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納得!「復帰時期」を決定するのに必要な視点
2017.07.04
みなさん、こんにちは
オランダ徒手療法協会の杉山です。
昨日も様々な先生から、質問をいただいています。
- 「復帰時期をどうのように決めていますか?」
- 「これで、スポーツ復帰できると言えるのは何を基準にしていますか?」
本当にこの質問多いです。
何を基準と聞かれる時に、先生方は何に沿って決めていますか?
筋力、可動域、歩行状態と様々な答えが返ってきます。
何が正解で不正解なのか…。
今日は「復帰」をテーマに「スポーツ復帰」に焦点を当てて一緒に探ってみましょう。
捻挫をしたサッカー選手がいたとします。病院に受診すると全治1ヶ月との診断を受けています。大事な試合もちょうど1ヶ月です。みなさんはこの時点で、1ヶ月後の試合に出せることを少年言い渡しますか?
答えは、ノーです。
なんでと思う方も言われるかもしれません。
確かにドクターは全治1ヶ月との診断を言い渡していますが、練習参加や試合復帰に関して明言していません。しかも、患部の状態がどのようになっているかも定かではありません。
では何を持って、決定していくのでしょうか?
それは、
①捻挫の状態→痛みがあるのか?腫脹があるのか?痺れはないのか?様々です。
②捻挫のグレードの把握→グレードがわかるとある程度の治癒期間がわかります。
③現状の動作の把握→松葉杖なのか?ギプス固定なのか?走れるのか?などです。
上記3つの要素をしっかりと把握した上で復帰時期を決めていきます。
捻挫は靭帯損傷・断裂です。
靭帯断裂の治癒期間がわかることで、抵抗力と負荷量の考え方を用いて、局所と全体の動作までみていきます。局所の問題に関しても、この抵抗力と負荷量の関係を誤ると大変なことになります。
下図のような考え方です。
抵抗力に対して負荷量が大きすぎると患部は耐えうることができなくなり、再受傷しかねません。また、負荷量が弱すぎても、患部の耐性は弱くなる一方ですから、逆に脆弱になり、後の競技動作に耐えられない体になります。
つまり、
抵抗力と負荷量のバランスを見極めながら、ギリギリのラインで行うことが重要なのです。
これは本当に手間のかかる作業です。なぜなら、毎回評価をきちんと行い選手とのコミュニケーションもとりながら行なっていく必要があるからです。
そのため、コミュニケーションは必要不可欠です。
では、復帰に関して、ボールが蹴れればいいのでしょうか? 走れればいいのでしょうか? ジャンプしてヘディングできればいいでしょうか?
それは違います。
サッカーという競技特性を知る必要があります。
サッカーでは、様々な動きを瞬時に判断して行わないといけません。ダッシュしたり、止まったり、ジャンプしたり、ターンしたり、体当たりしたり、いろいろな動作が組み合わさっているのですから、この動作全てで足首が対応できるか見極める必要があります。
ここまでできて初めて、全体練習に参加することができます。そのため、本当に綿密にリハビリのメニューを立てる必要があります。
怪我の治癒期間の理解、競技特性の理解、クライアントの身体・心理の理解など様々に多方面から見ていきながら復帰を決めていくのです。
ここまで行うことで、体と気持ちの面が安定し、怪我の耐性が上がり、高パフォーマンスで自信を持って競技復帰できます。
最後に、
治療家が選手に与えるのは、怪我を治すことだけではありません。
怪我を克服し、今後また、この怪我という負のスパイラルに戻ってこないように導く船頭になる必要があります。
選手が最高の笑顔で、自信を持って競技に望んでいる姿こそ、治療家にとって最高の報酬になります。
さぁ、共にクライアントと真剣に向き合い、最高の笑顔と自信を獲得できるように頑張っていきましょう!