膝OAを治す鍵!「スポンジ効果」とは? | 日本オランダ徒手療法協会

blog

膝OAを治す鍵!「スポンジ効果」とは?

2020.06.09

 

from 永重 諒   佐世保の自宅

 

緊急事態宣言も解除され、少しずつ自粛も緩和され始めましたね。

 

4月〜5月までで大きく生活スタイルが変わりましたが、やはりまだまだ馴染まないよね〜。

 

そんな慌ただしい昨今ですが、我が家は大きなイベントが2つありました。

 

1つ目は息子の1歳の誕生日!

 

あんなに小さかったのに、もう1歳とは…

 

子供の成長はあっという間で、本当に嬉しいものです。

 

もちろん、親バカ丸出しでデレデレしながら餅踏みと選び取りを行いましたよ(笑)

 

2つ目は妻の育児休暇からの復帰!

 

妻は、僕と同じく理学療法士をしており、約1年間育児休暇をとっていました。

 

5月中旬から復帰し、色々不安そうでしたが、割と楽しそうに仕事をしているのでホッとしています。

 

そんな妻から最近ある相談が。

 

「変形性膝関節症の患者さんを担当しているんだけど、治療してもすぐに痛みが戻っちゃうんだよね〜。軟骨が擦れて痛みが出たら、やっぱり治らないのかな?」

 

普段はあまり仕事の相談などないんですが、育休明けから部署移動となり、現在はデイケアで高齢者を診ているんです。

 

今回は、そんな妻からの相談内容について似たような患者さんを診たことがあったので、症例検討式で紹介しようと思います。

 

治療しても戻ってしまう膝OAの患者さん

 

担当した患者さんは、60代前半の女性で、診断名は右変形性膝関節症。

 

問診をしていくと、

 

・膝周囲の炎症は否定的

 

・きっかけは特になく、2ヶ月前から徐々に右膝の内側が痛くなった

 

・膝は屈曲、伸展ともに制限があって、しゃがみ込みや正座ができない

 

・右膝に体重がかかると痛みが強くなる

 

・歩き始めや立ち上がり、階段が痛くて困っている

 

こんな情報が得られたんです。

 

姿勢は、内反膝傾向で体格もふくよか。

 

レントゲン上も内側の関節のスペースが狭くなっている。

 

荷重が加わる動作で痛みが出現しているし、姿勢からも膝内側への圧縮ストレスが集中して軟骨や半月板などの軟部組織に痛みが出ているんじゃないか。

 

そのように考えました。

 

そこで、膝内側へ集中している圧縮ストレスを減らす以下の治療を実施。

 

・膝内側の局所循環を司るT12〜L1への電気治療

 

・膝前/後内側の関節包ストレッチ

 

・膝関節のモビライゼーション

 

・膝内側広筋の筋力トレーニング

 

膝の静的な内反アライメントを徒手療法にて修正するような治療を中心に行いました。

 

治療後、痛みは来院時の半分以下まで改善。

 

初回の治療で、思っていた以上の効果が出たようで、本人も喜んでいました。

 

しかし、治療効果が続いたのは2〜3時間程度。

 

翌日には痛みも戻ってしまったようです。

 

膝OAはアライメント修正だけで治らない?!

 

今回、僕が行ったアライメントを修正する治療は局所に集中したストレスを減らす治療手段の一つなんですよね。

 

もちろん、大切な治療の1つです。

 

しかし、痛みの原因は、長い月日を経て薄くなってしまった軟骨によるもの。

 

軟骨が薄くなることで痛みを感じやすい軟骨下骨が露出し、そこに圧が加わって痛みが出現しているんです。

 

そうであれば、『アライメントを修正する』だけでは不十分。

 

これにプラスして『軟骨を厚くする治療』まで行わなければ痛みはまた再発してしまいます。

 

ただ、軟骨はご存知の通り、無神経・無血管の軟部組織。

 

そんな軟部組織にも、ちゃんとした理論を知っていれば、栄養を供給する手段が存在するんです。

 

その理論とは…ズバリ『スポンジ効果!』

 

関節のスポンジ効果!

 

お風呂の浴槽に水を張り、スポンジを落とすところをイメージしてください。

 

ただ落としただけではスポンジの中に水は吸収されませんよね?

 

では、どうすればスポンジは水で満たされるか。

 

答えは単純で、スポンジを「ギュー」と絞って、「ポンッ」と離す。

 

これを繰り返すことで、スポンジは水で満たされていきます。

 

実は、関節内の軟骨や半月板などへの栄養供給方法も、このような仕組みになっているんですよ。

 

「ギュー」と加圧される(荷重)/「ポンッ」と減圧される(非荷重)

 

こんなイメージですね。

 

起立動作で例えるならば、座っている状態が減圧で、殿部が離床した以降は加圧です。

 

関節内は栄養に富んだ間質液で満たされていますが、軟骨や半月板などは、この加圧と減圧の繰り返しにより間質液を吸収しているんです。

 

今回の症例の方にも、アライメントを修正する治療にプラスして、浅い角度でのスクワットとランジ、自主訓練として起立訓練10回×3セットを行ってもらうようにしました。

 

局所に集中するストレスを減らしつつ、軟骨を厚くする。

 

完ペキですね!笑

 

約3ヶ月ほど治療と自主訓練を行ってもらった結果、すっかり痛みも緩和し、趣味である旅行も満喫できるまで改善しました。

 

旅行先でもたくさん歩き回られたようです。(もちろん、新型コロナ流行前です)

 

「もう変形しているから治らない…」「年齢だから仕方ないよ…」

 

そんな言葉を患者さんに言ってませんか?

 

もちろん、1発で治るような手段や方法ではありません。

 

しかし、『チリも積もれば山となる』コツコツ行えば必ず成果は出ます。

 

是非、試してみてください!

 

PS

 

息子の選び取り。

 

7種類ぐらい物を用意しました。

 

そして、選んだものはというと、まさかのペン!

 

ペンを選んだ子は、学者・研究者のような知識人になるそうです。

 

残念ながら、とてもそうとは思えません(笑)


この記事を書いた人

アバター画像

永重 諒

【JADMT公認】オランダ準徒手療法士。長崎県の佐世保にある個人病院で理学療法士として勤務。普段は、主に一般の整形疾患からスポーツ選手の治療を行なっている。高校男子サッカー部のチームトレーナーも経験。最近マラソンにハマっている一児の父。