.S

ちなみに、ジョージア州立大学のアリソン博士らが、「飴と鞭」の指導とウッデン方式の「飴と飴なし」指導のどちらが選手にとって良い指導なのかの実験で、通常の指導方法「飴と鞭」よりもウッデン方式が、10倍ほど選手の上達度が上がったらしいです。

昔から受け継がれていた日本の厳しくするとかの根性論が全く意味をなさないのかもと思う今日この頃。

 


この記事を書いた人

アバター画像

橋本祐一

福岡県在住の理学療法士。【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。四肢コース・福岡校講師研修中。総合病院、整形外科クリニックを経験。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ障害の中学生・高校生などの治療を行なっている。休日に息子と戯れ合う時は、全力で遊ぶ一児の父。